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【12/19書籍発売】竜王陛下の運命になれなかった私が、魔国で愛されお世話係に!? 聖花を癒やす弦歌の乙女(旧:運命は、手に入れられなかったけれど)  作者: 夕立悠理
運命の相手編

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頭の中に浮かぶひと

 花奏師であるべきひと……。


「…………勿体無いお言葉です」

 自分から、胸を張って聖花と関われる立場を手放した私には、身に余るほど。


「まあ、あと五日もあるもの! ……ゆっくり考えて。私の予想では、あなたはきっと、聖花から離れられないと思うわ」


 そう言うと、花奏師長は、手を離した。


「そういえば、陛下に報告するのよね?」

「……はい」


 頷く。確か、場所はレガレス陛下の部屋だった。


「私は、聖花たちの様子を見て回るから、報告は頼んだわ」

「わかりました」


 ひらひらと手を振った花奏師長に手を振り返して、聖花たちの前から去る。


 期間はあと、五日あるから、さよならは言わなかった。




◇◇◇



 レガレス陛下の居室に向かうと、衛兵たちもすんなり通してくれた。

 どうやら、予め、話を通してくれていたらしい。



 何やら衛兵に期待のこもった眼差しを向けられたのは、気のせいかしら。


 首を傾げつつ、部屋の中に入る。

「失礼致します」

「あぁ、終わったんだね」


 レガレス陛下は、私に気づくと、何かの書類を見ていた、顔を上げた。

 向かい合わせのソファに座るように言われたので、座る。

「聖花は、どうだった?」

「はい。……少し元気になりました」


 少なくとも、もう、萎れてはいなかった。


「そうか、……良かった」

 レガレス陛下が安心したように、微笑む。

「……はい」


 本当に、良かった。

 聖花が枯れてしまうなんてことあってはならないものね。


「……ところで」

「? はい」


 なんだろう。


「君は、どうしてこの部屋に?」

「……え?」


 それは、もちろん、花奏師の仕事が終わったら、レガレス陛下の部屋に来て欲しいと言われたからだ。


「報告する場所は、こちらではなかったですか……?」


 聞き間違えたのかしら。

 でも、それにしてもすんなり衛兵も通してくれたけれど。


「……いや、間違い無いよ」

「……?」


 つまり、どういうこと?


 私の疑問が伝わったのか、レガレス陛下は、苦笑した。


「私が聞きたかったのは、『男の部屋』に、なぜ、一人で来たのか、ということだ」

「……!」


 はしたない、常識がない女、だと思われたってことかしら。でも、仕事の報告に行くだけだし、花奏師長はまだ残るって言ってたし。それとも、一度自室に戻って、ユグと一緒にくれば良かった? でも、聖花にかかわる事は、ユグには聞かせられない。

「……それは」

 唇を噛む。自分の浅慮さに、呆れていた。


「……冗談だ。君は、私が指定したから来ただけだろう?」

 レガレス陛下はそう言うと、ソファから立ち上がった。


「……だが」

 そして、私が座っているソファの前まで来ると、壁に手をついた。


「私は、君を〈運命〉にと望んでいる」

「……はい」


 それは、昨日言われたから知っている。


「もっと有体に言えば、君が好きだ。君に恋をしている」

「!!」


 マーガレット様に向けていたのと同じ、甘い声音で、レガレス陛下は続ける。


「……だから、あまり隙を見せすぎないで。勘違いしたくなる」


 ……勘違い。


「君も、まだ私を好いてくれているのだと」

「!?」


 まだ、ってなに?

 私は、レガレス陛下に告白したことなんて、一度も……。


「すまない。君がいなくなった後、マーガレットから聞いた」

「……え」


 血の気が引く。

 マーガレット様は、私の気持ちなんか知らないと思っていた。


 でも、知っていたんだ。


 知っていて……思い出を乗っ取ろうとした。


「……マーガレット様が」

「彼女のことは、もう気にしなくていい。罪状が、確定したら――処罰を受ける」


 気にしなくていいと言われても……。


「レガレス陛下は……気にならないのですか? だって、あんなに――」

「マーガレットをラファリアだと勘違いしていたからだ。でも、今の私には真実がわかった。だから、もう、私も気にしていない」

「……」


 考えて俯いた、私の顎にレガレス陛下は触れた。


「……え」

 誓約書で、私に触れられないはずでは……?

「ひとつ、言い忘れていた。そのローブには魔法がもう一つかけられている」


 レガレス陛下が微笑む。

「こうして、君に触れても、触れてないものと判断される」

 そう言いながら、ゆっくりと顔が近づく。


「!?」


 慌てて距離を取ろうとしたものの、顎に触れられていて、距離が取れない。


 その間もレガレス陛下の顔は、近づき続ける。


 ……どうしよう!?


 なぜだか、頭の中にガロンさんの顔が浮かぶ。

 ……助けて。助けて、ガロンさん。


 ――チリン。


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