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カードゲーム世界に転生したけど所持デッキが激ヤバすぎる件  作者: 銀猫


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19/21

深淵にこそ、光あり

「オレのターン!!エナジーチャージ、ターンエンド」

「私のターン、ドロー、エナジーチャージ、ターン終了」


 深い怒りと共に激突したフミカゲだったが、バトルの始まりは驚くほどに静かにスタートした。

 心は熱く、頭は冷たく。バトラーの心得として有名な言葉だ。


「オレのターン!ドロー、エナジーチャージ!闇2エナジー、墓掘り骸骨(スケルトン)を召喚!」

『墓掘り骸骨 1/1』


片手にピッケルを持った骸骨が、地面から這い出るように姿を現す。


「フィールド、無限墓標の効果!一ターンに一度、自分フィールドのモンスター一体を破壊し、破壊したモンスターのコストと同じ数をデッキの上から墓地に送る!!」


 カタカタカタ、と笑うように顎の骨を鳴らす墓掘り骸骨は、無限墓標の効果によって爆散し、ただの骨片となって地面に散らばる。


「墓掘り骸骨の効果!このカードが破壊された時、デッキの上から1枚を墓地に送る!」


 無限墓標と墓掘りグールの効果により、合計3枚のカードがデッキか墓地に送られた。

 一連の行動で、フミカゲのデッキ特性が大まかではあるが把握できた。闇属性が得意とする墓地利用デッキ。しかもフィールドカードも利用した特化型だろう。


「オレはこれでターンエンド」


 自分のモンスターを自壊する事で墓地を肥やせる強力な効果を内包したフィールド。おそらく解放条件も墓地に関係する筈。

 解放を目指して墓地肥やしばかりすればフィールドがガラ空きになり、ライフを大きく削られるかもしれない。


 フィールド解放と盤面勝負の両立は、全てのバトラーの課題だ。


「私のターン、ドローエナジーチャージ、私は虚無2エナジーを支払い愚鈍の信者を召喚。ターンエンド」

『愚鈍の信者 2/2』


 フードの男は標準ステータスのモンスターをフィールドに立てる。

 このまま墓地肥やしばかりすれば、モンスターに殴り殺されてゲーム終了。

 ここからは、バトラーとしての腕が試される。


「オレの、ターン!!」


 カゲフミは盤面を処理しつつ、墓地肥やしを狙いながらも適度に相手を攻めていく。

 ライフを削る姿勢を見せ、少なからず相手にプレッシャーを与える事で選択肢を削ぐ。カゲフミはバトラーとして一流の腕を持っているようだ。


「虚炎の武神官で攻撃」

「黒霧の墓守でブロック」


 虚ろな炎を纏う神官が、鎌を携えた黒い霧の塊に突撃する。

 放たれる拳。カウンターに放った黒い刃が神官の体を切り裂くと同時に、炎を纏った拳が霧を貫き、爆炎と共に爆散させた。


「破壊された黒霧の墓守の効果。このカードが破壊された時、墓地のコスト4以下のスペルを一枚回収できる。オレはゾンビアサルトを回収」


 誰かが言った。カードゲームにおいて墓地とは第二の手札である。

 闇属性のカードにとって、墓地とは使い終わったカードを置く場ではなく、リソースの塊そのもの。

 墓地肥やしによって増えた選択肢の中から、必要な手を回収する。


「私はターンエンド」

「オレのターン!」


 ここまで肥やしてきた墓地は潤沢なリソースとなる一方、墓地と引き換えにライフというリソースを払い続けたカゲフミ。

 フードの男とのライフ差は大きい。


『朧月カゲフミ 4』

『虚教団の男 20』


「闇7エナジー、スペル、冥界の扉を発動。オレの墓地からコスト2以下のモンスターを4体まで蘇生させる!」

『墓堀り骸骨 1/1』

『スケルトンウォリアー 2/2』

『スケルトンウォリアー 2/2』

『人喰い屍鬼グール 3/1』


 スペルによる低コストクリーチャーの大量展開。これ以上のライフ喪失はそのままゲームの敗北に直結しかねない。

 幸い敵の盤面は今は空だ。今のうちに抵コストモンスターで壁を作るのは良い一手だ。


「ターンエンドだ」

「私のターン」


 だが、敵もまたこの場面を狙っていた。


「虚無7エナジー、虚光の祭司を召喚。虚光の祭司の効果により、コスト3以下のモンスターは全て効果を失う」

『虚光の祭司 5/5』


 恐らく教団が操るモンスター固有の能力。相手モンスターの能力を剥奪する虚無化パニッシュメント

 効果モンスターをバニラモンスターに変え、かつバニラモンスターを無力化する能力に長けたカード群。

 男が召喚した虚光の祭司により、カゲフミのモンスター達は能力を失った。


「更にフィールド虚無神殿の効果発動。相手フィールドの効果を持たないモンスターの数だけこのカードにカウンターを乗せる。私は合計4個のカウンターを乗せる」


 一気に4つのカウンターがフィールドに乗った。あと一つカウンターが乗れば、フィールドが解放され、今カゲフミの場のモンスター達は戦闘能力を無力化されてしまう。


「私はこれでターンエンド」

「オレの、ターン!!ドロォー!!エナジーチャージィ!!」


 カゲフミのエナジーは8。ビックアクションを起こすには十分な数だが、いまだフィールドは解放されておらず、盤面にモンスターこそいるが、勝負を決めきる事はほぼ不可能だろう。


「闇、8エナジー」


 次のターン、相手はほぼ確実にフィールドを解放してくる。ライフ差もあり、状況は圧倒的に不利。

 だが、だが、だが!!カゲフミの瞳に映るのは、勝利への道筋のみ。


「いくぞ、ウル」

「うん!!」


 姿は見えない。けれど、聞いた事のある少女の声が聞こえた。


「無限の果てより現れ、輪廻を飲み込め!!混沌の蛇!!」


 無限を冠し、世界の終わりを見定める蛇龍が、大地を砕き輪廻の果てより姿を現す。


「無限龍ウルボロスを召喚!!!!」

『無限龍ウルボロス 8/8』


 黒い鱗を静かに波打たせる巨大な蛇龍。ただこの場にいるだけで、意志の弱い者なら迷わず膝を折るほどの圧を振りまく。

 この黒き蛇龍こそ、正真正銘朧月カゲフミの切り札。


「ウルボロスの効果発動。このカードがフィールドに出た時、相手モンスターを一体破壊する。虚光の祭司を破壊ィ!!」


 蛇龍の口に、紫のヒカリが収束する。


「ワールドデストラクション」


 世界すら破壊しかねない紫光は虚光の祭司を飲み込み、跡形もなく消し飛ばした。


「バトル!人喰い屍鬼とスケルトンウォリアーで攻撃!」

『虚教団の男 20→15』

 

 フィールドが空になった男に、人喰い屍鬼とスケルトンウォリアーの攻撃がヒットし、大きくライフを削る。他のモンスターも使いフルアタックすれば更にライフを削れるが、カゲフミのライフは既に危険水域。不意の攻撃に対応するため、防御要員は余裕を持って多めに確保しておきたい。


「オレはこれでターンエンド」


 カゲフミの盤面には5体のモンスター。内1体は大型。対して教団の男の盤面にはモンスターはいない。

 盤面は完全にカゲフミが有利。


「私のターン」


 だが、気を付けなければいけない。

 ステラバトルにおいて、盤面の有利など、僅か一手で覆る可能性をはらんでいる。


「フィールド、虚空神殿の効果。相手フィールドの効果を持たないモンスターの数だけこのカードにカウンターを乗せる」


 新たに4つのカウンターが乗せられる。先ほどのターンに乗った物と含めると、合計8つのカウンターが虚空神殿に乗せられた。

 つまり、


「フィールド解放、虚空神殿」


 虚空神殿より光の鎖が放たれ、ウルボロスを除くカゲフミのモンスター達の動きを封じ込める。

 解放されたフィールドが、能力を消されたモンスター達の動きを許さない。


「虚無8エナジー」


 カゲフミにビックアクションを起こせたということは、後攻の教団の男にも起こせるという事。


「虚光の大司祭を召喚」

『虚光の大司祭 7/7』


 何もない虚無の地平線。虚ろな神が齎す真の無を、求め崇める狂信者が召喚される。


「虚光の大司祭の効果発動。このカード以下のコストを持つ相手モンスター1体の能力を消し去る。パニッシュレイ」


 狂信者が放った虚ろな光が、ウルボロスを貫いた。虚神より与えられた力は、例え巨大な蛇龍であろうと関係ない。夜の様に深い黒色は、何もない虚白に染め上げられた。


「自分の虚無属性フィールドが解放されている為、虚光の大祭司の覚醒効果が発動する。虚光の大司祭がフィールドにいる限り、能力を持たない相手モンスターはブロックすることが出来ない」


 フィールドの解放効果によって攻撃が封じられ、虚光の大司祭の覚醒効果でブロックが封じられた。どれだけカゲフミのフィールドにモンスターがいようと、能力を失ったモンスター達は案山子以下の置物でしかない。

 

 解放されたフィールドはモンスターの覚醒を促す。

 フィールド解放前のプレイヤーと解放後のプレイヤーでは、同じカードでも天と地ほどの差を生み出すこともある。


「ターンエンドです」


 カゲフミのターン。未だフィールドには5体のモンスターがいるが、能力を失ったモンスター達は完全に封じ込められ、存在しないのと同じ。


「……オレの、ターン」


 切り札のウルボロスですら、神殿に捕えられた。これからどんなモンスターを出そうとも、能力を消されてしまえば同じく封じ捕らえられる。教団の操るデッキは、容赦なく虚無に染め上げるだろう。フィールドが解放されてしまった以上、バトル場で逃れる術はない。

 並みのバトラーなら、心が折れても仕方がない盤面。


「……知ってるさ」


 だが、カゲフミは、


「テメェ等の戦い方なんざ、全部知ってるんだよォ」


 未だ、瞳に光が灯っている。


「あァ、そうさァ。あの時から、テメエ等の戦い方は全部予習済みだァ!!」


 ステラバトルは僅か一手で、盤面の有利を覆しうる可能性をはらんでいる。


「オレは、無限墓標の効果を発動ォ!!!!」


 フィールド解放前と解放後では、同じカードでも天と地ほどの差を生み出すこともある。


 カゲフミのフィールドは、まだ解放されていない。

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