彼
三題噺もどきーにじゅういっこ。
彼氏の話。
お題:盲目・寝室・意識不明
私には、世界が見得ない。
盲目なのだ。
―正確には盲目になることを強制された。
―世界を見ることを止められた。
私には、ひとつ年上の彼氏がいる。
とてもいい人で、誰にでも優しい、そんな所に私は惹かれたのだろう。
彼と付き合い出してどれぐらい経った時だったか。
その日、私は彼の家に泊まることになっていた。
しかし、同じサークルの男友達と一緒に、活動に必要な道具などを買いに行っていた。
そのため、彼に会うのが遅くなり、迷惑をかけてしまった。
申し訳ないことをしたと、必死に謝る私に、
「大丈夫だよ。」
そう、笑っていて許してくれた。
どこまでだって優しいのだ。
しかし、それが男友達だった事がいけなかったのか、それとも遅れたことが悪かったのか、今となっては確認する気にもならないので、分からないが。
その日、彼の何かがこわれたようだった。
彼の家に入り、飲み物をもらった後、意識が途絶えた。
次に目を覚ました時は、彼の真っ暗な寝室のベットの上だった。
「やっと起きた。」
扉を開け、彼が入ってくる。
手に何か持っているようだ。
暗くてよく見えない。
廊下の明かりはついているようだけど、部屋の明かりはついていないので、逆光のようになっていて影になってしまっている。
「ごめん、寝ちゃったんだね。」
疲れていたのだろうか…家に来てすぐ寝てしまうとは。
起きてご飯でも作ってあげたいと思い、体を起こした私に、彼が声をかけた。
「いやいや、仕方ないよ。僕が催眠薬を仕込んだからね。」
―??
彼の言っていることがよく分からなかった。
「何を、言っているの…?」
1歩、1歩と近づいてくる彼。
とっさに後ろへ後ずさりする。
―が、足がベットに括りつけられており、動くことが出来なかった。
寝起きでぼやけていた頭が覚醒していく。
「君が悪いんだよ…?」
そう言いながら、私に覆い被さってくる。
ジタバタと暴れるが、足を拘束され、その上、手も彼に押さえつけられたため、無意味だった。
「君が、他のものに目を惹かれて、僕の、所に、来なかったから、」
目の前にある彼の顔が、とても怖かった。
「ごめんなさい!遅れたことは謝るから!お願い、止めて!」
「ダメだよ。もう、何も見えないようにしなくちゃ。」
―何も映らないように、してあげる。
そう言うと、手に持っていた何かを私の目に近づけてきた。
「知ってる?目ってね簡単に取れるんだよ?」
「いや、っ!止めて!!」
「大丈夫、すぐ終わるから。」
彼が、何かを目にあてて―
あまりの恐怖と痛みに意識を手放した。
次に目を覚ました時は、何も見えなかった。
「おはよう。」
彼の声が響く。
「3日も意識不明だったから、心配したよ。」
「お願い、帰らせて、、」
「ダメだよ。君は一生、僕と一緒に暮らすんだ。」
そう言って、抱き寄せられた。
「さわらないで!」
押しやろうとするが、ビクともしない。
「もう2度と離さないから。」
(お願い、誰か、助けて、)