第43話 生徒会選挙という名の政権樹立
【担当:慎也】
僕の日常がこれ以上壊れませんように……。
本編スタートです。
4月。桜舞う新学期。
晴れて3年生となったキースラインと天道花憐は、奇跡的に(あるいはキースラインの裏工作により)再び同じクラスになっていた。
始業式の日、体育館の壇上で、現生徒会長が退任の挨拶とともに、次期生徒会長選挙の告知を行った。
「――というわけで、我こそはと思う者は立候補してほしい」
その瞬間、キースラインが立ち上がった。
ザッ! と音が鳴るような鋭い起立。
全校生徒の視線が集まる中、彼は壇上のマイクを奪い取る勢いで登壇した。
「おい、教師共。マイクを寄越せ」
「えっ、齋藤? まだ立候補の受付は……」
「今、俺が受け付けた」
キースラインはマイクを握り、全校生徒を見下ろした。
その眼光は、選挙演説というよりは、占領軍の司令官が敗戦国の民に告げる布告に近かった。
「聞け、愚民ども! ……訂正、我が同胞たちよ!」
第一声から不穏だったが、彼の堂々たる態度は生徒たちを静まり返らせた。
「俺の名は齋藤慎也。……俺は、この学園の現状に憂いている!」
彼は拳を振り上げた。
「非効率な校則! 時代遅れの行事! そして味気ない学食のメニュー! これらはすべて、指導部の怠慢によるものだ!」
生徒たちがざわめく。
確かに、みんな不満に思っていたことだ。
「俺が生徒会長になった暁には、約束しよう。……『絶対的な自由』と『完璧な規律』を!」
矛盾しているようだが、彼の言葉には熱があった。
「俺に従え。そうすれば、理不尽な教師の圧力からは俺が盾となって守ってやる。その代わり、俺の定めた『秩序』を乱す者は容赦せん!」
「俺は、口だけの政治家(生徒会)とは違う。……実行する男だ!」
ドォォォン!!
演説の締めくくりに、彼が演台を拳で叩くと、木製の演台にヒビが入った(物理)。
シーン……とした静寂の後。
「う、うおおおおお!!」
「齋藤先輩、一生ついていきます!!」
「カッケーーー!!」
男子生徒(特にヤンキー層)からの野太い歓声と、女子生徒からの黄色い悲鳴が爆発した。
民主的な選挙演説のはずが、完全に「カリスマ独裁者の誕生集会」と化していた。
***
放課後。
選挙管理委員会へ立候補届を出したキースラインは、花憐と共に廊下を歩いていた。
「……すごかったわね、演説。もう当選確実よ」
花憐が呆れつつも感心して言った。
「当然だ。民は強い指導者を求めている」
キースラインは鼻を鳴らした。
「でも齋藤くん、3年生よ? 受験勉強もあるのに、生徒会長なんてやってる暇あるの?」
「フン。国(日本)を統べる総理大臣を目指す俺にとって、たかが一学園の統治など準備運動に過ぎん」
彼は花憐を見た。
「それに、俺には優秀な『副会長』がいるからな」
「……へ?」
「貴様だ、花憐。俺が王なら、貴様は宰相。……実務は任せたぞ」
キースラインは、立候補届の「副会長」の欄に、勝手に天道花憐の名前を記入していた。
「ちょっ、勝手に決めないでよ! 私だって受験生……!」
「嫌か? ……俺と共に、この学園の頂点からの景色を見るのは」
殺し文句。
「頂点」=「二人きりの世界」。
花憐の脳内変換が発動する。
「……もう。しょうがないなぁ」
花憐は頬を緩ませた。
「いいわよ、やってあげる。その代わり……私の内申点も爆上げするような、すごい改革しなきゃ許さないからね!」
「任せておけ。……まずは学食に『ステーキ定食』を導入し、兵士(生徒)の肉体を強化する!」
数週間後の投票日。
齋藤・天道ペアは、歴代最高得票数(支持率98%)という圧倒的な数字で当選を果たした。
残り2%は、旧体制派の教師たちの組織票と思われる。
こうして、元勇者による「齋藤生徒会独裁政権」が樹立された。
彼の治世下において、この高校は近隣の不良校すら恐れをなす「要塞学園」へと変貌を遂げていくことになるのだが……それはまた別の話。
【事後分析報告】
読んでくれてありがとうございます。慎也です。
また僕の体が物理法則を無視した動きをしていたようですが……楽しんでいただけたでしょうか?
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