表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/5

再開

火竜の咆哮が響き渡る。その巨躯に付いた巨大な翼で空を駆け火を噴くドラゴン。ゲーム画面で、ポリゴンで構成された映像ではない、本物だ。そしてじわじわと恐怖が沸いてくる。


赤い鱗の中にいくつかの黄色い鱗が埋まっている。角が二本、口を開ければ大きな牙が立ち並んでいる。二足歩行でやや前傾姿勢のドラゴン。


「行くぜ、ドラゴン!」


剣を構え、スキルを発動させる。


「スキル!タイムキー……」


「スキル:剣神」


刹那、横から現れた巨大な斬撃によって俺のスキルが中止される。放たれた斬撃はドラゴンを一刀両断する。斬撃の次に現れたのは一つの人影だった。


「やあ、火竜の討伐ってことはお前も転生者か?」


謎の人物が土煙の中で話しかける。


「君は……」


それは聞き覚えのある声だった。


三年前……


俺にはたった一人の親友がいた。中学三年の時に知り合って、同じ高校に進学したためより一層仲良くなった。彼の名は健治。学校でずっと一緒にいたわけじゃないし、部活もばらばらだったが、放課後はもっぱらともにゲーセンによった。大学に進学したらルームシェアをしようなんて計画したりもしていた。


「なあ、お前は人にとって一番大事なものは何だと思う?」


ある日の放課後、あいつがそんな質問をしてきた。


「お金?とか、それともベタに愛とか?」


「お金か、俺はさーやっぱ自分の心だと思うんだよね」


「へえ。急にロマンチストにでもなったつもり?」


「いやさ、俺の家って貧乏じゃん?」


「うん。びっくりするくらいな」


「びっくりするくらいは余計だ。でさ、そんなだから俺は人一倍金にがめつく生きてきた。でも最近思うんだ。そんなことに意味あるのかなって」


「どうしたんだよ、お前らしくもない」


「そうか、俺さ、やっぱ大学、行こうと思うんだ」


彼の家は貧乏だ。だから高校卒業と同時に働くと、中学の時から言っていた。


「それは、いいと思うけど、金はどうするんだ?」


「親父が死んだ」


「そうか」


知っている。知らないふりをしているだけだ。


「仕方ないよ」


「許してくれるかな、俺、親父を、自分のために……」


「俺が許すさ。」


「なあお前さ、家族のこと好きか?」


「ああ、多分。お前は?」


彼には二人の妹がいる。部活にバイト、その二つを共にこなすこいつのことを俺は尊敬していた。


「俺は、好きだ」


大事な物の答えは、結局わからなかった。けれど、俺にとってそれはきっと。


彼は突然消えた。12月24日、16歳の彼はこの世を去った。死因は不明。ただ遺体だけが残っている。


だから、そんなはずはない。


現在……


「お前は、ケンジ、なのか?」


「ああ確かに俺の名はケンジだ。けどなんで俺の名前知ってんだ?」


忘れているのか?俺を?そんなはずはない。名前はあっている。その顔は、間違いなくケンジだ。俺がケンジの顔を間違えるはずがない。おかしい、そんなはずはない。


「しかしまあお前も転生者に選ばれてラッキーだったな。このチートスキルがあれば女は抱き放題だ。金にも困らねえ。転生前のくそったれた生活ともおさらばだ。それに、重荷になる家族もいねえ。ここは楽園さ」


「お前、本当にケンジなのか?」


信じられない。言動も含め、あいつがケンジであると、認めたくない。


「じゃあな、俺は行くぜ」


「待って!」


瞬きの間に彼の姿は消えた。

コメント、評価いただけますと作者のモチベ爆上がりです。めちゃくちゃ喜びますので是非!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ