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仕事終わりにヤニ吸ってたらどこか残念な年上女性に執着されてた件  作者: 熊鏡
本編

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第19話


「土曜出勤すか」

「そうだ」


 クソ課長のクソ指令に従ってしっかり土曜出勤する羽目になった。


「はい」

「出てくれるな??」

「覚えとけよクソが(承知いたしました)」

「なんか副音声(本音)が聞こえた気がするな」

「|耳腐ってんじゃねえの?《気のせいですよ》」

「やっぱりなんか聞こえるって」

「休んだ方が良いかと」

「そうかな…い、いや。今回は流石に私も土曜出勤対応する」


 チッ!!


「なんで残念そうな顔をする」

「いや、ご家族が可哀想だなと」

「娘は反抗期だし嫁は倦怠期だ。いいさ」


 ゼッテーよくねえ。


「か、課長…」

「良いんだ…娘たちが元気に育ってくれれば」


 思ったよりちゃんとしてましたこの人。最低だ…俺って。


「ちなみに奥さんは」

「今38でね。娘は二十歳なんだ。下の子は十五だ」

「ん??あれ課長っていくつでしたっけ」

「私は四十五だが」


 つまり奥さんが十八の時の娘さんかー…

 は????


「」

「無言ですごい目で見るな」

「学生に手出したんすか」

「違う違う。出されたのは私だ」

「は????」

「当時の上司の娘さんでな。上司を家に送ったらなんかそのまま食われた」

「オッフ」


 こっわ。


「あの頃は可愛かったんだが」

「あんたも大概だな」

「ん??」

「いえ。なんでもないです」

「そうか」


 人に歴史あり。と。

 とんでもねえ歴史だ。


「まぁ、お前は気を抜いてズルズルととんでもない沼にハマるなよ」

「(手遅れっぽいけど)わかりました」




 ———————


 そして昼休憩。俺は先輩とタバコを吸っていた。


「課長の奥さん七個下らしいっすよ」

「は???????」

「上の娘さんは二十歳らしいです」

「は??????」


 とんでもねえ。般若の顔してやがる。


「犯罪じゃねえかあのクソ上司…!!」

「ちなみに食われた結果らしいです」

「しね」

「キレすぎ」

「妥当だろうが」

「こっわ」


 とんでもね〜。


「しかし真壁」

「なんすか」

「あの人ちゃんとしてたんだな」

「ね」

「意外だ」


 とてもよくわかります。


「まぁ言うてもクソはクソだが」

「クソだけではない。と言う話ですね」

「俺にとってのクソ上司は娘さんにとってのうざい親父だ」

「どっちにしろ地獄では??

「確かに」


 かわいそう。なのか??


「ま、社会人になってからしかわかんねえよな」

「それはそう」


 金を稼ぐ苦しみも、苦労も、その中で誰かを養うと言うことも。

 誰も彼もが当たり前にやっているが、実際はとんでもなく難しいのだ。


「ちゃんと学校出して就職するまで育てるってのは、簡単そうに見えて難しいってわけ」

「そりゃあそう」


 実感が伴うだけで難しさがわかるのだ。


「ま、うまいことやろうぜ」

「うっす」


 タバコの煙が換気扇に吸われていった。


 ——————————


「あーーーー…明日も仕事か」


 華金なんてねえよ。

 クソッタレが。しかも残業だしよ。


「スゥ…スゥー、はぁああああ」


 休憩室で吸うタバコがうまい。


「ああああ…」


 消えろよ残業。


「よぉ」

「お疲れっす」


 お、死んだ顔の先輩(道連れ)はっけーん。


「最高の日っすね」

「本当に最高(クソったれ)だなまじで」

「ほんまにね」


 さぁてさてさて。


「とりあえずちょっぱやで終わらせて土曜に備えましょうや」

「そうしよう」


 吸い終えたタバコを消して、戦場へと戻った。


 結局二時間やりました。くそ。


 —————————


「はい土曜出勤です」

「クソッタレですね(お疲れ様です)」

「クソッタレだな(七瀬さんもお疲れ様)」


 二人揃って死んだ目で並びながら仕事をする。


「仕事サイコーーーー」

「未来とどっちが最高ですかね」

「未来じゃね」


 流石に。


「未来も仕事まみれだったら?」

「どっちもクソ」

「いえーーー」


 くそ!!


「課長もいるから大丈夫では?」

「なんでですか?」

「責任持つ奴がいるから」

「確かに」


 言い過ぎかな?まぁ良いでしょ。それが課長の仕事だし。


「あ、先方トラブル起きたみたいです」

「え??」

「しかもこっちじゃなんとかならない」

「っすーーーーーー…」

「どうします?」

「課長!!」

「聞こえない」

「課長。メール確認お願いします」

「ああああああああ」


 課長は残業が確定した。

 かわいそう。


「お前も道連れだ」

「知らない」

「上司命令」

「あああああああああ」

「頑張ってください」

「七瀬もな」

「あああああああ」


 終わった。


「デスマーチ(日曜出勤)。頑張ろうな???」


 課長の笑顔がキモい。


「「「…」」」


 デスマーチを終えた日曜の夕方、俺たちは倒れ伏していた。


「明日は振休だ。お前ら、ゆっくり休め」

「うす」

「はぁい」


 帰ろ。


 今日は帰って泥のように眠った。


「…労働はくそ」


 月曜の朝。俺の呟きが天井に掻き消えた。


 

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