表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時空魔竜騎アースガルンプロット.  作者: 一ノ元健茶樓
始まりの章
1/129

ユニリンク!

 


 とある所に、とても怒っている少女がおりました。その少女は、表紙の白い辞書の様な本を、青年の顔に押し付けて叫びます。


「ねぇ!なんなのよ!この本は!!」


 押し付けられた青年は


「い、いだい、おぢづいでぐで、、、」


 と言って、困り顔。


 2人はこの後、どうなると思いますか?

 あたたかい目で、2人の…いえ、この世界の変換を、一緒に眺めて行きませんか?


「私はロッシー、えへへ。な、なんか恥ずかしいな。これからのお話は、私とみんなの、大切な物語。私は、今、とっても幸せなの。たとえ世界を、私の幸せの為に、変えてしまったとしても、ね?これが私なんだもん。だから、私は…」




 ― 旅立ちの日 ―


  青年は、本を顔に押し付けられて上手く喋れないようだ。


 2人は、湖の近くの茶屋にいる。

 人が、居ない裏庭の席で話し合っていた。

 近くの湖には、水花が浮いており、落ち着いた雰囲気の場所だ。

  この店の客は、この男女2人以外は、居ない。


 あとで詳しく説明する事になるが、一応紹介しておこう。このアホ毛ボサボサ髪の、美少女魔竜騎操縦者…になる筈のロッシー。

 そして青年の方は、見た目イケメン、不老不死魔竜騎担当ヒックである。


「ねぇ、ヒック。あなたは何者なの?私に何をどうしろっていうの?この本は全部読ませてもらったけど、分からない所が多過ぎて、、、でも私、昨日...」


 ロッシーが言う前に、ヒックが口を挟んだ。


「やっぱり、それが読めたんだな。で、何か試したか?」


  ロッシーは、狼狽した様子で、持っていたホットティーのカップを、ティーソーサーへと置いて、真剣な眼差しでヒックを見ている。


「どれを試したんだ?まぁ髪の毛だけで使用出来る、簡単な魔術だろう?どうだった?」


 ヒックは、立ち上がり身を乗り出して、ロッシーに迫る。


「どうっ...て。怖かったわ。」


 ヒックの方は見ないで、目だけを横に逸らし、ロッシーは答える。


「ははーん、さては暗黒系の魔術を使ったな?真っ暗闇に、1人になって怖かった。って所か」


  身を引いて、立ち直したヒックは、ロッシーを見下ろしながら知ってる風に言う。


「人は、闇に落ちやすい。暗黒系の魔術は、初心者でも効果が出やすいって、ラケシスのオッサ、、、オバ、、、が言ってたぜ!」


「?」


 ロッシーは、少しの間を置いて、図星をつかれた顔をしながら、驚きと怒りを露にし、立ち上がり叫んだ。


「あったりまえでしょ!あんなの怖いに決まってるじゃない!最初から言っておきなさいよ!この本がなんなのか!」


  ヒックは、一瞬ニヤリッとしたが、真剣な顔をして口を開いた。


「それは時空魔竜騎の書。魔術や時空を操る事と、魔竜騎の操作、魂の関係などが書かれた書物だそうだ。そして、それを書いたのはアンタだ。ロッシー…」


 ヒックは、ドヤ顔で、ロッシーを指さしている。


「は?」


  ロッシーは、目を点にして、口をあんぐり開け、心が無の状態でヒックを見ていたが、すぐにヒックへ言葉を浴びせた。


「え?何言ってるの?マジで言ってるの?私はこんな本書いた覚えなんてないわ。もちろん読むのも初めてよ。嘘つかないで、そんな事言われても、私は、、、」


  その時だった。

  目の前に何かキラキラした物が、空から舞い降りて来ている。

  雨?

  雪?

 

  (こんなに晴れ晴れとしてるのに?まさか)


  そう思いながら、ロッシーが空を見上げた瞬間。


  大きな爆発音と共に、空がヒビ割れ、黒い空間が空に現れる。

  そして、その中より現れたのは、鋼鉄の艶がある、巨大な青いドラゴンと

 赤い帽子に赤い服、ミニスカート姿の、ツインテール美少女だった。


「見つけたわよ!ロラン!」


  ドラゴンの頭に、仁王立ちしている少女が、ヒックに向かって叫ぶ。名は違うが、『ロランがヒック』なのは確かだった。

  ロッシーは、訳が分からなくなり、遂に怒りが最大限となった。ヒックへと詰め寄り、胸ぐらを掴んで、ヒックの首を揺らしながら問う。


「なんなのよ!あれはっ?!私、夢を見てるの?!あんたが何かやってんじゃないの?!もーこれ以上私を巻き込むのはやめて!!ヒックって名前も嘘だったの?!ロランて言ってるわ!」


  ヒックは、ロッシーの反応に少し戸惑いながら、真剣な顔をしている。


「あれは時空魔竜騎で、乗ってるのは魂の片鱗だ…気をつけろ…」


  もう何を言っているのか分からない。というような表情でロッシーは、ヒックを無言で見つめている。


 その時、空中にいる少女が叫んだ。


「喰らいなさい!我が、大魔砲!!パトリオットファイヤー!!!」


  少女の持つ大きな筒から、赤い楕円形の、発光物体が飛び出し、こちらへ向かって来る。


  ヒックは


「ヤバイ!!走れ!!!」


  と叫ぶと、ロッシーの手を引き、湖の方へと駆けた。

  その物体は、走っているロッシー達の方へと追いかけて来る。


  ヒックは、湖の方へと走る。

  ロッシーは、以前、料理屋で聞いたヒックの話を思い出した。

  そして、まさか。と思いながらも、全力で湖の方へと走った。


  しかし、発光物体の速度は早く、追いつかれそうである。

  ヒックは、ロッシーへ向かって、叫ぶ。


「魔法だ!防御系の魔法を使え!」


  ロッシーは、驚いた顔をしたが、あの恐ろしい体験が、逆に確信となり、魔法というものを使う事に、抵抗は無くなっていた。

  1度読んだ本の内容を覚え、忘れないロッシーは、昨日読んだ本の内容を思い返し、ヒックが言った言葉の意味と同じ意味の、文章を頭の中で検索する。


  そして一致した文章の通りに、行動する。

  まずはヒックの髪の毛を数本引きちぎる。

  ヒックは「痛ってぇ!」と叫ぶ。


  それから湖に浮く水華を見てから、走るのをやめて発光物体の方へと振り返り、片手を開く。その手の平の中心が、発光物体へと重なるよう、狙いを定め、、、

  もう片方の手で、ヒックの髪の毛を宙に吹き飛ばし、叫んだ。


「我が内なる騎士は、花の盾を掲げ、主を絶守(ぜっしゅ)する!」


  すると空中に開花した、巨大な光の花が現れ、そこへ発光物体が突っ込んで来る。

  次の瞬間、巨大な爆発音と共に、眩い閃光が辺りを包む。


  眩しくて

  目を開けていられない。

  が、恐る恐る目を開くと

  何事も無かったかのように、静かになって居た。


「っ?!これは...」


  赤い服の少女が、驚いた顔でロッシーを見ている。

  ロッシーは、自分がした事に驚いて、両手を見たり、ヒックの方を見たりして、慌ただしくしている。

  そんなロッシーの手を引っ張り


「逃げるぞ!」


 と言うと、ヒックは湖の横の森の中へと急いだ。


「ちょっと待ちなさぁぁぁぁいっ!!」


  と、赤い少女は叫ぶと、空中のドラゴンから飛び降りて来た。


  それをロッシーは、横目に見たが、ヒックの後を追って森へと走る。


 ヒックへと、追いつこうと必死に走るロッシー。

 ロッシーは、田舎育ちの為、森に慣れているのでヒックとの距離をどんどん狭めている。

 しかし突然ヒックが、木の根に足を取られ転んでしまう。

 それを見て驚いたロッシーは、すぐに駆け寄る。


「だ、大丈夫?!てか、あの子!すぐに追いついて来そうよ!早く立って!」


 が、ヒックは一向に立ち上がろうとしない。

 ロッシーは、ヒックの足を見た。

 木の根が、ヒックの足に絡まり、挟まってしまっている。


「わ、悪い…これ、取ってくんない?」


 汗を垂らしながら、苦笑いするヒック。


「どうやったらこんな絡まり方すんのよ?!置いていってもいいのよ!?」


 と、言いながら木の根を引っ張り剥がそうとするロッシー。

 そこへ、先程の赤い少女が現れる。

 距離は少しあるが、魔法を放って来る様子だ。


「パトリオット…」


 ロッシーとヒックは、慌てふためく。


「ちょ!こんなに木が、沢山の中で爆発起こす気?!火事になっちゃうでしょ!!」


「いや、それどころじゃねぇだろ!俺たちが火事の前に爆発させられる!!」


 言い合いをしているヒックとロッシーへ、赤い少女の魔法が放たれる。


「ファイヤー!!」


 赤い少女から放たれる魔法が、高速で木々を避けながら、光り輝き2人へ近づいて来る。


 すると突然ヒックが、問いかけて来る。


「ロッシー。お前は…まだ生きたいか?」


「は?な、何よ。こんな時に、急に…」


 突然、訳の分からない質問をして来るヒックに、苛立つロッシー。

 先程の防御魔法を放つ為に、ヒックの髪を引き抜く。


「痛てぇ!なぁ!?生きたいか?!まだ!」


 ヒックの質問のせいでロッシーは、集中出来ないでいた。

 そして、焦りと苛立ちと不安の中で、答える。


「…当たり前…じゃない。そんなのっ!」


 それを聞いたヒックは、ほくそ笑む。


「だよな!俺も、生きたい。俺は、お前と生きてたいんだ!ロッシー!」


「なっ?!何よ、それぇ!」


 赤面のロッシーの小指に、ヒックが小指を引っ掛けて来た。


(こ、こんな時になんなのよ!?)


  とロッシーが、思っているとヒックは


「アレだよ!アレ!」


 と言う。それに答えるロッシー。


「アレ!で分かるほど私たちの関係は深くないわよ!」


 それを聞き、顔を赤らめながら、黙って困惑しているロッシーに続けて言う。


「本!読んだんだろ?!小指の!2人で!」


  と、ヒックは叫ぶ。


 そう言われてロッシーは、また頭の中で検索を始める。

 昨日読んだばかりの本なので、すぐに一致するものがあった。


「あっ!アレね!」


 と、ロッシーが言うと、ヒックが続く。


「そう!アレだ!」


 そして2人は、小指にチカラを込めて、タイミングを合わせる。


「行くぞ!」

「うん!」


  2人は、目を瞑って小指に力を込めて。


 同時に叫んだ。


「「ユニリンク!!」」


  すると2人は、白と黒の光に包まれ、小指を離し、別々に宙へと浮かび上がる。


  ヒックの身体は、白く輝き、その光は巨大な人型となる。

  その中心から光が消えて行くと、中からは巨大な白い騎士のような姿が現れた。


  ロッシーは、黒い光に全身が包まれ、黒い帽子に黒い服で、ミニスカートの姿へと…


  『変身』


 をした。


 そして巨大な騎士の姿になったヒックは、こう叫ぶ。


「白き不死の魂よ!我が、主を守るチカラを我が拳に!」


 その一瞬だけ騎士は動き、マントを靡かせ両手を広げる。

 そして、不動となる。


 空に浮く黒い姿となったロッシーも、続いて叫ぶ。


「黒き幼き魂よ!世界に抗うチカラを我らの為に!」


 右手の人差し指を空へとかざし、片方の手は腰に。

 そして2人は、両手に拳を作り、それを胸に当てる。


「我は魂を捧げる!白き魔竜騎ヒック!」


「我は全ての絆!黒き魂の片鱗!ロッシー!」


 そして両手を開き、同時に前へ出す。

 その決めポーズをした瞬間、2人の背後でキラキラとした光が、爆発する。


 突然の光と爆発で、ロッシーは驚く。


「うきゃあっ!!!」


 そして姿が変わった事と、謎にポーズを決めて叫んでしまった事に、恥ずかしさを覚えたロッシーは、空で照れながら狼狽する。


「な、なんなのよぉ…これぇ…」


 ロッシーは、ミニスカートの裾を下げるのに、必死だった。


「ん、、、んもう!嫌ぁ~~~っ!!!」



 ―― そして時は、2人の出会いへと遡る ――



 幾度目かの。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ