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第1話 精霊使いはSランクからです

 何処かも解らない地下施設にけたたましい警報音が鳴り響き始めた。


『警告、ランクS以上確定。警告、ランクS以上確定。至急対応されたし。』


 とある一室で長髪の男とその秘書官らしき女性の二人が警報を聞きながらモニターを信じられないと言った表情で覗き込んでいた。


「バカな!? Sランクだと!? 今の日本には俺と貴様を含めてSランク以上は3人しか居ないのだぞ! 計器の故障では無いのか!」

「いえ、桐生隊長。計器の故障は見られません。間違いなくSランクです。」


 二人の言葉は焦りと苛立ちを隠せないでいた。


「バカを言うな! あいつ等全員がだと!? 7人もだぞ!? どう言う事だ!」

「有り得ない確率です……コレが上層部に知られたら私達の発言力や特権も弱くなり得ます。」


「……今なら計器の故障と言って何とかなる。俺と霧崎君、二人なら成りたてのSランクなら楽勝だろう?  後は取り巻きのAランク精霊術士を向かわせる。精霊と契約していない精霊使いなど子供同然だ。」


 桐生と呼ばれた男は悪意の有る笑みを浮かべると、それに同調する様に霧崎と呼ばれた女性も無言で頷いた。


「長官は警報を聞きつけても来るまでには時間が掛かる。急ぐぞ!」

「はい! すぐに基地内のAランク部隊を向かわせます!」




―――――――1時間ほど前――――――




「ふむ、それで君が誤射した高校生達は各自検査室へと運んだわけだね?」

「はい……初めての任務で緊張してしまい……」


 怯える様な兵士を椅子にふんぞり返って偉そうにしている桐生が問いただしている。


「偶然だが、彼らが適性が有って良かったな。一般人なら普通の銃弾と変わらんから死亡していたな。ラッキーボーイが。」

「ほ、本当に申し訳ございません!」


 兵士は土下座を始めた。その様子を見ていた桐生の横に立っていた霧崎が書類をめくりながら説明を始めた。


「貴方は運が良い。本来なら銃殺刑ものですが、適正者発見は逆に勲功になります。貴方のランクは能力に準じるので上げれませんが代わりに報奨金が出ます。」


 女性は取り出した書類を兵士に渡すと、兵士は驚愕の表情を浮かべた。


「え……8ケタ……?」


「7人分だからな。コレが精霊使いだったら追加報酬だろうな。だが、今回は偶然だ、以後は気を付けろ。2度目は俺が貴様の首を飛ばすと思え。」


 兵士の震えから良からぬ事をしない様に釘を刺す。その声に兵士は恐怖しながら慌てて部屋を出て行った。


「さて、今回の小僧共はどのランクになるやら……精霊力を扱う為には同時に強い生命力が必要となる。精霊使いの素質=生命力の強さだが、精霊弾に耐えると言う事は素質が高い可能性も有る。」


 桐生は霧崎から渡された書類を確認しながっらつぶやく。


「弾薬などに精霊力を込めた銃火器を使える『精霊具使い』がE~Cランク。精霊力を込めた道具を介して精霊術が使える『精霊術士』がB~Aランク。そして精霊と契約して精霊術を使う『精霊使い』がSランク。まぁ一人位はAランクが居て欲しいものですね。」


「Sランクが一人位は……だな。Sランクの数=国の発言力に直結するからな。」


「ご冗談を……数が少ないからこそ、私と貴方がこうして好き勝手出来るのでは無いですか。まぁ私達以上の能力者の司令だけが目の上のタンコブですが。」


 霧崎はメガネの位置を直しながらため息をつくと、連れて来られた高校生達をモニター越しに眺める。そしてボタンを押して指示を出す。


「室内に精霊力の注入を開始して下さい、非公式に連れて来たので慎重にレベルを上げる様に。」

「了解しました!」


 モニター越しの返事が聞こえると施設全体から何かしらの駆動音が聞こえて来る。そして各モニターの上に設置された計器が『Dランクclear』と表記された。


「ほう、全員がCランク以上か。珍しいな。」

「ですね……確率的には7割がE~Dランクなのですが。」


 時間と共に計器の数字が上がっていく、『Cランクclear』、そして更に数字は上がり『Bランクclear』と表記されて行くと二人の顔色が少しづつ強張って来た。


「おい、全員Aランク以上だと? どう言う事だ?」

「Aランクは確率的に3%程度です。あの男……追加報酬が凄い事になりますね。しかし……今の室内の精霊力濃度は常人だと内部破裂して死んでいるレベルです。なのに……何で全員普通に寝たままなんですか?」


 連れて来られた7人は気絶していた所に麻酔銃で眠らされたために昏睡状態ではあったが、普通なら死ぬレベルの精霊力の部屋で平然と気持ちよさそうに寝ている事に霧崎が有り得ないと叫ぶ。


「普通は気持ち悪くなったりして起きるのだがな……この時点で平然としていると言う事は……」


 流石にここで終わりだろうと思っていた二人は想定外の光景に一抹の不安を覚えた。そして恐れていた事態が訪れる。


『Aランクclear・追加検査に入ります。』


「バカな!? 全員Sランクだと!」


 桐生が慌てて椅子から立ちあがりモニターを確認する。そして濃度計をチェックするが故障らしき痕跡は無かった。霧崎も一緒に確認を始めた。

 

 


 これが基地内に警報が鳴り響く前に起きた出来事だった。


 偶然に巻き込まれた7人の高校生達が偶然なのか必然なのか、様々な事に巻き込まれる序章が始まったのだった。

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