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【12/19書籍発売】竜王陛下の運命になれなかった私が、魔国で愛されお世話係に!? 聖花を癒やす弦歌の乙女(旧:運命は、手に入れられなかったけれど)  作者: 夕立悠理
運命の相手編

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君に届くように

(レガレス視点)


 君が、去っていく。

 ……私は、どこで間違ったのだろう。


 君が聖花を見たときの涙が、忘れられない。

 そして、歌い終わったときに、聖花が輝き、その後に、見せた笑顔も。


 それでも、私は、マーガレットを、君だと思った。

 マーガレットの言葉だけで、私は、君をマーガレットだと決めつけた。


 けれど、マーガレットは君ではなかった。

 だから、それこそ、六年前の話をもっと詳しく聞いたなら、マーガレットではないのだと、わかったのではないか。


 言い訳ならいくらでもできる。

 マーガレットの髪色があの日の君と同じ金色だったから。

 マーガレットが嘘をついて、君だと名乗り出たから。

 君が、私が本物だと、言わなかったから。


 ……けれど、言い訳をしたところで、事実は変わらない。


「……」

 天井を見上げる。

 聖花が描かれているその天井は、昨日よりも輝いて見えた。


 それは、君が聖花を元気にしてくれたからだろう。


「……聖花か」

 たとえば、聖花を思う心根ひとつとっても、マーガレットと君は違った。

 マーガレットは他人の歌を録音してまで花奏師になろうとしたが、君は違う。

 君は、実力が足りないならと、ただひたすらに努力をしただろう。


 私自身も、マーガレットに対して、疑問や違和感を覚えることは何度もあった。

 本当に、マーガレットが、君、なのか、と。


 その一つ一つと向き合えていたら。


 今、私の隣にいるのは、君だっただろう。


 それが無理だったとしても、君がアドルリアに帰ってくれた時に、誠心誠意傷つけたことを謝り、誠意を見せるべきだった。

無理に触れようなんて、すべきじゃなかった。


私たちは、運命なのだから、なんていう思い上がりは、早々に捨て去るべきだった。


後悔は、あとからあとから出てくる。


けれど、私のそばに君はおらず、ただ一人であることのみが事実だった。


「ラファリア……」


 本当の君、六年前に出会った君。

 君が私とマーガレットが話す度に切ない瞳をしている理由を聞かなかった。

 いつもお二人の邪魔しないように、と作り笑いの嘘に気づいていたのに。


 それでも、マーガレットさえあればいい、と、決めたのは私で。

 そう行動したのも私だった。


 君が言ったとおりだ。


『私たちの道は別れました。……でも、誰かに言われたからじゃない。私たちが選んで進んだ道がそうだっただけです』


 そうだ、この道は私が選んだ。

 どんなに振り返っても、後戻りしようとしても。

 道の先には、君はいない。


 君は、君の道を歩み続ける。


 私は、なんてことをしてしまったのだろう。

 あんなに恋焦がれていたはずの君を、傷つけ。あんなに聖花を愛していたはずの君を、この国から、去らせて。


 もう、すべてを投げ出したくなった。

 

 どうせ、君がいないなら……。


 頭に浮かんだ考えに首を振る。

 聖花と国は一心同体だ。

 国が荒れれば、聖花も荒れる。


 それは、君がもっとも悲しむことだろう。


「……私は、間違った」


 私は、どうしようもなく、間違え、その結果君を失った。

 


 手を強く握りしめる。


 ――それでも、私は、その事実を抱いて、私の道を歩んでいくしかない。


『――』

 目を閉じると、あの日の君と同じ、昨日聞いた歌声が、鮮やかに蘇る。

「君が、そんなに聖花が好きなのなら……」

 誰よりも。どの王よりも。聖花を輝かせられる王になって、その噂が魔国にまで届くほどに。


 たとえ、この道が交わらなくとも。


 いつか、君が聖花を思い出すときに、私を思い出すように。

 そんな、存在に、なってやる。


 静かに決めた覚悟は――私の人生をかけた目標として煌めき続けることになる。




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