一枚目
一枚目…『きる』『容れ物』『眼』『猿』の極短篇4作です。
きる
端から望まなければ、また違った考えが生まれるんだろう。
端から覗かなければ、また違って見えてくるんだろう。
端から出合わなければ、また違った人を愛せたんだろう。
そうして貴方を斬って、貴方から逃げ切って、私はまた生きる。
わかってる、わかってる。
本当はわかってるんだ。
端から私が生まれなかったら、貴方も誰も傷付かない事なんて。
だから、お願い…
Please kill me .
容れ物
貴方の事を愛しています…
貴方の心が欲しいのです…
貴方の愛を私に下さい。
私は貴方に言いました。
私の心が欲しいなら…
私に愛して欲しいなら…
心を容れる器を頂戴。
貴方は私に言いました。
困ったな…
心は何処に入るんだろう…
考えて…悩んだ私が造った容器。
心の入った貴方ごと…
綺麗に納める貴方の棺。
眼
もう嫌だ
周りはみんな汚いんだ。
そんなモノなんて見たくない…
貴方さえ私の前に居てくれたら…
神様、どうか私のこの眼に…
綺麗なモノだけを映して下さい…
願いは叶った。
まず、貴方が私の視界から消えた…
猿
吐き出すだけなら、こっちが吐きたくなるよ。
自分勝手に果てるなら、相手なんて誰でも良いの?
自己満足に溺れるなら、私は寝ていても良いの?
もう、独りで鳴いてろ…猿が。