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【12/19書籍発売】竜王陛下の運命になれなかった私が、魔国で愛されお世話係に!? 聖花を癒やす弦歌の乙女(旧:運命は、手に入れられなかったけれど)  作者: 夕立悠理
運命の相手編

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秘訣

 翌朝。

「ユグ、おはようございます」

「おはようございます、ラファリア様」


 窓を開けて、まぶしい陽光に、目を細めていると、ユグがやってきた。


「今朝も、陛下から朝食のお誘いがございますが、どうされますか?」

「お受けします!」


 しまった。食い気味で、言ってしまったわ……。恥ずかしい。


「ふふ。承知いたしました。それでは、そう、お伝えしますね」

「はい、お願いします」


 ユグに朝の支度を手伝って貰う。

「……今日も、髪型を変えてもいいですか?」

「はい、お願いします」


 ユグの言葉に大きく頷く。

「では、失礼しますね」


 ユグが、手早く髪をまとめてくれるのを、鏡越しに見つめながら、ふと、尋ねる。

「ユグは、マギリとお話できましたか?」


 一日ぶりにマギリに会ったのだ。

 たった一日とはいえ、魔国とアドルリアはとても離れているし、不安だったに違いない。


「はい。できました……」


 ……?

 心なしか、ユグの目つきが怖いような……?


「マギリったら、また、徹夜してたんですよ! 信じられないです」

「……なるほど」


 私とレガレス陛下のごたごたで、予定が早まったとはいえ、それではユグが怒るのもうなずける。


「なので、今日は強制的に有休を使わせました」

「えっ!? それなら、ユグも休んだ方がいいんじゃ……」

「大丈夫です。これも、マギリに対する罰なので」


 ……なるほど?

 夫婦の愛の形は、ひとそれぞれだものね、うん。


「……できました。いかがでしょうか?」

「とっても素敵です! ありがとうございます」


 今日の髪型は三つ編みに、真珠の飾りがついたピンがいくつか差し込まれていた。

 とってもかわいい。


「きっと、陛下も褒めてくださいますよ」

「!!」


 そうだといいな。

 ガロンさんのことや、昨夜のことを思い出しながら、赤くなっていると、ユグは首を傾げた。

「……あら?」

「ゆ、ユグ?」

「あらあらあらあら、まぁ。そうなのですね!!! 昨夜、お戻りが遅かったのは、そういう……」



 きらきらと瞳を輝かせながら、ぎゅっと手を握られる。


「ついに、うちの陛下にも、春が!!!!!」

「……そう、だといいんですけど」

「あら、いかがなさいました?」


 ……ユグならいいか。

 私はユグの耳にこそこそと伝える。

「ふんふん、なるほど。……それで、ラファリア様は少し不安になっておいでなのですね?」

「……はい」


 頷く。

 すると、ユグは――……。

「ひとつ、秘訣をお教えするなら、不安なことは、迷わず話された方がいいですよ」

 微笑んで言われたその言葉を頭の中で反芻する。


「……ありがとうございます、ユグ」


 確かに、ユグの言う通りだ。

 私たちには、せっかく口があって、話せるのだから。


「いいえ。では、いってらっしゃいませ」

「はい! いってきます」


 ◇◇◇


 食事の間へと歩く。

 歩くたびに、ちりん、と鈴が揺れた。

 ふと、立ち止まり、窓に映った自分を見る。


「――……」


 そこにいるのは、紫の制服を身にまとった、闇獣の世話係の私だった。

「……ふふ」

 花奏師だった頃の方が長いはずなのに、もう、この制服姿の方がしっくりくる。


 それは、それだけ、この国のひとたちが、私を大事にしてくれたからだった。

 だから。

 私も、私の周りの人たちを大事にしていけたらいいな。


 そう考えながら、歩き出す。


 もう、立ち止まることはなかった。




「おはようございます」

 食事の間の扉を開けると、ガロンさんはもう席についていた。

 相変わらず、準備が早い。


「あぁ、おはよう。ラファリア」


 ガロンさんは、私を見ると、微笑んだ。

「お待たせしてしまい、すみません」

「構わない。そもそも、そんなに待ってない。それに、今日の髪型も素敵だな」

「! ありがとうございます」


 気づいてくれた! 嬉しい。飛び上がりそうになりながら、席に座る。


「あの」

「その」


 席に座ると同時に、お互いが、話を切り出した。


「ガロンさんから、どうぞ」

「いや、ラファリアのほうから……」


 二人とも譲り合ってしまった。

 このままでは、埒が明かない。

「……まずは、ガロンさんのお話を聞きたいです」


「……わかった」


 ガロンさんは、頷くと、話を切り出した。

「俺たちの、婚約式のことだが……」

「……え?」

「え?」


 こ、こここここ婚約!?


いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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