第47話 中間考査という名の防衛戦争
【担当:慎也】
僕の日常がこれ以上壊れませんように……。
本編スタートです。
5月中旬。ゴールデンウィークの余韻も消え、学生たちに現実が襲いかかる。
「1学期中間テスト」である。
放課後の生徒会室。
机の上には、書類ではなく参考書が山のように積まれていた。
「……報告します、会長」
副会長の花憐が、深刻な顔で切り出した。
「生徒会業務の多忙により、会長の学習時間が先月比で40%減少しています。このままでは、前回の『学年1位』という防衛ラインが突破される恐れが……」
キースラインは生徒会長席で腕を組み、眉一つ動かさなかった。
「慌てるな、参謀。……俺を誰だと思っている?」
「でも、今回の範囲は広いのよ? 特に『世界史』は暗記量が膨大で……」
「暗記? 違うな」
キースラインは世界史の教科書を閉じた。
「テストとは、教師(敵軍)が仕掛けてくる『情報戦』だ。奴らは問題文という暗号の中に、出題者の意図を隠している。それを解読し、的確に迎撃(解答)する。……ただの防衛戦争に過ぎん」
「……また変な理屈を」
花憐は呆れつつも、どこか楽しげにため息をついた。
「じゃあ、私が『作戦参謀』として、効率的な攻略チャート(勉強スケジュール)を組むわ。……これより、私の家で『合同軍事演習(勉強会)』よ!」
***
テスト当日。
教室には鉛筆の走る音だけが響く、独特の緊張感が漂っていた。
キースラインは、配られた問題用紙を鋭い眼光で睨みつけていた。
(……フン。問1から問10、年号の暗記か。単純な陽動だ)
彼のペンが高速で走る。迷いはない。
(問11、記述式。……ここが敵の本隊か。「産業革命の影響を述べよ」だと? 論理の抜け穴を突いて、こちらの失点(減点)を誘う罠だな)
彼の脳内で、テストは硝煙弾雨の戦場と化していた。
数学の二次関数は、敵の砲撃弾道計算。
英語の長文読解は、敵国の通信傍受と解読。
古文は、古代魔法書の解析。
キースラインのペンが、剣のように紙面を切り裂いていく。
その鬼気迫る表情と、尋常ではない解答速度に、試験監督の教師すら少し引いていた。
(あいつ……問題を解いているのか、何かの儀式をしているのか……?)
***
そして数日後。
廊下に張り出された順位表の前には、人だかりができていた。
「うわっ、マジかよ……」
「生徒会の仕事であんなに忙しかったのに?」
ざわめく生徒たちをかき分け、キースラインと花憐が掲示板の前に立つ。
一番上に、その名はあった。
1位:齋藤慎也
2位:天道花憐
「……殲滅完了だ」
キースラインは満足げに頷いた。
「敵の主力部隊(難問)はすべて撃破した。我々の領土(順位)は守られたぞ」
「……さすがね、齋藤くん」
花憐が悔しそうに、でも誇らしげに隣で微笑んだ。
「あれだけ生徒会の激務をこなしながら、首位キープなんて。……やっぱり、私の見込んだ王様ね」
「当然だ。王たる者、知力においても最強でなければ、民への示しがつかん」
キースラインは不敵に笑い、そしてふと声を落とした。
「それに……貴様の作った『攻略チャート』が的確だった。……礼を言うぞ、参謀」
「えっ……///」
不意打ちのデレ。
花憐は顔を真っ赤にして、掲示板のプリントで顔を隠した。
「……もう、バカ。調子狂うなぁ……」
生徒会長としての公務、学年トップの知力、そしてパートナーとの絆。
中間テストという防衛戦も、キースラインの完全勝利(Sランククリア)で幕を閉じた。
最強の生徒会長と副会長の伝説は、まだ始まったばかりである。
【事後分析報告】
読んでくれてありがとうございます。慎也です。
また僕の体が物理法則を無視した動きをしていたようですが……楽しんでいただけたでしょうか?
今後のデータの参考にするため、よろしければ「ブックマーク」と、下にある【★★★★★】で評価を入力していただけると助かります。
皆さんの応援が、僕たちの生存確率を上げます。よろしくお願いします。




