第51話 海岸線の防衛戦と、対紫外線装甲
【担当:慎也】
僕の日常がこれ以上壊れませんように……。
本編スタートです。
7月下旬。夏休み。
キースラインは、副会長・天道花憐の家の所有するプライベートビーチにいた。
「……日差しの入射角が鋭い。紫外線(UV)強度は危険レベルだな」
パラソルの下、キースラインはサングラスをかけて海を睨んでいた。
その服装は、黒の競泳用海パン一丁。
その体つきは、春先とは別人のように変わっていた。
ボディビルダーのような派手な筋肉ではない。
だが、毎朝のランニングと自重トレーニングによって余分な脂肪は消え失せ、腹筋には美しい陰影が浮かび、腕にはしなやかな筋肉の筋が浮き出ている。
それは、まさに「研ぎ澄まされたナイフ」のような、実戦的な機能美だった。
「……お待たせ、齋藤くん」
背後から、少し恥ずかしそうな声がした。
振り返ると、そこには白いパレオ付きのビキニをまとった花憐が立っていた。
眩しいほどの白い肌。海風に揺れる長い髪。
「……どう、かな?」
花憐が頬を赤らめてポーズをとる。
キースラインはサングラスを少しずらし、彼女を頭から爪先までスキャン(凝視)した。
「……悪くない」
彼は短く評した。
「軽量化による機動性の向上、および白色の水着による太陽光の反射率アップ。……熱中症対策としても理にかなった装備だ」
「もうっ! そういうことじゃなくて!」
花憐が怒って頬を膨らませる。
だが、次の瞬間、彼女はキースラインの体に目を奪われた。
「……っていうか、齋藤くん。また体が締まった?」
彼女はおずおずと、キースラインの二の腕に触れた。
「硬っ……! 4月まではあんなにヒョロヒョロだったのに」
「当然だ。王たる者、貧弱な肉体では示しがつかん」
キースラインは自分の腹筋をパンと叩いた。
「まだ装甲は不足しているが、ワイヤーのような強靭さは手に入れた。……これなら、いざという時に貴様一人抱えて走ることくらいは可能だ」
「……っ///」
不意に出た「守る」という言葉に、花憐の心拍数が跳ね上がる。
その時、キースラインがボトルを差し出した。
「参謀。私の背中には手が届かん。……この『対紫外線コーティング剤』を塗布しろ」
「えっ、私が!?」
「急げ。皮膚が熱傷を負えば、戦闘効率が落ちる」
うつ伏せになるキースライン。
花憐は震える手でオイルを出し、彼の引き締まった背中に触れた。
ヌルリ、という感触。
指先に伝わる、硬い筋肉の熱。
(……男の子の背中だ……)
花憐の頭の中はショート寸前だった。
ただ勉強を教えていただけの「もやしっ子」は、いつの間にか「頼れる男」へと変貌していたのだ。
「……参謀? 手が止まっているぞ。塗り残しは許さん」
「わ、分かってるわよ! ……もう、バカ///」
誰もいない青い海と白い砂浜。
波音だけが響く中、物理的な接触により、二人の距離は夏の日差しよりも熱く縮まっていった。
この後、キースラインが「水中での抵抗実験」と称して本気のバタフライで沖まで爆走し、花憐を置き去りにして怒られるのは、数分後の話である。
【事後分析報告】
読んでくれてありがとうございます。慎也です。
また僕の体が物理法則を無視した動きをしていたようですが……楽しんでいただけたでしょうか?
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