表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライバル優等生とエロ漫画描いたら恋に落ちた  作者: ほしみん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/32

第02話 優等生~Side 黒~

 中間試験の結果が返ってきた。


 教室。


 またか。


 中間試験の結果が返される。


 ということは――白石遥が突っかかってくる。


 毎回、同じだ。

 うんざりだ。


「はい、では中間試験の結果を返します」


 担任教師が、成績表を配り始める。


 生徒たちが、それぞれ封筒を受け取る。


「黒澤」


 俺は立ち上がり、教壇へ向かう。


 やる気のない足取りで。


 封筒を受け取る。


 席に戻り、開封する。


 ――中間試験成績表――

 総合得点:486点

 学年順位:1位


(……また1位か)


 特に喜ぶこともなく、俺は成績表を閉じて席に戻ろうとした。


 その時――


 後ろから声。


「あたし、また2位だったんだけど」


 ……来た。


 振り返ると、白石遥が立っている。


 腰まで届く黒髪のストレートロング。

 整った顔立ちに、どこか気の強そうな瞳。

 制服を着こなした、スラリとした体型。


 クラスでも一、二を争う美人だ。


 でも。


 俺にとっては、ただの面倒な女だ。


「あんた、どうせまた1位なんでしょ?」


 そんなクラスの美少女白石が、美人に似合わぬ形相で俺のところにズカズカと近づいてくる。


 そして、有無を言わさず俺の成績表をひったくる。


「おい……」


 返せ、と言おうとしたが。


 白石が成績表を見る。


「……やっぱり!」


 白石の顔が悔しそうに歪む。


「8点差……たった8点で……」


 白石が自分の成績表を俺に突きつける。


 ――総合得点:478点――

 ――学年順位:2位――


「見て!あたしだって頑張ったのに!」


「で?」


 冷たく言う。


「俺に何の関係が?成績表返せ」


 白石がきーっとなる。


「関係あるでしょ!」

「まだよ!」


 白石が俺の成績表を掲げる。


「数学100点、国語98点、英語97点……全部高得点じゃない!」


「……だから?」


「全部、微妙にあたしより良いのよ!一つも勝ててないの!」


 白石が悔しそうに言う。


「あたしだって数学98点取ったのよ!それなのに……」


「2点差だな」


 無表情で言う。


「うっ……」


 白石の顔がさらに悔しそうになる。


 ……面倒くさい。


 この女は、いつもこうだ。

 成績が返されるたびに突っかかってくる。

 負けず嫌いで、プライドが高くて、一度決めたら譲らない。


 俺は別に、競争したいわけじゃない。

 二位だろうが何位だろうが、十分な成績ならそれでいい。

 ただ、普通に生きたいだけなのに。


 周りは勝手に「夫婦」だの「好き」だの言う。


 それが――なにもかもが全部、面倒だ。


 特に、白石遥が。


 周囲がざわめき始める。


「今日も白石、黒澤に絡んでるな」

「あの二人、毎回これだよな」


 クラスメイトの声が聞こえる。


「いい加減返せ」


 俺は成績表を奪い返す。


「――次のテストで絶対勝つんだから!」


「……そうか」


 淡々と言う。


「なによその態度!」


「別に。頑張れば」


「きーっ!!!」


「あの夫婦、またやってるよ」


 誰かが言った。


 その瞬間――


「夫婦じゃない!」


 俺は低い声で言う。


「夫婦じゃない!」


 白石も叫ぶ。


「……」

「……」


 気まずい沈黙。


 顔を見合わせる。


 白石の顔が、みるみる赤くなる。


 ……仲良くない。


 むしろ、関わりたくない。


 白石遥とは、一秒たりとも関わりたくない。


「ほら、息ぴったりじゃん」

「やっぱ夫婦だろ」

「もう付き合っちゃえよ」


 クラスが笑う。


「ち、違うから!」


 白石が真っ赤になって否定する。


「……」


 俺は黙る。


 否定する気力もない。


「あんたは黙ってて!」


 白石が俺を睨む。


「……黙ってるが」


「だいたいあんたは、いつもそうやって冷静ぶって!」


「冷静ぶってるんじゃない。お前に興味がないだけだ」


「……!」


 白石の顔が、さらに赤くなる。


「それが腹立つのよ!」


「知らん」


「ああもう!次は絶対負けないから!」


 白石が席に戻る。


 クラスメイトがまた笑う。


「白石、完全に黒澤のこと好きだろ」

「ツンデレってやつ?」

「黒澤の方は全然気にしてなさそうだけど」


(……まったく気にしてない)


 白石遥。


 学年2位。成績優秀、容姿端麗、スポーツ万能。

 クラスの人気者で、明るくて社交的。誰とでも仲良くできる。


 ……俺以外には。


 俺に対してだけは、いつもこうだ。

 成績が返されるたびに突っかかってくる。

 負けず嫌いで、プライドが高くて、一度決めたら譲らない。


 俺は別に、競争したいわけじゃない。

 二位だろうが何位だろうが、十分な成績ならそれでいい。

 ただ、普通に生きたいだけなのに。


 周りは勝手に「夫婦」だの「好き」だの言う。


 それが――なにもかもが全部、面倒だ。


 白石遥が、一番面倒だ。


 関わりたくない。

 話したくない。

 視界にも入れたくない。


 そんな女だ。


 放課後。


 人目を避けて、屋上へ。


 階段を上がる。

 誰にも会わないように、足音を忍ばせる。


(……ここなら、誰もいない)


 屋上のドアを開ける。


「……やっと一人になれる」


 ドアを閉める。

 誰もいない。


 風が吹く。

 遠くで部活動の声が聞こえる。


 でも、ここは静かだ。


 スマホを取り出す。


『小説家になろう』のマイページ。


 PVカウンター:7。


「……また一桁か」


 ため息。


 昨日投稿した新作。

 5万字書いた異世界ファンタジー。


『異世界転生~勇者の帰還~』


「今流行りの異世界転生。これなら読まれるかもしれない」


 そう思っていた。


 でも、現実は――


 PVカウンター:7。


 一週間経っても、一桁。


(……誰も、読んでくれない)


 既存作品も確認する。


『魔法学園の日常』:PV 5

『転生した俺が最弱スライムになった件』:PV 3

『女騎士がエロスライムに凌辱された件について』:PV 23


 基本一桁。

 エロ短編だけが、かろうじて二桁。それでも低い。


「……くそ」


 学校では、成績トップ。

 テストで1位を取るのは、簡単だ。だって答えがあるのだから。


 勉強すればいい。

 覚えればいい。

 解ければいい。


 でも――


 PVを上げることは、そうはいかない。


 どんなに頑張って書いても。

 どんなに時間をかけても。

 どんなに面白いと思っても。


 読まれない。


(……成績よりPVを上げることの方が、よっぽど難しい)


 ため息をつく。


 風が吹く。


 夕日が、屋上を赤く染めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ