ゆびきり
ズルワーンとルーナは、病院に居た。
あれから3日が経っている。
「でも、良かったよ…少しの骨折で済んで。彼の事は…残念だったけど…」
「まぁ、いいんじゃないの。天罰よ、天罰。でも最後にフォルの下敷きになって守った事だし、少しは天国に近づいたかもしんないわね」
ズルワーンとルーナは、ベットで寝ているフォルの前で話している。
フォルは手や足、頭にも包帯が巻かれている。
「何言ってるんだよ。アイツがフォルを引っ張ったんだ。悪いのはアイツだよ。今頃は地獄さ」
「それもそうね」
ルーナは、どちらでもいいけど。と言った感じで答える。
「…んっ…ううん」
寝ているフォルが、目を覚まそうとしている。
「あ!おはようフォル!お見舞いに来たけど、気持ち良さそうに寝てたから、起こさなかったんだ。起きてくれて良かったよ」
「…ズルワーン、ルーナ、ありがとう」
まだ微睡んでいるフォルは、ゆっくりと2人の方を見ると、そう言って手を2人へ伸ばす。
「眠っているとアイツの夢を見るのよ…落ちる時も…怖いわ…。手を、握ってくれないかしら…」
そう言われるとズルワーンは、包帯が巻かれている、フォルの右手を両手で優しく包み込む。
「大丈夫、僕達が居るよ…」
ズルワーンが、そう言うと後ろで立って見ていた、ルーナの顔が少し曇る。
帰り道の事だった。
「ねぇ、ズルワーン…私、近いうち日本へ帰ろうと思っているの…」
「…え?!な、なんで!どうしてそんな…いきなり…あっ!フォ、フォルの事?!それなら心配ないよ!僕達は友達だよ!何もない!」
ルーナは声を出して笑う。
「まぁ、それも気にはなるけど、私はあなたを信じてるから。そうじゃなくて日本のおばあ様の様子が、少し…悪くて…」
そう言うとルーナは、ズルワーンの手を握る。
「…ルーナ」
「大学も少し休むわ…いえ、やっぱり正直に言う。もしかしたら、もう、ドイツへは戻って来れない可能性があるの。ごめんなさい。今まで黙っていて…」
「そんな…」
「でも!約束するわ…。必ず、ずっと一緒に居るって。離れていても。心は。それに、たまにはドイツへ来る事も出来るし、日本へも来てみない?ズルワーン、あなた日本へ来たことないでしょう?」
そう言ってルーナは、ズルワーンへ微笑みかける。ズルワーンは、泣いていた。
「い、嫌だよ…ルーナ。僕は、君とずっと一緒に、傍に、居て欲しい…んだ、日本へなんて…行かないでよ…」
「もう、大の大人が道端で泣かないでよね…私が虐めてるみたいじゃない、ちょっとこっち来て…」
そう言ってルーナは、ズルワーンを人通りの少ない小道へと引っ張る。
「さっきも言ったけど、私は死ぬわけじゃないわ…あなたの中に私は居るのかしら?」
「…いるよ…うん!居る!いつも君は僕の胸の中に居るんだ!だからもっと傍に居て…」
ルーナは、ズルワーンの唇に自分の唇を重ね合わせた。自然とズルワーンは静かになる。そして、そっと顔を離すルーナ。
「ねぇ、約束しましょ?2人は離れ離れになっても、永遠の愛を誓うって。そうね…たとえ死が2人を別けても、私たちの愛は永遠だって約束しましょ」
「ふふ、なんだよそれ…」
「小指を出して…」
「小指?何するの?」
そう言いながら、ズルワーンは、小指をルーナへ向けて突き出す。そこへルーナは、自分の小指を絡める。
「日本じゃ約束する時は、こうやって小指を絡めて、呪文を唱えるのよ。ゆびきりげんまん…」
そう言って呪文を唱えるルーナ。しかしズルワーンは、日本語が理解出来ない。意味を聞いたズルワーンは、その内容を批判する。
「な、長いよ…しかも後半、恐ろしいじゃないか…いや、裏切る気は無いけど、相手を脅してるみたいで、僕は好きになれないね。それ…」
ルーナは、目が点になり、口を開いていたが、また笑ってこう続ける。
「そんな風に考えた事無かったわ…ふふ、やっぱりあなたって、面白いわね。じゃぁ…2人で呪文を考えましょうよ」
「え?そんなの僕達が決めて良いの?神様に怒られない?」
「日本とコッチじゃ神様も違うわよ。それに、私たちの世界だけの決まり事よ?私たちが神様みたいなもんじゃない。何が良いと思う?短めにしましょうか?」
「そうだね。エターナルラブって言うのはどう?」
「臭いわ…私が恥ずかしい。そうね、、、もっと…頭の良い私たちに相応しい…そう!私が神よ!!アイ・アム・ゴッドにしましょう!!」
「それ、君だけが神様じゃないか…。なんか…こう、2人が繋がっている様な…ずっと…ユニット…ユニゾン…」
「そう言われれば…そうね…リンク…2人は1人みたいな、ずっと、この万物を超えて…」
「ユニバースか…大学みたいだね」
「じゃあ、短く切りましょう…さっきのもユニ…だけなら全部当てはまるわね…」
「じゃあ、君が言ったリンクもくっつけよう…」
そして2人は再び、小指を絡める。
そして2人はそっと呟く。
祈りを込めて、その愛を
永遠にする為に。
『ユニリンク』
と。





