ある少年の独白(side萩里秋司)①
ブックマーク、評価ありがとうございます!
とっかかりが見つけられずいきなり新キャラの一人語りという暴挙に出てしまいました!
ごめんなさい!
視線を感じる…。
クラス中の……いや、今では学校全体からと言った方が正しいかもしれない。
しかし残念ながらその中には好意的なものは一切ない。それらにこめられているのはただただ僕を軽蔑するというただ一点のみなのだ。
僕ーーー萩里秋司はクラスでは目立たない、所望陰キャラと呼ばれる位置に立つ人間だ。
小さい頃は友だちと外を駆け回っていたりもしたんだけど、それもある事件があってからは一緒に遊ぶ友だちもいなくなった。
…いや、それはちょっと違うかな?
僕が周りを信用出来なくなり遠ざけるようになったという方が正しいといえる。
でも、そんな状況でも根気強く僕の側を離れない人が2人もいたんだ。
1人は幼稚園からの幼馴染で、相良奈緒。
綺麗な栗色の髪をサイドで結び、身長の低さと童顔なのも合わさってか年齢以上に幼く見える容姿をしている。家事が得意でお菓子作りが趣味のすごく優しい女の子だ。
そしてもう1人が中学からの友だちで総堂雪斗君。
青みがかった黒色の髪、同色の瞳は笑えばとても爽やかな雰囲気を纏う人だ。
そんな彼は性格も見た目もイケメンだ。しかもこの学校でも1、2を争うレベルだと思う。それでいて気さくで周りの空気を読んできちんと配慮出来る凄い人だ。
そんな彼がモテないわけがない・・・んだけど、本人は女の子と仲良くなれない事を悩んでいる。……それはもう真剣に。
それには理由があるんだけど…まあそれは雪斗君の普段の生活を見ていれば良くわかるかな?と思う。
接し方ややり方は違うけど、それでもこの2人は今まで僕を支えてくれた大切な人達なのだ。
そんな中、高校1年生の9月。その2人とは別に新しく僕の生活に大きく関わってくる人が現れたんだ。
名前は川次麗亜さん。
赤みがかった茶色の髪を肩甲骨辺りまで伸ばした髪に、吊り目の瞳。美人だけど、キツそうに見える、そんな容姿をしている。だけどそんなイメージを吹き飛ばすように常に微笑みを絶やすことをしない。その姿からは自然と最初に抱くであろうキツさは薄れ、さらに誰にでも優しく接したり先生の手伝いをよく買って出たりする優等生だ。その姿や行動から、学年でも3番目に人気がある女の子だ。
そんな彼女が月初めに行った席替えで隣の席になった事から徐々に話しかけてくるようになったのだ。
最初何故僕なんかに?とか雪斗君狙いかな?とか疑って素っ気ない態度を取っていたりしたんだけど、それでも彼女はめげる事なく僕に優しく接し続けてくれた。
そしてそんな優しい彼女に僕が絆されるのも当然、時間の問題だったんだ。
最初は一言二言。徐々に雑談も出来る様になり、すっかり僕は警戒心を無くしてしまった。
………そしてそんな折、僕は彼女から告白をされた。
恥ずかしそうに赤みがかった頬と潤んだ瞳での上目遣い。不安げにけれどしっかりと紡がれる愛の言葉は、僕にとって異性からの初めての告白ということも合わさり、一瞬で彼女の虜になってしまった。
幼馴染と友人にも付き合いだした報告をし、奈緒からは「・・・おめでとう」、雪斗君からは「おー!そりゃおめでたいな」と祝福もしてもらったのだった。
そして続くという…。
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