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第54話 急造の模造品(レプリカ)と、民衆の思慕

【担当:キース】

脆弱な頭脳で我が肉体を使いこなせるかな?

開戦だ。



 国葬から数日後。

 枢機卿の裏金消失事件による混乱をごまかすため、教会は大急ぎで新たな勇者を発表した。


「民よ、嘆くでない! 神は我々を見捨ててはおらぬ!

 これぞ、異界より召喚されし新たなる希望、勇者レオンである!」


 大聖堂のバルコニー。

 枢機卿の横に立ったのは、金髪碧眼のいかにも「王子様」といった風貌の青年だった。

 だが、その顔には隠しきれない軽薄さが漂っている。


「やあみんな! 俺に任せておけば、魔王なんてイチコロさ!」


 レオンはアイドル気取りで手を振った。

 しかし、広場の拍手はまばらだった。民衆はまだ、キースラインの「死」を受け入れられていないのだ。


 ***


 その日の午後。城下町の武器屋。


「おい親父! この『聖銀の剣』、俺に寄越せよ。勇者特権でタダになんだろ?」


 レオンが店主の胸ぐらを掴んでいた。

 態度は横柄、支払う気はゼロ。典型的な「権力を傘に着た愚か者」だ。


「こ、困ります勇者様! それは売り物で……!」

「あぁ? 世界を救ってやるんだから、これくらい安い投資だろ?」


 その時、店主がポツリと漏らした。


「……キースライン様は、こんなことはなさらなかった」

「あ?」

「あのお方は……怖かったが、常に『適正価格』と『減価償却』を口になさり、絶対に店の利益を損なうような真似はしなかった! 装備のメンテナンス費用まで前払いしてくださった! あんたとは大違いだ!」

「なんだと!? 死んだ負け犬と俺を比べるな!」


 レオンが剣を振り上げ、店の商品棚を破壊した。


 ガシャーン!


「ああ……俺の店が……!」


 騒ぎを聞きつけた街の人々が遠巻きに見つめる。その目は、尊敬ではなく「軽蔑」だった。


(……前の勇者様は、街中での戦闘行為は『損害賠償が面倒だ』と言って、絶対に避けてくれたのに……)

(口は悪かったけど、実は一番、街のことを考えてくれていたんじゃ……)


 民衆の間で、急速に「キースライン待望論」が広がっていく。

 失って初めて気づく、あの冷徹な勇者の「優しさ(合理性)」に。


 ***


 その様子を、路地裏の影から見ている集団がいた。

 フードを目深に被った5人組――「死んだはずの」キースライン一行だ。


「……プッ。傑作っスね」


 ナイルが笑いを堪えている。


「あいつ、自分で自分の首絞めてるっスよ。おかげでリーダーの評判がうなぎ登りっス」

「……嘆かわしいですね」


 エリスが冷めた目でレオンを一瞥した。


「あんなのが次代の勇者だなんて。……品性も知性も欠片もありません」

「全くだ」


 慎也キースラインは、破壊された店を見てため息をついた。


「『勇者』というブランド価値を著しく毀損している。……あれでは、魔王を倒す前に、民衆の暴動で刺されるぞ」

「で、どうする? 助けてやるか?」


 ガルドが親指で武器屋を指す。

 慎也は首を横に振った。


「いいえ。……今はまだ、泳がせます」


 慎也は冷徹に計算した。


「彼が暴れれば暴れるほど、教会の支持率は下がり、我々が復活した時の『カタルシス』が増大する。……最高の『噛ませ犬』として利用させてもらいましょう」


 慎也たちは踵を返し、闇へと消えた。

 劣化版勇者レオン。

 彼の輝き(物理的に派手なだけ)は、本物の勇者の帰還をお膳立てするための、哀れな花火に過ぎなかった。


【総統通達】

読者諸君。我だ。

あの優男(慎也)め、相変わらず理屈っぽい戦い方をしていたな。我ならば一撃で粉砕していただろうに。


まあよい。今回の話に少しでも心が動いたならば、【ブックマーク】および、下部の【★★★★★】にて、我への忠誠を示せ。


良い評価は、次なる戦い(執筆)への糧となる。期待しているぞ。


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