シグレの昔話~アリスとヴァルカリア高等魔術学院~
そこに行ったら、立場と居場所は確保してくれるってことだからさ、ヴァルカリア高等魔術学院に入ることにしたんだ。
あそこって、魔術学院を名乗る割には神聖術や呪術、体術や対魔物用討伐術、果てには魔法すらも教えられるんだよね。
それで、隠れ場にさせてもらうぐらいだからそこに帰属しなきゃいけないよね。
ってことで、一応そこに教員として入ることにしたんだ。
そしたらさ、誰が教えたのか僕の正体を知ってて、基本魔術教員、後は治癒魔術とか扱いの難しい影属性・闇属性、更に治癒じゃ無い方の光属性・聖属性、それに多分今じゃ僕くらいしか使えない“虚無”の指導役、最後に対霊術、結界術の臨時職員...。
今思うと結構大変なんだな、って思ったよ。
でも、僕って案外どんな環境にも慣れちゃうもんなんだね。
だって、畑をやったり、魔物を狩ったり、薪を売りに行ったりするよりも何十倍も楽で楽しいもん。
...ほかの教員の嫉妬と畏敬と恋慕の目がなければなおさらね。
それで、イヴェンシアも働くことになったんだ。
まあ、学生でもあるんだから、やることと言ったら科目終わり、学校終了後に事務整理をしてもらうとか、雑用をしてもらうとか。
あと、めんどくさいから新入生代表挨拶はほかの人に丸投げ。
細かい日程はイヴェンシアが決めてくれるから。
因みに、イアは働かせないよ。
可愛い娘には雑事を食わすな、ってね。
...イア、何恥ずかしそうにしてるんだよ。
え?自分の事を可愛いって言わないで?
実際可愛いから言ってるんだけどなあ...。
まあ、そんな感じでみんな忙しく過ごしてたんだけど、入学式の前日に、高そうな馬車が到着したんだよね。
誰かな、って思って確認しようと思ったら、ほかの職員の人たちが我先にと外に出て、跪き始めたんだよね。
学徒も同じような感じで、ポカーンってしてるのって僕たちくらいでさ。
その状態で馬車が開いちゃったんだよね。
載ってたのは、グレイとアリスちゃん、そしてリアだったんだよね。
またグレイは一瞬こっちを見て動揺してたけど、それに留めて後はしっかり従者してたよ。
リアはこっちを見ることもなく、追従していたよ。
まあ、軽く笑いを浮かべていたのが不気味だったけどね。
肝心のアリスちゃんは、イヴェンシアを見て飛びつきそうだったけどね。
その後、すごく怒られたよ。
「なんで跪かなかったんだ!!」ってね。
...まあ、それで前に顔を合わせていたから、なんていえなかったよね。
後、イアはおとがめなしだったよ。
子供だからね。
それを言ったら怒られたけどさ...。
って、怒らないでよ!
仕方ないだろ!
ったく...
じゃあ続けるよ!
それで、イヴェンシアは後で聞いたんだけど、前に見たからってさ。
イアもいただろ?
イヴェンシアが息を切らして走ってきた時だよ。
その日の晩だったかな。
アリスちゃんたちが僕たちの住んでいた空きホールに転がり込んできたんだよね。
勿論、二人を連れて、ね。
そん時は大変だったよ。
アリスちゃんがイヴェンシアに抱きつこうとしてもイアが阻むし、そのアリスちゃんをリアが引きはがそうとして叩かれたり。
まあ、聖霊王の力を使っても良かったけどね。
調整もできるようになってたから、最悪良かったけどさ。
自然に収まったから、それで終わりー--じゃないことはイアも知ってるよね。
その後に、アリスちゃんがずっと居続けてさ。
仕方ないから折れたけど、ずーっといるし、朝になったらイヴェンシアのベッドにもぐりこんでるし、此処での初めての印象はお転婆娘ってとこかな。
で、次の日は入学式な訳だけど、新入生代表挨拶があるわけでさ。
それが...僕が後でいじっていたおかげでイヴェンシアになってたんだよね。
まあ、今回は別に来賓としてメルクのバカ野郎も来たからさ、それでちょっとあったけど、それはちょっと違う話かな。
それで、そこから1ヶ月くらいでアリスちゃんとイヴェンシアの仲はとてもよくなったかな。
と言うよりも、大好きアピール全開のアリスちゃんにイヴェンシアが折れたってかんじだったかな。
まあ、そうなって2週間ぐらいだったかな、アイツらが来たんだよね。
グレンとかいう此の肉体の先祖、兼私の前の契約者と、その馬鹿が復活させて、作った人型に受肉した歴史上最強の32代『黒龍王』ヴェフロールの事なんだけど...。
あの二人ってさ、グレンは黒龍おうと聖霊王を体に宿していたから、『聖龍王』って呼ばれてたし、ヴェフロールの方は...
あいつはすぐに調子に乗るからなあ...。
まあ、そんな感じで、結構大変だったんだよね。
二人が来た2週間後には3回目の『狂龍の軍勢』が襲来していたけどね。
ー--そんなに驚くことかな?
これが無かったらイヴェンシアが強いってことは伝わらなかったと思うからさ。
それで、第1波はアリシャー--当時はアリアって名乗ってたねー--が全部倒したんだけど、
そのせいでグレンから「あいつアリシャだろ!?」って言われたよ。
まあ、肉体自体は地味に違うんだけどね。
そう答えたら、附に落ちなさそうに戻っていったよ。
...まあ、ヴェフロールは気付いてたみたいだよ。
あれが本物のアリシャだって...。
それで、なんでこれが起きたのかもね。
思えば、初代『狂龍の軍勢』はアイツが原因だったからこそ分かったんだろうけどね…。
暫く落ち着くって相場が決まってる休戦状態の時に、事態が動いたんだよね。
突然地味に暗くなってね。
僕は自由に動けたけど、周りの人は暗転したまま。
さっき君たちも味わったと思うけど、世界が暗くなったでしょ?
あれが起きてたんだよ。
あれはね、聖霊王、黒龍王クラスじゃなきゃ使えないんだよ。
でも、僕は使ってないし、あの二人も使うとは思えない、そしたら...。
そこまで考えたところで、アリアとか、イヴェンシアがいる方に味わったことのないなんか怖いんだろうなー、って感じの覇気みたいなのが出ててさ。
それで、こっち側は恐慌状態だよ。
何とか落ち着いたけど、もうあれはいやだなあ。
それも3分で収まったけどね。
でも、二人が移動した様子はないし、僕達以外に暴走してるアリシャを止められるとも思えない。
...そのちょっと後に、そいつの顔を見て納得したよ。
もう一人止められる人がすぐ近くにいたんだ。
アリシャの旦那さん、ディヴィス君。
その人がいたからさ。
...ここにはいないよ。
今、放浪してるから。
そこから、残りの魔物の掃討も始まったんだ。
残りは、イヴェンシアが消滅させたり、アリスちゃんが瞬間移動して数秒で駆逐したり、イアが圧死させたり。
血の雨が降り注いだっけな...。
そこからは基本的に平和だったかな...。
魔肉を封印したり、魔生物科って言う師団を作ったり、ね。
でも、一番の事はイヴェンシアとアリスの結婚...って言いたいところだけど、本当は...
いや、何でもないよ。
...言え?
えー、やだよ!
ううぅぅぅぅ...。
仕方ないか...。
また、『狂龍の軍勢』が来たんだよね。
あれから6年たって、最終学年の7学年になっていたし、二人も結婚してるし、子供もいる状況。
しかも、初めて出現した『王龍王』、名前はノワリア。
今回のはとても強かったよ。
各国の軍も出てきたよね。
そいつらは、僕を生贄に王龍王の怒りを鎮めよう、って考えたんだよね。
当然、イヴァルカン王国の代表、後は二人にグレンたちも反対してたんだけどさ、強行されそうになってさ。
それで、イヴァルカン王国軍はいったん離れて、学院生と教員、近くの家の人にハンター協会の人たちも全退避。
そこから、イヴァルカン王国軍と各国軍の大激突が起きたんだよね。
そりゃもう凄くてさ。
何が凄いって、イヴェンシアが奥の魔術・魔法使いは封印するし、魔術と魔法と剣を同時に使いながら味方の負傷者を回復させたり装備の傷を治したり。
アリスちゃんはいつ覚えたのか“虚無”で多方面の相手を消滅させていたり。
その消滅したはずの兵士をイアが布の服とズボン姿で復活させて危なくない王国軍の後ろに退避させたり。
そんな感じだったからさ、何とか終わったんだけど、次は『狂龍の軍勢』なんだよね。
そっちも兵士が結構亡くなった...って言いたいところだけど、またさっきと同じことが起きたよね。
まあ、布服の兵士たちはヴェフロールの作った龍鎧と龍剣を持ってたけどね。
そんな感じだったからさ、英雄扱いされるんだよね。
ただ、とんでもなく強かったよね。
王龍王ノワリアは、イヴェンシアが倒ー--す寸前でヴェフロールがサクッと首を落として、狂気を消滅させて、グレンが復活させて人型で生きることになったよ。
まあ、こんな感じで誰も死なずに大丈夫だったけど、次はほかの国の奴らが攻撃を始めようとしたんだよね。
まあ、ノワリアが睨んだだけで龍装備破壊されてたけどさ。
...ほかに言う事なんてないからね!




