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【12/19書籍発売】竜王陛下の運命になれなかった私が、魔国で愛されお世話係に!? 聖花を癒やす弦歌の乙女(旧:運命は、手に入れられなかったけれど)  作者: 夕立悠理
運命の相手編

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おかえり

聞き間違えるはずのない、その声は。


 ――一瞬で、あの日の記憶が蘇る。

『君、すごいね』

 純粋に褒めてくれたその言葉の温かさも。

 涙を拭ってくれたその指先も。


「……ラファリア様?」

 ユグの言葉にはっとする。

 そうだ、もう、六年前のことは過去のことだ。

 それに、私は選ばれなかったのだから。


「はい、ユグ。……ええと」

 目の前にいる人物はどこからどう見ても、アドルリア王国が国王、竜王レガレス陛下だった。でも、なぜ、レガレス陛下がここに?


 迎えがくるとは言っていたけれど、レガレス陛下自ら出向くほど重要な案件だろうか。


「ラファリアと……ラファリアの侍女だな?」

「はい、陛下」


 ひとまず、尋ねられたことに頷く。


「魔国からわざわざ呼び寄せてすまないな」

「いえ……」

 近くに護衛が何人かいるのを確認しつつ、首を傾げる。


「ところで、今回の私に任された仕事は、『花奏師の引継ぎ』で間違いないでしょうか?」

「……あぁ、ひとつはそれで間違いない」


 なんだ、そうなのね。

 身構えすぎていたのかも。


 これなら鈴の出番はなさそうね。


「ところで……いや、歩きながら話そうか」


 レガレス陛下と並んで歩く。

 一度は断ったけれど、その方が護衛がしやすいとのことで、押し切られた。


「急に、花奏師をやめたと聞いて、驚いたよ」

「……そうですね。そのせいで、こうしてご迷惑をおかけして申し訳ございません」


 まさか、花奏師に引継ぎ作業があったなんて。

 花奏師長は何も言ってなかったけれど、忘れてたのかしら。


「……こちらも不手際があったから、君が謝る必要はない」

「……ありがとうございます」


 レガレス陛下は、ずっと何かを探るような瞳をしていた。

 なぜだろう?


 ……そういえば。

「私の聖花の区画は、誰が担当することになったのですか?」

「今は……花奏師長が担当している」

「そうなのですね」

 花奏師長だったなら、余計、引継ぎ作業なんていらない気がするけど。


「ところで……」

「? はい」

 レガレス陛下が立ち止まった。

 それにつられて、私も立ち止まる。


「綺麗な銀髪だが、君は、もともと、その髪色だったのか?」

「え――……」

 綺麗、という言葉にときめく前に。

 レガレス陛下のなぜか、泣き出しそうなその瞳が気になった。


「いえ……、もともとは金髪でした」


 私の髪色が変わったのは、ちょうど四年前くらいのことだった。

 でも、なぜそんなことを、気にするんだろう?

「……そうか」


 レガレス陛下は、そっと視線を落とすと、再び歩き出した。


「君の瞳は、桃色なんだな」

「……? はい」

「瞳は、変わらなかったのか?」

「……そうですね」

 私の瞳の色は、ずっと変わっていない。

 というか、今更、瞳の色を気にされるって、私のことなんか、レガレス陛下は全く視界に入っていなかったのね。


 まぁ、マーガレット様という愛しい人の友人、止まりだった私の扱いとしては当然かもしれないけれど。


 ……って、はっ! また暗くてじめじめしたことばかり考えてるわ。

 いい加減、前を見ないと。

 そのために、この国から出たのだし、魔国に行って少しは前向きになれたと思ってたのに。


 戻った途端に湿っぽいことばかりじゃ、変わったとは言えないわ。


 もっと、前向きにならなきゃ。


「……そうか。変わらなかったのか」


 レガレス陛下のつぶやきは、なぜだか、まるで、濡れているように聞こえた。

「?」


 さっきから、様子が変だわ。

 ただの恋人の友人Bの私でもわかるほど、今日のレガレス陛下はおかしかった。


「あの、陛下……」


 けれど、尋ねようとしたところで、城門までついてしまった。

 ユグと一緒に転移したところが、思ったよりも城に近かったのだ。


「……ラファリア」

「はい」


 レガレス陛下は、手を差し出した。

「……おかえり」


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