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【12/19書籍発売】竜王陛下の運命になれなかった私が、魔国で愛されお世話係に!? 聖花を癒やす弦歌の乙女(旧:運命は、手に入れられなかったけれど)  作者: 夕立悠理
運命の相手編

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ふりをして

夢で聞こえた声は、初めて聞く声だったけれど。

 光の先にあったのは、紛れもない聖花だった。


 だったら、あれは聖花の声?


 聖花に必要として欲しいという願望が見せた夢、かしら。


「……ラファリア様?」

「!」


 いけない。考え事に集中しすぎていた。

 もう、髪は完全に乾いている。


「ありがとうございます、ユグ」


 鏡越しにユグに微笑む。


「……いえ。——ラファリア様」

「どうしました?」


 ユグは、鏡越しに私を見つめた。


「私たちには、あなたが、必要です。だから、どうか……引き継ぎが終わったら、私と、一緒に魔国に帰って下さいませんか?……」

「……ユグ」


 ユグの青い瞳は、不安そうに揺れていた。


 ……あぁ、私なにやってるんだろう。

 急に泣き出したりして、周りにいる人たちを心配させて。


「……もちろ——」


『私の唯一……〈運命〉になってくれないか』

『ずっと、待ってたの』


 頷きかけたとき、二つの声が頭に響いた。


 そもそも、今の私は、闇獣の世話係で、花奏師じゃない。そして、闇獣の世話係は、公爵と同程度の位置につくほど、重要な仕事だ。


 それを、私的な感情で勝手に投げ出していいはずなかった。


「……もちろん、です」

 そんなことを考えながら、頷いた。

 ユグの瞳がさらに不安そうになったことには、気づかないフリをして。




 ……翌朝。

 よほど疲れていたのか、夢もみないほどぐっすり眠れた。

 ユグに朝の支度を手伝ってもらいながら、昨日のレガレス陛下が言っていたことを振り返る。

 花奏師ではない私が、聖花に係われるように対策を考えると言っていたけれど……。

 どんな対策だろうか。


 やっぱり無難なのは、変装、とかかしら。


「……ラファリア様?」

 考え込んで俯いていると、ユグが心配そうにのぞき込んだ。

「ああ、ごめんなさい、ユグ。少し考え事をしていました」

「考え事、ですか?」

「はい。……花奏師の件で、少し」

 まぁ、私が考えたところで仕方がないか。


 何らかの対策を考えてくれるという言葉を信じましょう。


「そういえば、ラファリア様の今日のお仕事には、ついていけませんね……」

 そうか、ユグは魔国側の人間だから――私も本当はそうだけど――花奏師、特に聖花とは関われない。

「……そうですね。でも、鈴はちゃんと持っていくので安心してください」


 ユグを安心させるように微笑む。


 胸に手を置くと、ちりんと鈴が揺れた。


「……はい」

「では、行ってきますね」

「いってらっしゃいませ」

 支度が終わったので、ユグの表情が気にかかりつつも部屋を出た。そして指定された場所に向かう。


 指定されたのは、花奏師の待機所から遠い、部屋だった。

「……失礼いたします」

 ノックをして、中に入る。


 中にいたのは、――花奏師長とレガレス陛下だった。


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