表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡な世界から君がすくい出してくれたこと(登場人物は全員モブ顔です)  作者: 楓真パパ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/14

第13話 「文化祭準備本格化!そして訪れる小さな不安」

この作品は登場人物が全員モブです。必ずモブ顔で想像してください。

クッキーとカレーの試作が成功し、調理クラブの士気は最高潮に達していた。

文化祭まで残り二週間。

放課後の家庭科室は、いつも以上に活気に満ちていた。

「今日は・・・クッキーの量産練習をしようと思います」

真智がレシピノートを開きながら言う。

「うん・・・! たくさん作れるようにしないと・・・!」

ひよりは、やる気に満ちた表情で頷いた。

和馬も、控えめながら前向きな声を出す。

「ぼ、僕・・・計量をもっと正確にできるように頑張ります・・・!」

悠斗は腕を組んだまま、にやりと笑った。

「俺は焼き上がりの管理をやる。焦がしたら終わりだからな。」

壮真は、そんな仲間たちを見て静かに微笑んだ。

(・・・本当に、いいチームですね)

作業が始まると、家庭科室は忙しくも楽しい空気に包まれた。

「佐伯さん、こちらの生地をお願いします。」

「うん・・・!」

「木下さん、砂糖の計量をお願いできますか。」

「は、はい・・・!」

「三浦さん、オーブンの温度調整をお願いします。」

「任せろ。」

真智は全体を見ながら、丁寧に指示を出していく。

「みんな、すごく上手になってきたね・・・!」

その言葉に、全員の表情が明るくなった。

しかし――

その中で、壮真だけは少しだけ胸がざわついていた。

(・・・僕は、何を担当すればいいのでしょうか?)

みんなが得意分野を発揮している中、自分だけが“特別な役割”を持てていないように感じてしまう。

そんなとき、真智がそっと近づいてきた。

「高杉くん・・・」

「はい。どうしましたか、田辺さん?」

「今日・・・なんだか元気がないように見えて・・・。」

(・・・また気づかれてしまいましたね)

壮真は、少しだけ迷ってから答えた。

「いえ・・・皆さんがとても優秀なので、僕だけ取り柄がないように感じてしまって・・・。」

真智は驚いたように目を見開いた。

「そんなこと・・・ないよ・・・」

「田辺さん・・・?」

「高杉くんは、みんなをまとめてくれてる。困ってる人がいたらすぐ気づいて、声をかけてくれる。それって・・・すごく大事なことだよ。あと作業で使う道具とかを要るときにいいタイミングで出してくれてたよね。それが出来るのはすごい才能だと思うよ。」

壮真の胸に、静かに温かさが広がった。

「・・・ありがとうございます。そう言っていただけると、救われます。」

真智は、少し照れながら微笑んだ。

「ふふ・・・本当のことだよ。」

しかし――

その様子を見ていた人物がいた。

ひよりは、二人の距離が近いことに気づき、胸の奥がきゅっと痛んだ。

(・・・やっぱり、田辺さんって高杉くんの・・・特別なんだ)

和馬も、複雑そうに二人を見つめていた。

(・・・僕も、あんなふうに彼女と話せたら・・・)

悠斗はそんな二人の様子に気づき、心の中でため息をついた。

(・・・まぁ、こういうのは仕方ねぇよな)

作業が終わり、片付けをしているとき。

「今日も・・・お疲れさまでした。」

壮真が言うと、真智がそっと微笑んだ。

「うん・・・!明日はカレーの仕込み練習もしようね。」

「はい。楽しみにしています。」

そのやり取りを見ていたひよりは、胸の奥に小さな不安を抱えたまま、家庭科室を後にした。

(・・・このままじゃ、私・・・)

和馬もまた、自分の居場所が少しだけ揺らいでいるような気がしていた。

(・・・もっと頑張らないと・・・)

悠斗は、そんな二人の背中を見ながら呟いた。

「・・・青春って、めんどくせぇな・・・。」

夕暮れの家庭科室に、五人の影が長く伸びていく。

こうして、“モブな僕ら”の青春は、準備が本格化する中で、それぞれの胸に小さな不安を抱え始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ