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第36話 絶対防御と共振周波数

【担当:キース】

脆弱な頭脳で我が肉体を使いこなせるかな?

開戦だ。



 魔大陸の荒野を進むこと数日。

 ついに、地平線の彼方に禍々しい塔が聳え立っているのが見えた。

 魔王城だ。


「ついに見えたな……」


 ガルドが斧を握りしめ、武者震いをする。


「ああ。だが……簡単には通してくれなさそうですね」


 慎也は冷静に前方を指差した。

 魔王城の手前、街道を完全に塞ぐようにして、巨大な「黒鉄の城壁」がそびえ立っていたのだ。


 高さ50メートル、幅数キロメートル。

 表面には複雑な魔術紋様が刻まれ、物理攻撃も魔法攻撃も跳ね返す「絶対防御」の結界が張られている。


「四天王最強の守護者、『鉄壁のグランツ』が守る大要塞だ」


 エリスが絶望的な顔で呟く。


「過去、数多の勇者がこの壁を越えられず、飢えて死にました。……正面突破は不可能です」

「試してみる価値はある!」


 ガルドが突撃し、渾身の力で城門に斧を叩きつけた。


 ガギィィィン!!

 凄まじい音が響いたが、城門には傷一つついていない。逆にガルドの手が痺れて斧を取り落とした。


「……無駄だ、人間」


 城壁の上から、重厚な鎧に身を包んだ巨漢――グランツが見下ろしていた。


「我が城壁は、魔王様の加護により『硬度』という概念を超越している。貴様らが百年叩き続けても、塵一つ削れんよ」


 完全な膠着状態。

 魔法も効かない、物理も通じない。

 だが、慎也は諦めていなかった。彼は城壁に近づき、ペタペタと手で触れ、耳を当てた。


「……おいキース、何してる?」

「静かに。……振動を聞いているんです」


 慎也は、指でコンコンと壁を叩き、その反響音を確認していた。


(……硬い物質ほど、固有振動数は高くなる。だが、どんな物質にも必ず『原子の結びつき』があり、それを揺るがす『共振周波数』が存在する)

 彼は以前、テレビで見たことがあった。オペラ歌手の声でワイングラスが割れる現象や、強風で巨大な吊り橋が崩落した事故を。


 どんなに強固な守りも、「揺れ(リズム)」を合わせれば崩壊する。


「……計算終了」


 慎也は眼鏡を上げる仕草をして、ニヤリと笑った。


「ガルドさん、エリスさん。この壁、壊すには少し『準備』が必要です」

「準備だと?」

「ええ。力任せに叩いても無駄です。ですが、特定の周期で、特定の箇所に微弱な振動を与え続ければ……この壁は自壊する」


 慎也は地面に数式を書き始めた。

 それは一撃必殺の技ではない。数週間、あるいは数ヶ月かけて、特定の「リズム」を刻む巨大な装置を作り、壁を振動させ続けるという「科学的な攻城戦」の設計図だった。


「……つまり、どういうことだ?」

「簡単に言えば、ここからしばらく『工事』の時間ということです。……長期戦になりますよ」


 慎也は、城壁の上のグランツを見上げた。


「おい、鉄壁の将軍! 貴方の自慢の壁が、ただの音波で粉々になるのを見せてあげますよ」

「ハッ! 虚勢を。出来るものならやってみろ!」


 こうして、一行は要塞の前に拠点を築くことになった。

 すぐには終わらない戦い。

 それは日本でキースラインが挑む「受験戦争」と同じく、地道で、しかし確実な勝利への布石を打つ日々のはじまりだった。


【総統通達】

読者諸君。我だ。

あの優男(慎也)め、相変わらず理屈っぽい戦い方をしていたな。我ならば一撃で粉砕していただろうに。


まあよい。今回の話に少しでも心が動いたならば、【ブックマーク】および、下部の【★★★★★】にて、我への忠誠を示せ。


良い評価は、次なる戦い(執筆)への糧となる。期待しているぞ。


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