噂話②
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「あはは〜…いろいろとごめんね、りっちゃん!」
リアは不満気な璃帆に対して謝罪を口にする……がどこかそのセリフには含みを持っており、勝ち誇った表情で璃帆を見やる。
「・・・ふふっ。いくら貴女といえど、余りの事は許容しかねますよ?」
それに対して璃帆も先程までの不満気な表情を一変させ、こちらもどこか挑発的な笑みをリアに向ける。
さっきまでとは別の意味でこの場に緊張感が漂う(俺調べ)。
この空気を作り出した2人は未だ笑顔のままお互いを見つめ合っている。……俺を挟んだ状態で。
うん。実にやめてほしい。俺は何もしてないのにストレスで胃に穴があきそうなんだけど……。
そしてこの状況に俺はというと、
「…そ、それにしてもなんというか…突拍子もない噂だよな!現実味がないというか!」
話題を逸らすことにした。
「・・・雪にゃん下手すぎ」
「・・・はぁ」
リアはジト目で俺を見た後、しょうがないなというような笑みを浮かべ、璃帆に関しては呆れてしまったのか言葉を発さず、ただため息を零した。しかしそれとは裏腹に璃帆もその表情はリアと同じ種類の笑みを浮かべている。
……この2人実はめちゃくちゃ仲いいよな?
確かに強引だった事は認めるものの…どこか納得いかない俺であった。
「まあでも私も最初、噂を聞いた時はそう思ったかな?これはいくらなんでもちょっとって・・・」
それでもリアは話に乗ってくれる事を選んだらしく俺の言葉に返してくれる。
件の噂話を聞いた時の事を思い出しているのかどこか空中に瞳を彷徨わせながら
「でもいくら突拍子がなくてもそれってする人にもよるから。あの川次さんならこの不自然な噂でもみんなを味方につけることが出来ても不思議じゃないかな?」
彷徨っていた瞳は俺へと辿り着き、これが嘘なら理不尽な事だけどね?と言葉を締めくくった。
「川次さん……という方はそれほどまでに人徳のある方なのですか?」
疑問に思ったのであろう、こちらもいつもの表情に戻した璃帆が反対側から上目遣いで俺を覗き込みながらそう聞いてきた。……ちょっ!その角度でそれは反則なんだけど!?
「ちょっとりっちゃん近いんじゃないかな〜?・・・こほん。川次さんは人気者だよ?
誰に対しても分け隔てなく接してるし、先生の手伝いも良くしてそっちの評判も良いみたい。少しキツそうに見えるけど、笑顔でいることが多いから、特に気にならないんだって。
むしろキツそうなのに優しい雰囲気なそのギャップが良いって聞くよ?」
俺の腕を取り璃帆との距離を離しながらリアは川次さんの世間での評判について語る。
「・・・なるほど。それを信じさせられる地盤は固まっていると…。しかし、彼女の評判を間に受けてしまうのなら御友人の方は今現在、相当不利な立場に立たされていることになりますね」
「あはは〜。りっちゃんはなから噂話を信じてません!って感じのセリフだね!まあ私も今回の噂話は間違いなく嘘だと思うけどね〜。秋司くんとはそんなに親しくない私でも彼はそんな事しない人だって言えるもん」
璃帆が少し遠回しに今回の噂を否定するとリアもそれに同意するように自分の意見を付け足す。
かく言う俺も2人とは同意見だ。少なくとも俺の知るあいつがそんなクズみたいな事をするはずがない。
これからどうしようかというところで時計に目をやると、後ものの数分で休み時間が終了する時間になっている事に気付く。
「いろいろ思う所はあるが、休み時間も終わるし教室へ戻るか。この後どうするかは……とりあえず昼休みに一度、秋司に会いに行ってみてからでいいか?」
2人は俺の意見に特に異論はないらしくそれに対して頷いた後、来た時と同じように既にベンチを立っていた俺の両隣へとやってくる。そうして2人が辿り着いた後、俺達3人は一緒に教室へと向かうのであった。
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