表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/36

第19話 神域での中間報告会

【担当:創造のことわり

ここは世界の狭間。二つの魂が触れ合う、聖なる場所……。

しばし、運命の深淵を覗いてみましょう。



 【日本、文化祭当日】

「総員、配置につけ! 第一陣(客)が来るぞ! 悲鳴の雨を降らせろ!」


 キースラインが段ボールの要塞で号令をかけた、その瞬間。



 【異世界、早朝の森】

「演算終了。右、30度!」


 慎也が襲いかかる魔狼の首を跳ね飛ばした、その瞬間。



 ――パチン。

 指を鳴らす音が響き、世界が白に染まった。


 ***


 気づけば、二人は再びあの「白い部屋」に立っていた。

 目の前には、光り輝く玉座に座る神。

 そして、互いの姿。


「……あ?」


 キースラインは、ペンキまみれの作業着姿で、手にガムテープを持ったまま固まった。


「……え?」


 慎也は、返り血を浴びた鎧姿で、聖剣を構えたまま固まった。


「やっほー。元気してた?」


 神が軽い調子で手を振った。


「久しぶりね。ちょっとここらで『中間報告』を聞こうと思って、呼び出してみたわ」

「貴様……!」


 キースラインが青筋を立てて詰め寄ろうとする。


「いいところで邪魔をするな! 今まさに我がクラスの威信をかけた作戦(お化け屋敷)が始まるところだったのだぞ!」

「……キース、さん?」


 その声に、キースラインは足を止めた。

 目の前にいるのは、かつての自分の体。


 だが、その雰囲気は第1話で見た時の「怯える小動物」とは別人のように変わっていた。

 立ち方は隙がなく、瞳には冷徹な理性の光が宿っている。


「ほう……。少しはマシな面構えになったようだな、貧弱男」


 キースラインはニヤリと笑った。


「俺の最強の肉体を使って、芋虫のように這いつくばっていたら殺してやるところだったが……どうやら、それなりに使いこなしているようだな」

「……おかげさまで」


 慎也は眼鏡のない目を細めた。


「貴方の体は凄すぎます。最初は振り回されましたが、今はなんとか『制御』していますよ」


 慎也もまた、目の前の「自分の体」を見て驚いていた。

 猫背で自信のなかった自分が、胸を張り、堂々とした王者の風格を漂わせている。


(僕の顔って、自信を持つとあんなに変わるのか……)


「さて、二人とも」


 神がパン、と柏手を打った。


「ぶっちゃけ、どう? そろそろ元の世界が恋しくない? 今なら特別に、元に戻してあげてもいいけど」


 神の提案に、二人は顔を見合わせた。

 そして、ほぼ同時に口を開いた。


「「断る」」


 声が重なった。

 神がキョトンとする。


「え? なんで?」

「ふん。俺は今、忙しいのだ」


 キースラインは腕を組んだ。


「あの世界は平和ボケしているが、飯は美味いし、文明エンタメは面白い。それに……ようやく手に入れた『部下』たちを放り出して帰還するなど、王のすることではない」


 彼の脳裏には、慕ってくれるクラスメイトや、弁当を作ってくる参謀(花憐)の顔が浮かんでいた。


「僕もです」


 慎也も静かに首を横に振った。


「僕は……まだ、何も成し遂げていません。あっちの世界で、僕は自分の甘さのせいで過ちを犯しました。このまま逃げ帰ったら、一生後悔する」


 彼の手は、血に塗れた記憶を忘れていない。


「魔王を倒すまで……いや、僕が『強さ』の本当の意味を知るまでは、帰りません」


 二人の返答に、神は目を丸くし――そして、ニヤリと笑った。


「……へぇ。面白いこと言うようになったじゃない」


 当初の予定では、泣きを入れた二人を適当なところで戻すつもりだった。

 だが、今の二人はどうだ。

 それぞれの世界で、新しい「自分」を見つけようとしている。


「分かったわ。なら、続行ね」


 神は指を立てた。


「ただし、条件を追加する。……どっちかが『死ぬ』か『心が折れた』時点で、強制終了ゲームオーバー。二度と戻れないと思いなさい」

「望むところだ」


 キースラインは不敵に笑い、


「了解しました」


 慎也は覚悟を決めて頷いた。


「あ、そうだキースさん」


 消える直前、慎也が声をかけた。


「僕の体、筋肉痛が酷いんですけど……何やってるんですか?」

「筋トレだ。貴様の体が貧弱すぎて話にならんからな」

「えぇ……受験勉強に支障が出ない程度にしてくださいよ……」

「知らん。貴様こそ、俺の体に傷をつけたら承知せんぞ」


 言い合う二人の姿が薄れていく。

 光に包まれながら、彼らは互いに確信していた。

 あいつなら、やってのけるだろう、と。


 ***


 【日本、文化祭会場】

「――よし、総員突撃! 客を恐怖させろ!」


 戻ってきたキースラインは、何事もなかったかのように指揮を再開した。



 【異世界、森の中】

「……ふぅ。行きますか」


 戻ってきた慎也は、聖剣を握り直し、再び魔狼の群れへと飛び込んだ。


 それぞれの魂は、今や完全に、その世界の住人として根付き始めていた。


【神託】

世界の真実に触れた旅人(読者)たちよ。

彼らの運命をより良き方向へ導くため、【ブックマーク】という名の加護と、下部の【★★★★★】という名の祈りを捧げなさい。


貴方たちのその想い(ポイント)が、彼らの未来を紡ぐ糸となるのです……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ