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【12/19書籍発売】竜王陛下の運命になれなかった私が、魔国で愛されお世話係に!? 聖花を癒やす弦歌の乙女(旧:運命は、手に入れられなかったけれど)  作者: 夕立悠理
婚約騒動編

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(記念ss)星に願いを

ずっと、恋というものをしたことがなかった。

 ーーいいものよ、と人は笑う。

 ーー辛いものだ、と人は泣く。

 ーー幸せなの、と人は歌う。

 ーーもうたくさんだ、と人は嘆く。


 だから、俺にとって恋とはどういうものなのか。

 ずっと、知りたかった。

 でも、もしかしたら、それを知る日はないのかもしれないとも考えていた。


 でも、幸運なことに恋をして。

 ーーそして、今。


「……………」

 吐き出した息が、白い。

 魔王国フィガルド。

 周りを五国に囲まれたこの国は、夜になると気温が落ちるのだ。


 星空を見上げながら、再び息を吐き出す。

 

「ガロンさん!」

 この世の何より甘く聞こえる声がした。

「……ラファリア?」

 振り向くと、思った通り最愛の女性ーーラファリアが立っていた。


「こんなところにいたんですね。マギリも、ガロンさんを探してましたよ」


 そう言って俺の頬に、手を添える。


「わ、冷たいですね。早く城の中に入りましょう!」

「……ラファリア」


 名前を小さく呼ぶ。

「はい」

 桃色の瞳は柔らかい光を宿しながら、俺を見つめていた。

 その瞳に映るだけで、こんなにも満ち足りた気持ちになること、恋をしなければ、知らないままだった。

 

「恋というものについて、考えていた」


 俺は、あまり口が回る方ではないけれど。

 それでも、伝えたくて。


「あなたに出会えて、毎日がより楽しい」

 

 国を背負う、その重責から逃げたいと思ったことは一度もない。この国を心から愛おしく思っている。

 でも、王としての考えとは別に、ガロン個人としての感情も同時に持っている。


「ラファリア、あなたが好きだ。あなたに恋をしている。……だから」


 頬に添えられた手を取り、その甲に口付ける。


「あなたの日々も楽しくあってほしいと願う」

 ラファリアには、幸せになってほしい。

 そして、ラファリアを幸せにするのが俺であれば、これ以上幸福なことはない。


「俺は、あなたに幸せを与えられているだろうか?」

「ーー……」


 ラファリアはゆっくりと瞬きをし、そしてーー。


「ガロンさんが歩調合わせてくれること、重たい荷物を持ってくれること、私が話をするまで遮らずに待ってくれること、いつだって大切だって伝えてくれること……言い切れないくらいたくさん幸せをもらっています」


 微笑んだラファリアは、俺の手を握った。


「私もガロンさんの幸せの理由であれば、これ以上嬉しいことはありません」

「……ラファリア」


 ラファリアを引き寄せ、抱きしめる。


「俺と出会ってくれて、ありがとう」

「私のほうこそ、ありがとうございます。あの日、ガロンさんが声をかけてくれたから、今の私がいます」


 俺の背に腕を回し、ラファリアは微笑んだ。


「愛してる」


 その笑みに引き寄せられるように、頬に手を添える。そして……。


「陛下!」

『ちょっと、あほマギリ! らぶらぶカップルの邪魔しちゃ駄目でしょ!!』


 口付けを落とす前に、声が聞こえた。

 なので代わりに、ぎゅっともう一度強く抱きしめて、体を離ーー。


「!?」


 一瞬のことだった。


「今行きます! ……ね、ガロンさん」


 ラファリアの唇の熱が、頬に触れたのだ。


「え……あ、あぁ」


 頷いたものの、ずいぶんと間抜けな顔をしていたに違いない。

 でも、すっかりラファリアはいつも通りで。

 ーーさっきのは、勘違いか都合のいい夢か?


『ほんと、あほマギリってば、空気を読まないんだから』

「すみません……風邪を召されたらと思うと心配で」

「すっかり冷え込んでたから、早くお風呂に入ったほうがいいのかも」


 そうラファリアたちが話しているのを、どこか他人事のように、ぼんやりと眺める。


 ーーやっぱり、さっきのは夢だったのだろうか。



「行きましょう、ガロンさん」


 そう言うと、ラファリアは俺の手を握った。

 その温度は、先ほど握った時よりも高くて。


「!」


 ぎゅっと、握り返す。

 口付けが夢でも、夢じゃなくても、間違いなく言えるのは。


「……幸せだ」


 ーーこうして、手を握れる距離にあなたがいてくれて。


「私も、幸せです」


 ラファリアの微笑みこそが、何よりも大切で。

 失うことのないように、ずっと努力し続けられる自分でいよう。


 ーーその誓いを忘れることのないように、輝く星に願いをかけた。

お読みくださり、ありがとうございます!

お読みくださる読者様方のおかげで、

本作がネット小説大賞の小説部門で入賞し、

書籍化されることとなりました!

本当にありがとうございます!!


以下情報です。

レーベル:宝島社様

タイトル:竜王陛下の運命になれなかった私が、魔国で愛されお世話係に!? 聖花を癒やす弦歌の乙女

発売日:2025年12月19日


下記にAmazonのリンクを貼っていますので、もしよろしければ、お手にとっていただけましたら幸いです!

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いつもおよみくださり、ありがとうございます!本作が書籍化されます!
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