泥酔しているおじさんの話
お酒はほどほどに…
私と娘は珍しく都会に遊びに行ってホテルで食べようとデザートを持ち、るんるんでコンビニのレジに並んでいた。
私達の前におじさんがレジ待ちしていた。
お弁当と缶ビールを持っている様子。
身体が若干揺れていて、明らかに酔っているのが見てとれる。
おじさんの順番になった時
パンッッッ!!!!!
鳴り響く音。
弁当がさかさまになって床に落ちた音だった。
中身もこぼれず、叩きつけるように裏返しになって見事な着地である。
アッ…!
おじさんの後ろにいた私と娘、レジの店員、三人とも思わず声が出た。
「大丈夫、大丈夫」
おじさんはふらふらっとしながら、そう言って落ちた弁当を拾い、店員に差し出す。
いや、全然大丈夫じゃないよね?おじさんも弁当も全然大丈夫じゃないよね?
「〇〇円になります」
おじさんは財布から小銭を取り出そうとしているんだけど、なかなか出せない。
すると、今度は小銭がバラバラ床に落ちる。
また、ふらふらしながら小銭を拾おうとするがやはりうまく拾えない。
私の足元にも500円玉が転がってきたので
「これ、ここに置きますよ」
と私は500円玉をレジカウンターの上に置いた。
「ああ、ありがとうございまう~」
呂律も回ってないし、全然大丈夫じゃないよね?
小銭を拾い終えたおじさん、今度は支払いに手間取っていた。
やっとのことで支払いが済んで弁当と缶ビールを掴んでコンビニを後にする、おじさん。
でも、よく見るとさっき私が置いた500円玉がそのまま残ってた。
「忘れてます!お金!!!」
私はとっさに500円玉を握って、おじさんを追いかけた。
「ふぁあああ、ありがとう」
500円玉は無事におじさんの手元へ渡った。
私が再びレジ前に戻った時
「あれ、かなり酔ってましたね~びっくりですよね」
「やばかったですね (笑)」
と娘と店員さんが話していた。
店員さんも苦笑い。
「あれ、食べるんだよねぇ??」
「酔いが醒めたら全然覚えてないんだろうね、あの人」
「ちゃんと帰れたかな」
そんなことを言いながら娘とコンビニを後にした。
弁当、綺麗にひっくり返ってたよ。
おじさん。
読んでいただきありがとうございます。
果たして、秋は来るのでしょうか。
早く涼しくなってほしいなぁ。