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ファイル.01 鏡に映る迷子の少女と帰れない駅(3)

 九十九は、この駅が都市伝説のきさらぎ駅のようなものではないかと考え、興味をひかれていた。


 きさらぎ駅とは、インターネット上の都市伝説となっている、謎の駅だ。

 場所は不明。

 異次元空間にあるとも言われており、一度迷い込むと二度と出ることは出来ないと言われている。

 何故か携帯電話の電波はつながるため、ここに迷い込んだ女性が、インターネット掲示板にこの駅の情報を書き込んだことで有名となった。


「ですが、私にはそのような駅が本当に存在するとは思えませんが……」


 春花は、不安そうな表情を崩さないまま、九十九に問いかけた。


「ダウジングでU駅に反応があったというのが気になるんです。実は最近、インターネット上で、とある噂を目にしましてね。U駅には、幻の十三番ホームがあって、そこからきさらぎ駅へと向かう電車が出ているというものです。あくまで噂かもしれませんが、私は怪異の調査も仕事にしていますので、そのうち調査に向かおうと思っていたんですよ」


 ここまで話してから、九十九はコーヒーに口をつけた。


 十三番ホームは、本来なら存在しないはずの停車口である。

 インターネットの情報では、U駅で、とある手順を踏むことで、この幻の十三番ホームに到達出来るとのことだった。


「では、私が責任を持ってこの依頼をお受けいたします。今、助手が契約書を持ってきますので、よく内容をお読みになってから、サインをお願いしますね」

 

 契約書にサインを終えた春花は、九十九たちに丁寧に頭を下げると、事務所から出て行った。


「さて、サキ君。面白そうな依頼が来たよ。早速調査に入ろうじゃないか」


「でも先生。きさらぎ駅に行く方法って、本当にあるんですか?」


「さあね? でも、何事も試してみないとわからないだろう? それじゃ、U駅に行ってみようか」


 九十九は、サキのお尻を叩いた。


「もう、先生は思い立ったらすぐ行動しないと気が済まないんですから。少しは休憩しましょうよー」


◇◇◇

 

 十四時を少し過ぎた頃、二人はU駅に到着した。


「先生、お昼のレディースランチ、おいしかったですねー」

 

「少しは機嫌が直ったみたいね」


「ふふ、お腹が減ってはなんとやらといいますからね。それで、きさらぎ駅に行く方法ってどうやるんですか?」


「私が調べてみたら、SNSでこの書き込みが拡散されていたんだ。見てごらん」


 九十九はサキにスマートフォンの画面を見せた。


 U駅の十三番ホームに行く方法


 1.十二番ホームに行く


 2.電車が来たら先頭にある銀色のドアに触れる


 3.四番ホーム、六番ホーム、二番ホーム、十番ホーム、八番ホームの順にホームに行く


 4.十二番ホームに戻り、一番近い場所にある多目的トイレに入る


 5.十三分後に多目的トイレから出ると、黒い山高帽を被った男が歩いてくるので、その男の後をついていく


 6.いつの間にか男がいなくなる。その場所が目的の十三番ホームである


「へえー。U駅の十三番ホーム、結構バズってますねー」


「これだけ閲覧回数があるってことは、実際に試した人も結構いると思うんだけど、何故か成功したって書き込みは見かけないんだよねえ。ま、でもやってみる価値はあるよ」


「私、先生と二人で多目的トイレに入るのは、ちょっと恥ずかしいんですけど……」


「ん? 何か問題あるの?」


「い、いえ……、なんでもありませーん」

 

(先生は昔から、周りの目とか、そういうの気にしないからなあ……。ま、それなら……)


 サキは九十九の手を握りしめた。


「うん? 急にどうした、サキ君?」

 

「えへへ、なんでもありませんよー」


 サキはニコニコしながら九十九の横を歩いていった。

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