表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/16

第13話:もう、隠さない

あの告白から、少しだけ時間が経った。


俺――涼は、もう悠真に対する気持ちを隠さなくなっていた。

いや、正確に言えば――もう、隠す必要がなくなったんだ。


学校でも、帰り道でも、休日のデートでも。

周囲の目なんて、もう怖くない。


「ゆ~う~ま~っ、チューしよっか? ……えへへ♪」


そう囁くと、悠真はほんの少しだけ目を見開いて、照れくさそうに頬を赤らめる。

でも――それでも、俺の願いにはちゃんと応えてくれる。


「……まったく、お前ってやつは」


呆れたふうに笑って、でもその手は優しく俺の頭を撫でてくれる。

その仕草が、もう……たまらなく嬉しい。


最近では、学校でもすっかり「公認カップル」扱いだ。


「はいはい、ごちそうさまね~」

「朝から糖度高すぎて胃もたれしそうなんだけど」

「またイチャついてる……って、あれ? もう普通か……」


周囲の反応は、もはや諦め混じりの苦笑とため息。

けど、俺は気にしない。むしろ誇らしい。


だって、俺の「大好き」は――もう、我慢しなくていいものだから。


誰にも言えずに隠していたあの想い。

自分なんかじゃきっと報われないって、ずっと押し殺してきた感情。

それを今は、こうして堂々と――いや、ちょっと過剰なくらいに(笑)、表に出している。


悠真に向けて、惜しみなく。


そして今では、俺と悠真が付き合っていることは、学校中の誰もが知っている「周知の事実」になっていた。


……とはいえ、この時代、若い女性はとても少ない。

同世代の女子生徒なんて、学年に数人いるかどうか。

その分、彼女たちはほとんどが特別な保護下に置かれたり、家の事情で外に出ることすら制限されることもある。


そんな中で、かつて悠真が街中で告白された“あの女優”は、むしろ例外中の例外だ。

あんな美人に声をかけられるなんて、普通は一生に一度あるかないかの話。


だからこそ、その話が一部の生徒に知られたとき、驚きと噂が一気に広がった。

「女性から告白されて断ったらしいぞ」「マジかよ……」

まるで都市伝説でも語るかのように。


そして、むしろ最近多いのは――俺に告白してくる男子たちだった。


最初は戸惑ったけど、今ではちゃんと、心を込めて断っている。


「気持ちは嬉しいよ。でも、ごめんなさい。

 俺、生涯一人しか愛さないって決めてるんだ。

 その人から、ちゃんと……愛されてるってわかってるから」


そう言うと、大抵の相手は少し驚いたように目を丸くして、でも最後は不思議と納得してくれる。

“誰かを本気で想っている”って、きっとそれだけで伝わるものがあるんだと思う。


ある日の昼休み。


俺は悠真の机にお弁当を広げて、にこにこと笑いながら声をかけた。


「ゆうま~、あーんして♡」


「……ったく、誰のせいで、俺がこんな目にあってると思ってんだよ……」


文句を言いつつも、ちゃんと口を開けてくれる悠真。


「んふふ、美味しい?」

「……ああ。めっちゃ、美味い」


その一言だけで、胸の奥があったかくなる。

――ああ、幸せだ。ほんとうに、心からそう思える。


もう、隠す理由なんてどこにもない。


好きな人が、自分の隣にいてくれる。

名前を呼んでくれる。手を繋いでくれる。

そして、なにより――俺を、愛してくれる。


誰に何を言われたってかまわない。

だって、これが俺の“生き方”なんだ。


(俺、いま――ちゃんと“俺”のままで、生きてる)


過去に傷ついたことも、泣いた夜も、もう全部、乗り越えた。

これから何があっても、たぶん大丈夫。


――だって、隣には悠真がいてくれる。


その手を、もう絶対に離さない。

どこまでも、一緒に歩いていくんだ。


俺の“愛”を、もう二度と――隠したりしない。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ