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ブラン・フォービアの冒険記(仮題)  作者: 陽菜/鈴菜と心陽!
8/18

七話

ブランは部屋につく。ノエルがいた。

「お姉さま?どうかしたのですか?」

心配そうに顔をうかがってくるノエル。ブランは、優しく微笑んでいった。

「あら。いたのね、ノエル。どうもしていないわよ。・・・ノエルが今のわたくしの年頃になったら、大変になるの。いろいろとね、頑張らなければ超えられない壁があるのよ。」

ブランは、お母様のしてくれたようにやさしく言った。

「苦しくても、頑張りなさい。わたくしはね、嫌な予感がしているの。魔力、いえ、ルイーナの 力しらね。」

ノエルは不安そうな顔をした。

「お姉さま。ありがとう。ルイーナ・・・」

ノエルは思った。

お姉さまばっかり頑張っている、私は頑張らずに甘えていてよかったのだろうか。

(私は・・・・)

いえ、わたくしにしましょう。口調を変えなければ。そう、わたくしにはもうすぐお披露目会が開かれる。

お母様の影響があって、お姉さまよりも少し遅めになってしまっている、お披露目会。

わたくしも、頑張って支えにならなければならない。







「姫様、参加いたしますよね、お披露目会。今日ですので、準備をしておきましょう。」

トリアが言った。ウィリンも言う。

「姫様、ノエル様よりも目立ってはだめですよ~。姫様は、お美しいのですから。」

くすっと笑って言う。

「うふっ。ウィリンったら。トリアもありがとう。ウィリンは最近忙しいのに、わざわざ来てくれて。」

ブランはうれしかった。争いにならなくて。もし、ノエルが、跡を継ぎたくても次女のために、できない可能性がある。そのせいで険悪にはなりたくなかった。

「行きましょうか、準備が終わったら。」

準備をさっと終わらせたブランは、会場へと向かう前に、スタンバイする部屋へといった。

「ノエル?いるかしら。」ブランは、ガチャッとドアを開けた。部屋に入ると、ノエルが不安そうな顔をして座っていた。

「お姉さま。いらしてくれたのですね。わざわざありがとうございます。」ふぅーと息を吐いたノエルにブランは微笑んだ。

「お口も直して。いいですよ、ブラン。ここでだけ、くずしても。わたくしは、練習のため、本当に勤めが終わって一人の時でだけ、側近たちと普通にお話をしているのですもの。」

ノエルは、

「おねえさまぁー。ありがとう。大変だったのです!今まで。」少し間を開けていった。


「なんか、お胸がどきどきして、おさまらないのです。何なのでしょう。」

ブランは、かわいい、と思った。そして、緊張を抑えるために、こう告げた。

「ノエルはかわいいわね。それはね、きんちょうというのよ。大丈夫、ずっと練習してきたでしょう、ピスキート。わたくしもね、そうだったわ。でも、弾いてごらんなさい。楽しくなってくるから。」

そういいながら、ブランは思った。わたくしが、お披露目会をした時よりも、幼さをすごく感じる。このままでは、この国がどんな時でも、冷静でなく、いつまでも甘えている妹になるかも、と不安さえ感じていた。ブランは、きっとお姉ちゃんだから、頑張れたのかもしれない。だが、このままでは・・・

(どうすれば・・・・・・)

お手本になってあげなければならないと思った。

「ノエル、わたくしをまねてごらんなさい。自分で言うのも恥だとは思うけれど、わたくしをまねて、もっと頑張りなさい。お披露目会の前に、きついことを言うけれど、心に刻みなさい。ノエル、今のままでは幼すぎる。もちろん、甘えてもいいのだけれど、いまのままでは、きっといつか苦しくなる時が来るわよ。今のうちに、今のうちに・・・」

ブランは涙が出てきそうになるのをこらえながら、続ける。

「・・・。頑張っておきなさい。いつ、どんなことが起きても、この国の姫として、冷静であれるよう、民のために動けるように。」

ノエルは、しばらく動かなかった。いや、動けなかったのかもしれない。しばらくして、「お姉さま、忠告、ありがとうございます。わたくしでは、まだ幼く、お姉さまより劣っているのは、存じております。それでも、精一杯頑張っていきたいと思います。・・・。お姉さま、御手本、お願いします。」

かたい口調で、真剣な表情を見せたノエルに、安堵したブランは、ふっと表情を緩めた。「ええ。頑張りなさい。けれど、頑張りすぎないようにね、わたくしも頑張ります。お披露目会、楽しみにしているわね。」

「はい!」

カーンカーン。鐘の音が鳴り響いた。この状況に、少し懐かしさを覚えたブランは、細い目をしながら、ノエルを心から応援した。

ぽんっ、ぽーん

ブランとはまた違う、明るい音が鳴った。

拍手が巻き起こる。


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