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お約束

ドアを再びくぐり、俺は異世界の城下町へと来ていた。


「ここが、異世界」


静かに感嘆を漏らす。石造りの街道には中世風味な鎧を来た人や同じく中世風味な洋服に身を包んだ人が歩いている。現代日本に住む俺にとって見たことのないまったく新しい光景が目の前に広がっている。


「あの、すいません、ここはどこですか?」


試しに近くで露店を構える住民に話しかけてみた。どうやらそこでは野菜のようなものを売っているらしい。店先の看板には八百屋と書かれていた。


「おや、見ない顔だね。あんた、旅の人かい?」


「ああそうなんだ。この街に来るのは初めてで、少し教えてくれないか?」


店員のおばさんは快くこの街のことを教えてくれた。どうもこの街には冒険者業なるものが盛んな街らしい。ひとまずギルドと呼ばれる場所に行くことを勧められたので俺はそこに向かうことにした。


ギルドは町の中心にあるらしく、たどり着くのは非常に容易だった。中に入ると絵に描いたような中世の荒くれ物がそれぞれのテーブルで酒を飲んでいた。


「よう兄ちゃん、あんた旅人だな?」


怖そうな人に話しかけられた。なぜ彼はモヒカンをしているのだろうか。というかなぜ荒くれ物はこの髪型を好むのだろうか。これをかっこいいと思う完成は僕にないのだが、俺がおかしいのだろうか、彼がおかしいのだろうか。謎は深まるばかりである。


「あー、はい。旅人です。この街は初めてで、ギルドってとこにまず行けって町の人が教えてくれたんです。」


「そうかいそうかい、そりゃあご苦労なこった。受け付けはあっちの方にあるぜ」


案外優しいじゃん、ちょっとキュンとしちゃった。見知らぬ場所に突然飛ばされた直後だから優しくされるとすぐ堕ちちゃうよ。


「ありがとうございます。なんか、見た目と裏腹に優しいですね」


「旅人襲ったって大した路銀もってねえってのがここの常識だぜ。襲うなら冒険者だ」


あ、襲ってはいるんだ。


「参考にします」


「お前も俺に襲われるくらい大物になりな!」


この人は怖い人だ。


はてさて、受付には美人な女性が立っていた。


「ようこそ冒険者の町、トランプへ。冒険者の新規登録をご希望ですか?」


どうしよう。冒険者だってよ。俺は今無一文だ。正確にはポケットにスマホが一台。ここで生きていくには稼ぎ口が絶対に必要だ。しかし冒険者というとおそらく危険な職業だろう。やっていけるのだろうか。


いいや、俺には女神からもらったスキルがあるはずだ。何とかなる。


「はい。新規登録をお願いします」


「それではこの水晶に手を当ててください」


いわれるがまま俺は水晶に手を当てる。少ししてから水晶自身が眩い輝きを放つ。その光はだんだんと大きくなっていき、俺はその光に包み込まれる。


「ここは?」


気が付くと俺は球体の空間にいた。目の前には受付嬢がいる。


「ここは水晶の中です。これからあなたのステータスを確認します」


受付嬢がそういうと、目の前に半透明で四角い板のようなものが浮かび上がる。


「これは?」


「ここにあなたのステータスが映し出されます。平手を前に出してつかむような動作を自分の方にしてください」


俺は言われるがまま、右手を前に出して、空間をつかむようなしぐさをしながら右手を自分の方に向けた。その結果、俺の目の前に同じ半透明の四角い板のようなものが表示される。


「これが、ステータス」


「あなたのステータスはおおむね平均の冒険者と同じですね。取得スキルを確認します」


受付嬢が板をスクロールしたので、それに倣って俺も同じ動作をした。目の前の板はステータスの表記からスキルの表示に変わる。


「これは、」


スキル  タイムキーパー   SSS

     超身体能力強化   SSS

     アイテムボックス  SSS

     スキルレンダー   SSS

     スキルコピー    SSS

     基礎魔法      C

     基礎剣術      C


どこかで見たことのあるチートスキルが立ち並んでいる。どうやらこれが女神の言っていた転生特典とやららしい。


「それでは登録を行います。冒険者名を発声してください」


「チメイ・ウル」


「登録、完了しました」


気が付くと俺はギルドに戻っていた。コンクリートの地面が懐かしい。


「あの、俺のスキルを見て驚かないんですか?」


「いえ、転生者はよく来ますから」


俺以外の転生者、確かにあの女神もその存在を明かしていた。ほかの転生者も同じくチートスキルを得ているらしい。しかしこれで本当にわからなくなってしまった。女神は何のために俺のような転生者を増やしているのだろうか。


―よき不幸があらんことを


違和感。


「あの女神は、」


「クエストを受けますか?」


受付の言葉によって思考の世界から引き出される。目の前の受付嬢が紙を俺の前に差し出す。そこには依頼状と書いていた。


「火竜の討伐?」


「はい。転生者用のクエストです」


「転生者用?」


「はい。このギルドにはよく転生者がいらっしゃいますので、いちいち初級のクエストを受注するのは効率が悪いですので」


合理的だ。確かにチートスキルがあれば大概のことはできるだろう。特にこのタイムキーパーというスキルは常軌を逸している。


「じゃあ受けるよ。火竜の討伐。装備は……」


「こちらで支給いたします」


「ありがとう」


コメント、評価いただけますと作者のモチベ爆上がりです。めちゃくちゃ喜びますので是非!

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