イタロー杯時間切れ 15分即興
恒河沙に至る粒
陽炎に巻き込まれ、新参か古参か理解らない山々谷々を右往左往と杖跡を刻む。
陽という物が本当に唯一無二なのか疑わしくなる。
乾きと果てのない距離は急激に私を死へと近付けていた。
そもそもこんな枯れた地を放浪しているのは故意ではない。
我が国は戦いの真最中であるのだが、私の爆撃機は敵国本土へは辿り着かず、
死神のような風と視界不良により、このような地獄の淵へ墜落を余儀なくされたのだ。
幸いにも着陸角度と砂のお蔭で爆撃機はほぼ無傷と言って良い程の状態だが、そんな奇跡も今となっては
神に礼を述べるに値しないと自己中心的結論を導き出した。
もしも目の前にオアシスが現れた時は、跪いて喉が擦り切れるまで感謝の言葉を叫んでやろう。
さて、コインは投げられた、今は歩き続けるしかない。