報告
アギノの元気な声が聞こえたと同時に、映像が浮かび上がる。
どうやら、ガロンさんの執務室に、アギノとガロンさんとマギリでいるらしい。
「陛下、こちらの書類は……」
「まて。どうやら、鈴がつながったようだ」
「鈴が……? ユグ、それに世話係殿ではないですか!」
マギリとユグは、映像越しに見つめあい瞳をうるませている。
「ラファリア、祖国はどうだっただろうか?」
ガロンさんが、書類から目線を外して、私を見つめる。
ガロンさんの金の瞳は相変わらず輝いていた。
「はい、花奏師の仕事の件は、明日からということになりました」
「……そうか。何か危険な目にはあっていないか?」
危険な目には全くあっていないけれど。
あのことは伝えた方がいいだろう。あの場にはユグや他の護衛もいたし、他言無用ではないはずだ。
「ガロンさん、その件についてなのですが……」
『ラファリアー!! ボク、おなかすいたよぉ』
アギノが、ガロンさんの前に出てきた。
「……すまない。先に、アギノに一曲、頼めるか?」
「はい、もちろん。どんな曲がいいですか、アギノ」
アギノは、首を傾げて、うーんとね、と考えだした。
「あれもいいし、これもいいけど……。今日は、流れ星みたいな曲がいい!」
「流れ星ですね、わかりました」
目を閉じ、呼吸を整える。
流れ星みたいな、曲なら……。
私は、ゆっくりと息を吐きだした。
歌い出したのは、ぱっと現れて輝きながら消えていく流れ星のように、強弱がついた曲だ。
きらきらと輝く光を、音で表現する。
わりと派手な曲だけど、意外と繊細な音程コントロールを必要とする。
この曲は、アギノの為と魔国の為のもの。
そのことを忘れずに、想いを込めて、歌う。
最後の音が消えた後、ゆっくりと目を開ける。
『すっごーい!! 映像越しでも、ちゃんとラファリアの声、聞こえたね!』
「アギノ、お腹いっぱいになりましたか?」
アギノに微笑みながら尋ねると、アギノは大きく頷いた。
『うん! いつもよりは、満足度は低いけど、お腹はいっぱいになったよー』
良かった。
ほっと息を吐いていると、アギノはひょい、とガロンさんに持ち上げられた。
『ちょっとー! なにするのさ、ばかガロン』
「今から、大事な話をするから、マギリに遊んでもらえ」
『ええー、あほマギリに?』
いやいやマギリの腕の中に入らされたアギノは不満そうに声を上げた。
『やだよ、ラファリアはボクの世話係なんだよ!? ボクだって、はなしたーい』
「あとで、な」
ガロンさんは、アギノの頭をひとなでした。
『!』
途端にアギノは、恥ずかしそうに、体を丸める。
「はいはい、照れてる闇獣は、こっちですよー」
『……うるさい、あほマギリ』
照れているせいか元気がない罵倒に笑って、マギリはウインクして端の方によった。ちなみに、ユグはまぁ! と真っ赤になっていた。
「……それで、ラファリア」
映像に映っているのは、ガロンさんだけになった。
「……はい。危険なことはなかったのですが」
私はなぜか、緊張しながら話を切り出す。
「竜王陛下の〈運命〉になってほしいと言われました」
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