表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/79

第56話 破壊の代償と、請求書の桁数

【担当:キース】

脆弱な頭脳で我が肉体を使いこなせるかな?

開戦だ。



 「はっはー! 見ろ、この圧倒的な火力を!」

 

 ドォォォォン!!

 爆音と共に、宿場町のメインストリートが火の海に包まれた。


 現れたのは、中級魔族の「オーガ・ロード」。

 それを討伐するために派遣された新勇者レオンは、あろうことか街中で広範囲攻撃魔法エクスプロージョンを放ったのだ。


「ギャァァァッ!」


 オーガ・ロードは黒焦げになり、断末魔を上げて倒れた。

 だが、それと同時に、周囲の民家や商店も吹き飛び、瓦礫の山と化していた。


「……やった……のか?」


 瓦礫の陰から、すすだらけになった住民たちが顔を出す。

 魔物は倒された。


 しかし、彼らの家も、店も、家財道具も、すべて灰になっていた。


「おい、村長!」


 レオンが剣を鞘に納め、髪をかき上げながら歩いてくる。


「見たか俺の勇姿! あのデカブツを一撃だぜ? 感謝してくれよな!」


 村長と呼ばれた老人が、震える手で杖をつきながら進み出た。


「ゆ、勇者様……魔物を倒していただいたのは感謝いたしますが……これでは、住む家が……」

「あぁ? 細かいことは気にするなよ」


 レオンは悪びれもせず鼻で笑った。


「命があっただけマシだろ? 家なんてまた建てりゃいい」


 そして、彼は懐から羊皮紙を取り出し、村長の顔に押し付けた。


「ほら、今回の『討伐報酬』だ。……危険手当込みで、金貨100枚な」

「ひゃ、100枚!?」


 村長が悲鳴を上げた。


「そ、そんな大金、この貧しい村にはありません! それに、この復興費用も必要で……」

「チッ、しけた村だな」


 レオンが舌打ちをした。その目は冷酷だった。


「払えないなら、教会の『強制徴収権』を行使するぞ? 家財道具、家畜、あるいは……若い女でもいいぜ?」

「そ、そんな……!」


 村の人々が絶望に膝をつく。

 これは救済ではない。略奪だ。

 その時、誰かがポツリと漏らした。


「……キースライン様なら……」

「あ?」


 レオンが眉をひそめる。


「キースライン様なら……こんなことはなさらなかった!」


 一人の青年が叫んだ。


「あのお方は、『市街地での戦闘は経済的損失が大きい』と言って、必ず魔物を街の外へ誘き出してから戦った! 建物一つ傷つけず、最小限の魔力で急所を貫いた! 報酬だって、村の財政を見て『適正価格』しか受け取らなかった!」

「……死んだ奴の話をするなと言ったはずだぞ?」


 レオンが青年の胸ぐらを掴み上げる。


「あいつは死んだ! 今の勇者は俺だ! 文句があるなら魔王軍のスパイとして処刑するぞ!?」


 暴力による支配。

 民衆は口をつぐむしかなかった。

 だが、その瞳に宿る光は、「恐怖」から明確な「殺意(反逆の意思)」へと変わっていた。


 ***


 その様子を、崩れ落ちた鐘楼の影から見ている5つの影があった。

 「死んだはずの」キースライン一行だ。


「……ひどいありさまですね」


 エリスが悲痛な顔で焼けた街を見下ろす。


「守るべき民を脅して、何が勇者ですか」

「全くだ。……あいつの戦闘データ、解析完了したぞ」


 慎也キースラインは、冷ややかに瓦礫の山を見つめた。


「魔力効率、最悪。周囲への被害予測、ゼロ。……ただの『破壊兵器』だな」

「どうするリーダー? 今すぐボコりに行くか?」


 ガルドが斧を鳴らす。

 慎也は首を横に振った。


「まだです。……今出れば、ただの『勇者同士の喧嘩』になる」


 慎也は、レオンに怯える民衆の目を見た。


「民衆が心の底から『助けてくれ』と願い、教会への不信感が頂点に達した時こそ、我々の出番だ。……その時、レオンには『勇者』ではなく『魔王軍以上の災厄』として退場してもらう」

「……性格悪っ!」


 ナイルが笑う。


「でも、それが一番効果的っスね」


 レオンが去った後、村には再建の槌音が響くことはなかった。

 あるのは、教会と新勇者への、静かで重い呪詛の声だけだった。


【総統通達】

読者諸君。我だ。

あの優男(慎也)め、相変わらず理屈っぽい戦い方をしていたな。我ならば一撃で粉砕していただろうに。


まあよい。今回の話に少しでも心が動いたならば、【ブックマーク】および、下部の【★★★★★】にて、我への忠誠を示せ。


良い評価は、次なる戦い(執筆)への糧となる。期待しているぞ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ