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みんなで集まって

 四月の終わりの日曜日。

 晴れて大学生になったあかりをお祝いしようと、ティアの家に海明、藤野、笹崎が招かれた。


 春らしい、いい陽気の日だった。





「さて、では、やりますかな」

 家に集まり、いったんリビングで談笑していた五人は藤野の一言で庭に出る。




「よーし、やるぞぉ!」変にテンションの高いティア。

 予め切ってあった食材を冷蔵庫から出したりして皆で運ぶ。



 庭には既にバーベキューセットが準備されていて、藤野は素早くグリルの中の炭に着火する。いつもと違い、ラフな服装だ。





「流石、スーパー執事さん」

「は。恐れ入ります。旦那様がバーベキューをお好きでしたので」

 続けて食材を手早く焼いていく。その間にティアが飲み物を全員に配る。あかりにはリンゴジュース、他はアルコールだ。





「こほん。えー、では、我らのあかりが大学生に合格したことを祝して、乾杯っ!」

 ティアの号令で全員がグラスを掲げる。




「さあー、食べるよ!」

 じりじりと焼け始めていた肉をティアが取り上げる。




「私も」あかりも肉を取る。




 藤野はビール、海明は赤ワインを飲みながらちまちまと食べている。




「美味しいわね」

「そうですね、海明さん」

「あらあかり。改めて、合格おめでとう。プレゼントは本当にいらないの?」




「うん。いつも色々良くして貰ってるし、もう充分。これ以上は罰が当たる」

「そんなこと気にしなくてもいいのよ? ティアだって……」

「ううん、ほんとに。ありがとうね」



 やんわりと断る。ホログラムドーム、ドローンのナイトフライト権――これ以上散財させるのは気が引けた。


「あなたも、来てくれてありがとう」

 眼鏡の奥で笹崎は照れたような顔を海明に向けた。

「いえ、お招きいただいてありがとうございます」

 彼は微笑さえも整っている。



「あかりー」

 ティアが大きな声であかりを呼ぶ。取り皿には肉だけが大量にのせられている。



「友達はいつ来るの?」

「あ、えーとね」スマホを取り出し、メッセージアプリを確認した。




「お。もう近くまで来てるっぽい。私、迎えに行ってくるね」

 言うが早いか海明に手に持っていたものを預け、家を出た。





「まあ、もうあかりに友達が?」

 口元をほころばせる海明の表情は、まさに保護者のそれだった。



「流石お嬢様」

「可愛い子らしいよ」





 暫くして、あかりが小さな女の子を伴って戻ってきた。





 おずおずとあかりの背中から現れた女の子。




「まあ可愛い!」

 ティアは言うが早いか、女の子に抱きついていた。





「こ、こらっ、ティア! みはるちゃんがびっくりしてるでしょうが!」

 あかりはティアを引き剥がすと、明らかに怯えた表情の女の子を庇うように二人の間に立った。女の子はあかりよりも小さい。身長は百五十センチないだろう。いかにも可愛らしい感じであかりの背中から顔だけ覗かせている。





「紹介します。こちら、私の友達で、鈴見(すずみ)晴子はるこさん。語学のクラスが同じで、仲良くなったの」


 晴子はあかりの背中から出て来ると、帽子を取ってぺこりと頭を下げる。ショートカットの黒髪が揺れた。



「は、初めまして。鈴見晴子と言います。きょ、今日はお招きに預かり……」

 思いの(ほか)よく通る声だった。




「堅苦しいのはいいよいいよ。あたしはティア、あかりの保護者です! 宜しくね」

 ティアがテンション高く前に出て来る。晴子はじりじりと後ずさる。




「大丈夫よ、みはるちゃん。食べられたりはしないよ」

「そ、そうなの……?」

「ティア、あんたはちょっと大人しくしてなさいな……初めまして、鈴見さん。皆凪海明と言います。あかりの保護者その二です。よろしくね」




 晴子と海明が握手を交わす。海明の背が高い所為で、少し上向きになった。




 藤野と笹崎もそれぞれ自己紹介し、晴子はあかりからリンゴジュースと小皿、箸を受け取って、準備されていた椅子に腰を下ろした。若干きょろきょろしていて挙動不審だ。




 と、晴子があかりの袖を引き、隅に連れて行った。

「あかり、あかり……」ひそひそ声。



「どうしたのみはるちゃん」




「あたし、来て良かったの? 何か、場違いな」

「大丈夫大丈夫、みんな良い人だから」




 あかりが鷹揚に答えると、晴子は若干、安心したような表情をした。

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