くだらない
「!!」
鈴の音が聞こえたかと思うと、鈴が白く光った。
その眩しさに、レガレス陛下も驚いたようで、私から手を離した。
「……ラファリアっ、無事か!?」
聞き覚えのある声に、目を開けると……。
「…………ガロン、さん」
ガロンさんが心配そうな顔で、私とレガレス陛下の間に立っていた。
『万が一、何かあったら、駆け付けてくださいますか?』
『もちろんだ』
約束したときの、言葉が、蘇る。
――本当に、来てくれた。
「……あ」
安堵で、ぽろ、と涙が零れた。
止めないと、心配させてしまう。
そう思うのに。
「……っ」
涙は、あとからあとから零れ落ちる。
「……ラファリア」
ガロンさんが、私の涙を優しく拭ってくれた。
そして、私を庇うようにして、振り返る。
「我が国の大事な、闇獣の世話係が、泣いているようだが、説明を。アドルリア王国、国王」
「――なぜだ。他国の城では転移魔法は使えないはずでは……」
「特殊な術式を組んである。彼女が、『危機』を感じたときしか、転移できない代わりに、どこでも転移できる術式だ」
だから、ガロンさんは、来てくれることができたのね。
「……それで、彼女が危機を感じたことに対する簡潔で明瞭な説明を」
今まで見たことがないほど厳しい表情をしたガロンさんは、レガレス陛下を見つめる。
「……ラファリアは、私の〈運命〉だ。だから――」
「〈運命〉には同意がいると聞いたが。彼女は、同意したのか?」
途端にたじろぐレガレス陛下に、ガロンさんはなお続ける。
「仮に〈運命〉に同意したとあっても、彼女が危機と感じたということは、同意を求めない何かがこの部屋で行われようとしたと見えるが、違うか?」
「……っそれは。そもそも他国の王の居室に、許可なく侵入するとは、宣戦布告と取られても仕方がない行為では――」
レガレス陛下の言葉に、ガロンさんは鼻で笑った。
「……ああ。そうとられても、構わない。彼女をそちらに行かせる許可を出した時、俺はあなたに、条件をつけたはずだな。『すべてにおいて、彼女の意思を最優先とすること』。これが守られていないようであれば、いかなる手段も使うと」
……ガロンさん、そんな条件をつけていたんだ。
知らなかった。
「宣戦布告となっても構わないだと? こんな他国の領土で、王、ただ一人で戦うと……」
「我が国の至宝が、傷つけられた。それは、十分すぎる理由になるな」
至宝、おそらく、というか確実に、唯一の闇獣の世話係だから、という理由だとわかっているけど。まるで……。
「ところで、説明をいただけるだろうか」
「……ただ、話をして、それで……」
「それで?」
ガロンさんの厳しい口調に、ずいぶんとたじろぎながら、レガレス陛下は続ける。
「ラファリアに、触れた」
「……触れた?」
途端に、ガロンさんが、眉を上げる。
「彼女の侍女から、指一本たりとも触れない、という簡易誓約書を書いたと聞いたが……ああ、なるほど。このくだらない、魔法がかかったローブのせいか」
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