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弱小調査団の大口団長とシゴデキ副団長  作者: 水津希理
休講続きのリーベカッツェ教授
6/12

その後の日常

 それから1か月後、ジョナサンとアリーナは団長室で話をしていた。

「リーベカッツェ教授、衰弱していただけで大きなケガがなくてよかったですね」

「ああ、講義も再開したらしいな」

「それにしても、やっぱりあなたは無謀ですよ」

「いいだろ。ああいうのは早い方がいい。実際教授は無事だったんだからさ。それに、どんな依頼も解決するのが、俺たちのモットーだろう?」

「はいはい」

 アリーナがジョナサンをそう軽くあしらっていると、遠慮がちなドアノッカーの音が聞こえてきた。アリーナは今出ますと言って、ドアを開けた。そこにはマシューとライナス、ケイトの3人が立っていた。3人とも、事件は解決したというのに表情は明るくない。その表情は、快晴の空と好対照をなしていた。

「こんにちは。あなたたち、またどうしたのですか?教授もエミールも助けましたよ」

 そう言いながら、アリーナは3人を応接室に迎え入れた。


 「アリーナさん、聞いてくださいよ」

 そう口火を切ったのは、マシューだった。その声はわかりやすく悲哀を帯びていた。

「一体なにがあったのですか?教授は、もう授業を再開したではありませんか」

 アリーナの問いに、ケイトが答えた。

「そうなんですけど、ひどい話ですよ!教授は以前にもまして、猫の話しかしなくなっちゃったんです!」

「そう、エミールが無事だったのがかなり嬉しかったらしくて、毎日毎日猫の話ばかり。教科書が進まないって、ゼミのみんなは頭を抱えていますよ」

 ライナスは友達の話に同調した。その言葉に、アリーナは絶句した。

「今の話、聞かせてもらったぜ」

 一同が声のした方を向くと、いつの間にかジョナサンが応接室の扉にもたれかかるように立っていた。

「お前らの話は、よーくわかった。でもよ、猫の話さえうなずいて聞いていれば、単位は来るんだろ?こんな楽な話はないぜ」

「何の解決にもなっていません!」

 アリーナはそう言ったきり、頭を抱えてしまった。3人の学生たちも、ただ呆れるしかなかった。

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― 新着の感想 ―
ギャングのくせに猫誘拐犯とは、犯罪者としてのレベルも、ヒトとしてのレベルも低い奴らですな。
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