表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
徒然闇詩集  作者: 堕運
3/7

三枚目

三枚目…『糸』『ぐしゃ』の短篇二作です。

  『糸』



魔法をかけられて、

私は自分の左手の小指に赤い糸が見える様になった。


こんな自分と添い遂げてくれるのは、一体どんな人なんだろう…

興味本位で辿ってみた。



色々な人のすぐ傍を掠めていく糸は、私を一喜一憂させた。



ずっとずっと、ずっと辿ってきた…


薄々わかってきた。

糸の片側は、貴方に続いているのでしょう?


ずっとずっと、ずっと辿ってきた…


きっともうすぐこの旅も終わるでしょう。

きっともうすぐ赤い糸は辿り着くでしょう。



赤い糸の反対が、私の右手の小指に結ばれていたのを見付けた時。


私は微笑みながら静かに眼を閉じた。










  『ぐしゃ』



雨が霙に変わってきた。


雪よりも霙が好き。


雪は綺麗に隠し過ぎてしまうから。


傘も持たずに外を歩いてみる。


ぐしゃぐしゃ…と音を鳴らし足元が汚れていく。


ぐしゃぐしゃ…と落ち葉や土や煙草の吸い殻が、霙と混じり合っていく。


ぐしゃぐしゃ…と私はその場で足踏みを続ける。


ぐしゃぐしゃ…



雪は全て隠してしまうから。

一瞬でも、この世が綺麗だと勘違いしてしまうから。


私は雪よりも霙が好き。


ぐしゃぐしゃ…と黒く濁った足元を見つめてみる。


ぐしゃぐしゃ…と理由も無く足元を汚し続ける。


愚者愚者…と理由もなく自分自身を汚し続ける。




ぐしゃぐしゃに泣き崩れた顔のまま、

私は自分が雪で隠されるのを願った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ