戦争
合同訓練は未来の実力を結果として高めることになった。そして、未来とアルトのメンバーも親睦が深まっていた。
その頃、ゼーラは仕えていたバラスの殺害に成功。新たな魔人として、異世界への扉を開こうとしていた。理由は一つで地球の実質的な崩壊が狙いだ。
ゼーラは宣戦布告を中年の男にさせた。アルトのモニターを乗っ取り、高梨未来の引き渡しを要求した。交渉は決裂。近いうちにアルトも攻め込まれると予測されていた。
ゼーラはとある人物と会っていた。「あら、ずいぶん久しぶりにお会いしましたわ。」
それは、理事長だった。「一つ忠告だよ。あの坊やと未来ちゃんをあまり軽く見ないことだね。」
「まあ。わらわを心配してくださるのですか。カミーラおばさま。」
「私はあんたの目論見を完全につぶすことはできなかった。だが、あるいはあの子たちなら。」
「ずいぶんと肩入れするのですね。観察者のあなたが。」
「あたしの好みの性格だしね。」
「何の話ですの。」
「まあいいさ。恐らくあの子はこの世界を導くことになるやもしれんわね。」
それから三日が過ぎた。
ゼーラは残された使徒ゲンハルトを連れ、アルトに乗り込まんとしていた。
それをアルトの隊員達は察知。迎撃の準備に出た。
レン、アルトのメンバーたちは戦いに備えていた。シンと未来は異世界から魔族を召喚しようとしているクーナと中年の捜索に出ることになった。
そして、戦いの火蓋は切られた。ライアンが火魔術を手始めにゲンハルトにぶち込んだ。ダメージは少々といったところか。
ライアンは指示を飛ばす。「俺とレンは男のほうだ。アリスとケンはゼーラだ。」
「了解!」各員返事をする。
「他のメンツは奴らの配下たちを頼む!」
進と未来は二人の居場所を遂に突き止めた。
「げ。よりによってバンドウシンがこっちに回るなんて。」
「仕方ありませんよ。今度は二対二ですな。」
「余裕そうじゃないギーツ。」
「そうでもありませんよ。扉を開くには時間を稼がなくては。」
「貴様ら、やはりパンドラの扉を開くつもりだな。」シンは問う。
「ええ、ですが厄介なあなたでも本物の魔族相手には敵わないでしょうからな。」中年、ギーツはそう答えた。
「シン、急ぐわよ。」
「ああ、そうだな。」
こちらもゴングが鳴る。
「剣鬼流壱の型虎の爪!」それはギーツを襲う。
しかし、ギーツは「邪剣流伍の型爆刃!」剣先が爆ぜ、シンを襲った。
咄嗟に「雷の壁」を使い相殺する。
「浸透流二の型ツバメ返し!」
「抜刀流伍の型風神!」クーナは未来を少し後ろへ弾いた。
「へえ、あなた最も難しいと言われる風神を使えるのね。遠慮なくいくわよ。」
「あら、あなたならなんとかなりそうね。」
クーナは挑発する。
そこから、シンと未来の猛攻が始まった。
ゼーラは画策していた。なぜ大将自ら乗り出したのか。それは、異世界への扉を開くためのカモフラージュのつもりだった。観察者が情報を漏らしたが、魔族を呼ぶのも時間の問題だ。そして、ついに。
「シン、状況はまずいわ。開いたみたいよ。例の扉。」
「ああ、そうらしい。だが俺は最期まで君を守ろうとする。それに違いはない。」
「シン、ありがとう。好きよ。」
「俺もだよ。」
「ついに来ましたな。」
「ええ、ついにね。」
「あれ?」
気づいたときにはもうクーナの下半身がなかった。
「クーナ!そんなまさか。制御に失敗したというのか。」
次の瞬間、ギーツの首は飛んでいた。
進も未来ももう余裕がない。だが、諦められなかった。
「未来、最後に奥の手がある。聞いてくれ。」
「ええ。」
二人は魔人と扉に向かって詠唱する。この世に二つとない魔術、それはアンチマジックを応用した。最上級魔術、「汝、我の答えを聞きたまん。この世の災厄から人々を守りたまえ。ディスタブオブゴッド!」
「我とその守るべきもののため今立ち上がらんとせよ。浸透流最終奥義神の刃!」
進は魔族を未来は扉をここに打ち破った。
ゼーラは膝から崩れ落ちた。わらわの野望があんな若造どもに!!!!!!!」
アルト隊員たちの最期の猛攻にゲンハルトは敗れ、ゼーラは降伏した。
戦いは終わったのだ。
八年後。
「おぎゃー!おぎゃー!」
進と未来の間に子が生まれた。
進と未来は学生時代に二人だ魔術と武術の頂点に立ち、世界さえも救ってみせたのだった。シンの伝説は語り継がれる。
「未来。剣斗。今日はどこに出かけようか?」