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【12/19書籍発売】竜王陛下の運命になれなかった私が、魔国で愛されお世話係に!? 聖花を癒やす弦歌の乙女(旧:運命は、手に入れられなかったけれど)  作者: 夕立悠理
運命の相手編

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告げるため

「一週間、ですか?」

 なぜ、その期間、私がアドルリアに滞在する必要があるのだろう。

「あぁ。表向きの理由は、花奏師の引継ぎの件で、となっているが……」


 花奏師の仕事に引継ぎなんてない。

 机仕事なんてほぼないし、聖花に音楽を聞かせ、そのための自分のトレーニングが主な仕事だ。


「……妙、ですね」

「あぁ。俺もそう思う」


 もしかして、聖花に何かあった?


 でも、それなら、私じゃなくて、花奏師長が対応するだろうし。


「あなたは、いまや『闇獣の世話係』だ。つまり、この国では公爵ほどの地位がある」

「……はい」


 ガロンさんの瞳は、まっすぐに私を見つめていた。

「それに、私はあなたの味方だ。……だから、あなたが嫌なら、断ろう」

 つまり、私がどうしたいか、よね。


「私は――……」


 アドルリア王国側にどんな思惑があるにしろ、今は、アギノの世話係だ。だから、もう戻るべきじゃない。


 そう答えようとして、最後にまたね、と聖花に言ったことを思い出した。

「……」


 あの後悔は、きっと消えない。今、行ったところで、私は、辞めた花奏師だから、聖花の前に立つことも、演奏することも叶わないだろう。


「……ラファリア」


 静かな、声だった。


「ひとは、後悔を重ねる生き物だ。だから……それを軽くする機会があるのなら、掴んでもいいと俺は、思う」

「!」


 私の考えなんか、ガロンさんにはお見通しだった。

「でも、アギノに音楽を聞かせる世話係としての仕事は……」


 ガロンさんは、そっと鈴を指さした。


「『鈴』には、遠隔から音楽を届ける機能もある。もちろん、生の演奏に比べれば、効果は落ちるだろうが……一週間程度なら、問題ない」


 つまり、アドルリアに帰ってもいい……ってこと、よね。


「でも……」


 いいのかな。

 前に、アドルリアに帰るつもりがない、といったとき、ガロンさんは、決意に応える魔国であろう、と言ってくれた。

 その言葉を踏みにじることにならないかな。



「ラファリア、あなたの気持ちを優先してくれ。あなたが、花を見るたびに、悲しそうな瞳をしていたことに気づかないほど愚かじゃない」

「! ……わたし、わたし、は」


 きっと、心の半分を、あの中庭に置いてきてしまった。


「アドルリアに、行かせてください。花奏師としての私にさよならして、ちゃんと、闇獣の世話係、としての私だけになれるように」


いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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