表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/39

第5話 ステータス・オープン

【担当:キース】

脆弱な頭脳で我が肉体を使いこなせるかな?

開戦だ。



 ギガントスの死骸から離れた荒野で、一行は野営キャンプを張ることになった。

 焚き火を囲む空気は、お通夜のように重かった。


 僧侶の少女・ミナは怯えたように縮こまり、盗賊の男はいつでも逃げ出せるよう靴紐を結び直している。


 そんな中、慎也(中身は日本人)は、胸の高鳴りを抑えるのに必死だった。


(異世界……冒険……そしてキャンプ! これだよ、これ!)

 彼は努めて冷静を装いながら、焚き火を見つめた。

 これからやることは一つ。

 異世界転生モノの基本中の基本。自分の能力確認だ。


(……出るかな。いや、出るはずだ)

 慎也は周囲に聞こえないよう、小声で呟いた。


「――ステータス・オープン」

 フォン、と軽い電子音と共に、目の前に半透明の青いウィンドウが浮かび上がった。


「うわっ、本当に出た!」

「ひっ!?」


 慎也の歓声に、ミナがビクッと肩を跳ねさせたが、今の彼には目に入らなかった。


 【名前】キースライン

 【職業】勇者

 【レベル】99(MAX)

 【HP】9999 / 9999

 【MP】9999 / 9999

 【スキル】剣聖術、極大魔法、竜殺し、威圧、剛腕……


(す、すごい……! なんだこのチートスペック! 受験勉強で言えば、全教科偏差値100みたいなものじゃないか!)

 慎也は興奮で眼鏡を上げる仕草をした(やはり眼鏡はない)。

 これだけのMPがあれば、憧れの魔法も使えるはずだ。

 慎也はチラリと、焚き火の薪を見た。火が弱くなっている。


(ちょうどいい。薪をくべるついでに、初級魔法を試してみよう)

 彼は、優等生らしく教科書通り(ラノベ知識)の詠唱をイメージした。

 指先を薪に向ける。イメージするのは、ライターの火のような、小さな炎。


「……《ファイア》」


 ドォォォォン!!

 瞬間、指先から紅蓮の奔流がほとばしった。

 小さな炎ではない。火炎放射器――いや、ドラゴンのブレスだ。


 凄まじい熱波が野営地を襲い、薪はおろか、焚き火を囲んでいた岩までもが真っ赤に溶けて蒸発した。


「うわあああああ!?」

「きゃああああ!」

「敵襲か!? いや、キースだぁぁぁ!」


 仲間たちが蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。

 慎也は慌てて手を引っ込めたが、時すでに遅し。焚き火の跡地には、直径数メートルのクレーターができあがり、溶岩のようにグツグツと煮えたぎっていた。


「あ、あわわ……すみません! 火をつけようとしただけで……!」


 慎也が弁明しようと振り返ると、仲間たちは地面にひれ伏していた。土下座だ。


「お許しくださいキース様! 俺たちの働きが悪かったからですよね!?」

「焼き殺すのだけは勘弁してくださいぃぃ!」

「ごめんなさい、ごめんなさい……!」


 涙と鼻水を流して命乞いをする彼らを見て、慎也は立ち尽くした。


(ち、違う……僕がやりたかったのは、こんなことじゃ……!)

 圧倒的な力。しかし、制御できなければそれはただの暴力だ。


 かつてのキースラインは、この力を躊躇なく振るっていたのだろうか?

 慎也は自分の手のひらを見つめた。

 憧れの異世界生活は、どうやら「力のコントロール」という、受験勉強よりも遥かに難しい課題から始まることになりそうだ。


「あー……皆さん、とりあえず……カレーでも作りましょうか?」

「は、はいぃぃ!?」


 恐怖で引きつる仲間たちに、慎也は困ったように笑いかけた。


【総統通達】

読者諸君。我だ。

あの優男(慎也)め、相変わらず理屈っぽい戦い方をしていたな。我ならば一撃で粉砕していただろうに。


まあよい。今回の話に少しでも心が動いたならば、【ブックマーク】および、下部の【★★★★★】にて、我への忠誠を示せ。


良い評価は、次なる戦い(執筆)への糧となる。期待しているぞ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ