表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/38

第10話 俺の女(部下)になれ

【担当:慎也】

僕の日常がこれ以上壊れませんように……。

本編スタートです。


 放課後の図書室。

 そこは、この学校における「知識の宝庫」であり、キースラインが次に征服すべき場所だった。


「……ふむ。この世界の歴史、経済、そして『物理法則』……。興味深い」


 キースラインは、積み上げた専門書の山を前に唸っていた。

 神の翻訳チートのおかげで、活字中毒のように知識を吸収しているのだ。


 だが、独学には限界がある。効率よくこの世界を支配するには、案内人ガイドが必要だ。


 その時、視界の端に一人の女子生徒が映った。

 窓際の席で、優雅に洋書を読んでいる黒髪の少女。


 天道花憐てんどう かれん

 この学園で唯一、齋藤慎也(の体)と互角以上の成績を誇る、学年トップの秀才だ。


(ほう……。あの女、いい魔力(知性)の目をしている)

 キースラインは直感した。

 彼女ならば、俺の覇道の助け(要するに辞書代わり)になるだろう、と。


 キースラインは迷わず彼女の席へと歩み寄った。

 そして、ドンッ! と彼女の机に両手をつき、上から覗き込んだ。


「……っ!?」


 花憐がビクッとして顔を上げる。


「さ、齋藤くん……? なに、急に……」

「おい、女」


 キースラインは、至近距離で彼女の目を射抜いた。


「貴様、俺のモノになれ」

「は――――――――!?」


 図書室の空気が止まった。

 花憐の顔が、ゆでダコのように真っ赤に染まる。


「な、ななな、何を言って……!?」

「言葉通りの意味だ。俺には貴様の頭脳が必要だ。黙って俺についてこい」


 キースラインは真剣そのものだった。

 この世界で生き抜くための「参謀」として勧誘しただけだ。

 だが、翻訳ニュアンスが致命的に足りていなかった。


(ちょ、ちょっと待って……! 齋藤くんって、こんなキャラだったっけ!?)

 花憐は大混乱していた。

 いつもは目を合わせようともせず、ボソボソと挨拶するだけの陰キャだったはず。

 それが、どうだ。

 眼鏡の奥から覗く瞳は、肉食獣のように鋭く、有無を言わせぬ支配者のオーラを放っている。


(強引……! でも、私を必要だなんて、こんな真っ直ぐな目で……!)

 勉強ばかりで恋愛免疫ゼロの優等生には、刺激が強すぎた。


「お、お断りよ! あなたなんかのモノになんて……!」


 花憐は震える声で精一杯の拒絶をした。

 だが、キースラインは引かない。


「拒否権などない。俺が選んだのだ。光栄に思え」


 グイッ、と彼女の顎を持ち上げる(※ただ顔をよく見たかっただけ)。


「ひゃうっ!?」

「ふん、悪くない顔だ。貴様なら俺の隣に立つ資格があるだろう」


 ――『はい、そこまで』


 お馴染みの神の声と共に、強烈な頭痛が走った。


「ぐっ……!?」


(ナンパ禁止。あと顎クイ禁止。セクハラで訴えられたら、お前の高校生活そこで終了よ?)


「……チッ」


 キースラインは舌打ちをして手を離した。

 まだ交渉の途中だというのに。


「……まあいい。今日はここまでにしておいてやる」


 キースラインは踵を返した。


「だが、俺は諦めんぞ。貴様の知識、骨の髄までしゃぶり尽くしてやるから覚悟しておけ」


 捨て台詞(※勉強教えてねの意味)を残し、元勇者は風のように去っていった。

 残されたのは、腰が抜けて椅子にへたり込んだ花憐だけ。


「……なによ、あれ……」


 彼女は熱くなった頬を両手で押さえた。


「いきなりあんな……バカじゃないの……」


 口では悪態をついているが、その心臓の鼓動は、人生で一番激しく鳴り響いていた。

 こうしてキースラインは、意図せずして「学園の女帝」を攻略ルートに乗せてしまったのだった。


【事後分析報告】

読んでくれてありがとうございます。慎也です。

また僕の体が物理法則を無視した動きをしていたようですが……楽しんでいただけたでしょうか?


今後のデータの参考にするため、よろしければ「ブックマーク」と、下にある【★★★★★】で評価を入力していただけると助かります。


皆さんの応援エネルギーが、僕たちの生存確率を上げます。よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ