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【12/19書籍発売】竜王陛下の運命になれなかった私が、魔国で愛されお世話係に!? 聖花を癒やす弦歌の乙女(旧:運命は、手に入れられなかったけれど)  作者: 夕立悠理
運命の相手編

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馬鹿なひと

「……なぜ」

 呆然と立ち尽くす。

 だって、君の歌声は、あの日のまま、美しく透明で、甘美だった。


「……マーガレットさん」

 花奏師長は、マーガレットに近づく。

「わた、わたしっ、知らな――」

「あなた、今のあなたの歌じゃないわね?」


 ……マーガレットの歌、じゃない?


「あまりにも上手に口を動かすものだから、気づくのに時間がかかってしまったけれど。……あなた自身は、一音も発していない」

 マーガレットが一音も発していない、だと?

 だが、確かにマーガレットから歌声が、聞こえて……。


「!」

 マーガレットは、青ざめた顔でカタカタと震えていた。

 その反応は……何よりも雄弁で。花奏師長の言葉が真実であると、伝えていた。

「歌声や歌自体は、とても素晴らしいものだったわ。きっと、この聖花たちじゃなければ、気づかなかったのでしょうね」

「……どういうことだ?」


 マーガレット、先ほどの歌が、君の歌でないなら、いったい……。

「陛下、こちらの聖花たちは、『ラファリアさんが担当していた聖花』です」

「ああ、それは知っている」


 だが……それと、先ほどの歌。

 どう関係があるという。


 なんとなく、気づいていながら、気づかないふりをする。

 自分の確信が、真実だと、わかりたくない。


「恐らく、ラファリアさんの本物の歌をずっと聞いていたからこそ、この聖花たちは枯れたのです」

「……本物の、歌」

「ええ、マーガレットさん……あなた、自分の区画に音楽を聞かせるときは、さっきのようにずっと、魔道具を使って聞かせていたんでしょう?」


 逃げようともがくマーガレットの腕を、掴んで、花奏師長は告げる。


「ちがっ、さっきのだって、私の歌で……」

「だったら、今、ここで歌ってくれるかしら。……もちろん、首元に輝く翡翠のネックレスには触れずに、ね」

 花奏師長の声は、今まで聞いたことがないほど、厳しい声だった。

「!!!! そんなのっ、……できるわけない!! これがないと、わたしっ!」


「……マーガレット」

 呆然と、その名を呼ぶ。

「!」

 マーガレットは、青ざめた顔で、私を見つめていた。

「本当に……君の歌じゃ、ないのか?」

 だったら、私は、今まで、何を――。


「陛下! 陛下は、私を愛してるって……ずるをした私でも、好きだって。恋してるって、そう、おっしゃいましたよね!?」

「私が、好きなのは……六年前に出会った『君』だ。……マーガレット、本当に君なのか?」


 どくどくと、心臓が早鐘のように脈打つ。

 答えが聞きたいが、聞きたくない。

 相反する気持ちに、めまいがしそうだ。


「……っふ、あははははは!! 馬鹿なひと!!!!」


 マーガレットは、突然叫んで、狂ったように笑い出した。

「そんなに大事に思ってた思い出の子を、簡単になりかわらせちゃうなんて、……本当に馬鹿なひとね」

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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