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【12/19書籍発売】竜王陛下の運命になれなかった私が、魔国で愛されお世話係に!? 聖花を癒やす弦歌の乙女(旧:運命は、手に入れられなかったけれど)  作者: 夕立悠理
運命の相手編

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おかえり


「……レガレス、陛下」

 ガロンさんの魔法で、レガレス陛下の居室まで戻してもらった私は、うなだれている、レガレス陛下に近寄る。


「君は、魔国に……帰るんだろう」

「はい。聖花も元気になったので、帰らせていただきます。だけど、その前にどうしてもお伝えしたいことがあります。お話、聞いていただけますか?」


 ここから、伝えることはただの私の自己満足だ。

 だから、もう不要、と言われたら、黙って立ち去ろう。


「……わかった」


 レガレス陛下が、顔を上げる。

 私がかつて、焦がれた朝焼け色の瞳は、揺れていた。


「私は、あなた――レガレス陛下のことが、ずっと、好きでした。初めて出会った日からずっと」

 レガレス陛下に出会った日。

 聖花を見て、涙を流した私を笑わずに、涙を拭ってくれた日からずっと。あなたに恋をしていた。


「だから、〈運命〉になってほしいと言われたときは、嬉しかったです。こんな私を〈運命〉にしたいと言ってくださってありがとうございます。……でも」


 そっと息を吐きだす。

「その想いには、応えられません」

「……っ!」


 レガレス陛下は、ゆっくりと頷いた。そして、続ける。


「だが、もし……来世で君を見つけたら、迷わず、探しに行く。もう、誰にも騙されたりなんかしない。だから――私が、私が間違わなければ……」

「……レガレス、陛下」


 私は、ゆっくりと、レガレス陛下の名前を呼ぶ。

「私たちの道は別れました。……でも、誰かに言われたからじゃない。私たちが選んで進んだ道がそうだっただけです」


 マーガレット様に思い出を乗っ取られたのは、事実だけど。

 私が、レガレス陛下に想いを伝えていれば、ひょっとしたら、私たちの道が交わることもあったのかもしれない。

そんな、くだらない、もしも、の話。



「だから……、レガレス陛下がもう私に拘る必要はないと思います」

「……それでも。それでも、私が拘りたいんだ」


 ……そっか。それが、レガレス陛下の意思なら、私が言えることは、もう、何もない。


「……それでは、失礼いたします」


 さようなら、私の初恋の人。


 ゆっくりと、退室の礼をして、部屋から出る。

 部屋の外では、魔法で変装したガロンさんと、ユグが待っていた。


「お別れしたい相手は、もう、いないのか?」

 ガロンさんに尋ねられて、花奏師長の顔が浮かぶ。

 でも、会ったら、ちゃんと言葉にできる気がしなくて。


「……手紙を書くことにします」

「そうか」


 ガロンさんは小さく頷くと、一緒に並んで歩き出す。

「……今日は、三メートルあけないんですね」

 最近のことなのに、ずいぶん昔のような気がすることを、私がいうと、ガロンさんは渋い顔をした。

「……あぁ」

「三メートルって、なんの話ですか?」


 ユグが興味津々で尋ねてきたので、その話をしていると、あっという間に城の外に着いた。



「それでは、行こうか」


 ガロンさんが、私の手を握る。

 私は、転移魔法が使えないから、こうして、誰かにくっついていないとだめらしい。

「……はい!」


 大きく頷いて、目を閉じる。

 ふわりと浮遊感を覚えたあと、目を開けると――……。


『わーん、ラファリアー!!! おかえりぃ!!!!!』

 アギノが飛びついてきた。どうやら、場所は、ガロンさんの執務室らしかった。

『ばかガロンのせいで、帰ってこないかと思ったよー!!』

 ぐりぐりと頭をこすりつけてくるアギノを抱きしめながら、微笑む。


 そうだ、私の帰ってくる居場所は、ここしかない。

「……ただいま」

 私の言葉に、ユグも、マギリも、アギノも、ガロンさんも微笑んだ。

「……おかえり」



いつもお読みくださり、ありがとうございます。

当初はきついざまぁをレガレスに食らわせる予定だったのですが、

書いてるうちに、そんな雰囲気ではなくなってしまったので、「ざまぁ要素あり」のタグを外しました。

ざまぁに期待して読まれた方には大変申し訳ございません。

国際問題として、ある程度のバツは受けると思いますが、ぬるめかもしれません。

大変申し訳ございません。

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