表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【12/19書籍発売】竜王陛下の運命になれなかった私が、魔国で愛されお世話係に!? 聖花を癒やす弦歌の乙女(旧:運命は、手に入れられなかったけれど)  作者: 夕立悠理
運命の相手編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/75

嗚咽

 花奏師の試験を、マーガレット様は、私の歌声で突破したなら。


 その魔道具を使って今までは聖花に歌を聴かせていたのだろう。それで、今まで、マーガレット様の担当の区画の聖花は枯れなかったのに、なぜ私が担当していた区画は枯れてしまったのか。


 私の歌声が、力不足だった?


「そうだ、それを話していなかったな」

 レガレス陛下は頷くと、先ほどの萎れた聖花を見せた。



「花奏師長の見解によると、君の担当の区画の聖花は、『本物の君』の演奏を聴いていたからこそ、枯れたようだ」

「……」


 ということは、やっぱり私のせい?


 ぎゅっと、また、手をきつく握りしめる。


「あぁ、違うよ、君のせいじゃない。……聖花たちに君は歌を聴かせていただろう? その本物の歌と録音された歌の違いに聖花たちが気づいたんだ」


 録音された歌の違いに気づいた……?


「不思議そうな顔をしているね。もう一度、再生しようか」


 レガレス陛下は、ネックレスに触れた。

 すると、流れ出す、私の歌。


 その歌をしばらく聴くと……レガレス陛下の手の中にあった聖花だったものが、更に萎れた。


「!?」

「こういうわけだ。気に入っている君の歌の偽物を聴かされたのが、気に食わなかったんだろう」


 気に入っている……アギノも聖花は私に香りをつけていたっていってたものね。



「花奏師長によれば、君自身の歌であれば、元に戻るのでは、とのことで、今回君を呼び寄せさせてもらった」


「……そう、だったんですね」


 でも、私が意図したことではないとはいえ、私の歌の録音で聖花を枯らしてしまうなんて。


 とても……悲しい。


「そんな顔をしないで」


 レガレス陛下は立ち上がると、私の目の前まで来て、跪いて、私の顔を覗き込んだ。


「でも……」

「君の歌は素晴らしかったよ。実際、君の本当の歌を聴いていない、マーガレットが担当していた区画は元気なままだ」


「でも、私が担当した区画の聖花は……」


 聖花にお別れも言えなかったのに。


「それを君がまた咲かせるんだ。ほら、歌ってみて」


 レガレス陛下は、手を広げて、枯れた聖花を見せる。


「でも、もっとひどくなったら……」


 私は後悔してもしきれないだろう。


「そんなことにはならないよ」


 強く断言する朝焼け色の瞳。


 その瞳に呑まれないように、私は目を閉じた。


 今までのことを思い出す。

 初めて出会った聖花のことを、花奏師の試験の時の聖花のことを、そしてさよならもいえなかった私の聖花のことを。


「……わかり、ました」



 私は、聖花が好きだ。


 だから、やっぱり聖花には美しく咲いていて欲しい。もう私がそばにいられなくとも。



 そして、歌い始めた。

 曲は、一番大好きな曲。初めて、聖花に歌ったあの歌だ。


 本来なら、聖花に捧げる曲を聴けるのは、聖花だけだけど。

 レガレス陛下は、竜王だから、大丈夫だ。


 聖花に歌を捧げる。


 どうか、私の大好きな聖花が、また輝きを取り戻しますように。そう願って。


「……」



 歌い終わり、目を開ける。


「……あ」


 先ほどの姿とは違い、少しだけ元気がないくらいの聖花になっていた。まだ輝きは少ないけれど、それでも。


「……よ、かっ」


 世界が滲む。   

 

 ごめんね、ごめんなさい。

 さよならも告げずにいなくなって、ごめんなさい。


 私の歌を聴いてくれてありがとう。


 そう直接言葉で伝えたいのに、言葉にならず、漏れたのは嗚咽だった。

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

もしよろしければ、ブックマークや☆評価をいただけますと、今後の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

いつもおよみくださり、ありがとうございます!本作が書籍化されます!
書籍のリンクです
― 新着の感想 ―
[一言] どちらに向かうのか何を選ぶのか、どきどきしながら読んでいます。 ラファリアさんが後悔しない道を選ぶことができますように!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ