表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/36

第18話 偏差値70の戦闘理論

【担当:キース】

脆弱な頭脳で我が肉体を使いこなせるかな?

開戦だ。



 早朝の森に、激しい金属音が響き渡っていた。


「おらぁ! どうした勇者様! 動きが硬いぞ!」


 ガルドの巨大な戦斧が、風を切り裂いて迫る。

 慎也は聖剣を盾にして、その一撃を受け止めた。


 ガギィィン!!

 凄まじい衝撃が腕を走る。だが、以前のように吹き飛ばされはしない。


(……来る。右足への重心移動。肩の回転角30度)

 慎也の眼鏡のない瞳が、ガルドの動きを冷静にスキャンしていた。


(斧の軌道は放物線を描く。初速度と質量から予測される落下地点は――ここだ!)

 慎也は半歩だけ右に退いた。


 ヒュン!

 ガルドの斧が、慎也の鼻先数ミリを掠めて地面に突き刺さる。


「なっ!?」


 ガルドが目を見開いた。

 完璧な見切り。しかも、無駄な回避行動が一切ない。


 以前のキースラインなら、咆哮と共に力任せに弾き返していただろう。だが今の彼は、まるで精密機械のように攻撃を「処理」している。


「……反撃開始」


 慎也は小さく呟いた。


(てこの原理を利用。支点は左足、力点は腰。ベクトルを剣先に集中させて……運動エネルギー最大化!)


 「F = ma(力とは質量×加速度である)……!」


 慎也は謎の呪文(物理公式)を口ずさみながら、聖剣を振るった。

 それは剣術の型とは程遠い、最短距離の突き。


 しかし、勇者のステータスという「莫大な質量」に、理論に基づいた「最適な加速」が乗った一撃は、凶悪な威力を生んだ。


 ズドン!!

 剣の腹で叩かれたガルドが、巨木のように吹き飛び、背後の木に激突した。


「ぐはっ……!?」


 ガルドは地面に転がり、呻き声を上げた。


「い、ってぇ……。なんだ今の? 剣術じゃねぇぞ……タイミングだけで俺の力を利用しやがった……」


 見守っていた聖女エリスが、目を輝かせて駆け寄ってきた。


「すごいですキースライン! あのガルドを一撃で! 今のは新しい剣技ですか?」

「い、いえ。ただの……物理演算です」


 慎也は肩で息をしながら答えた。


「ブツリエンザン……? やはり、古代の秘術ですか……」


 エリスは感心してメモを取っている。


 慎也は自分の手を見つめた。

 キースラインのような野性的な勘は、自分にはない。

 人を傷つけることへの忌避感も、まだ完全には消えていない。

 だからこそ、慎也は戦いを「数式の処理」に置き換えることにしたのだ。

 敵を「倒すべき物体」として捉え、最適な解(攻撃)を算出する。そうすることで、恐怖心を理性で抑え込むスタイルだ。


「……気持ち悪い戦い方しやがる」


 ガルドがふらつきながら立ち上がった。その顔には、呆れと同時に、隠しきれない戦慄が浮かんでいる。


「ブツブツ変な数字を呟きながら、機械みたいに正確に急所を狙ってきやがる。……前の暴れん坊だった頃より、底が知れなくて不気味だぜ」

「ありがとうございます。……最高の褒め言葉です」


 慎也は真面目な顔で一礼した。

 ガルドの目には「不気味」と映ったかもしれないが、慎也にとっては、これが生き残るための唯一の武器なのだ。


「よし、休憩終わりだ! 次は二対一(俺とエリス)でやるぞ!」

「えっ、エリスさんもですか!?」

「当たり前だ! 魔法攻撃への回避計算とやらもやってみせろ!」


 再び始まる地獄の特訓。

 しかし、今の慎也の目に迷いはなかった。

 日本の受験戦争を勝ち抜いた頭脳は、異世界の戦闘においても強力な武器となる。


 「インテリ勇者」の爆誕である。


【総統通達】

読者諸君。我だ。

あの優男(慎也)め、相変わらず理屈っぽい戦い方をしていたな。我ならば一撃で粉砕していただろうに。


まあよい。今回の話に少しでも心が動いたならば、【ブックマーク】および、下部の【★★★★★】にて、我への忠誠を示せ。


良い評価は、次なる戦い(執筆)への糧となる。期待しているぞ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ