シグレの昔話~イアとイヴェンシア~
のんびり過ごして3年目ぐらいだったかな、のんびりと“シグレ=ヴァルカリア”として生きていたんだけど、そんな或る日に夢を見たんだ。
真っ白な服を着ている人でね、聖霊王ヴァングファン、って名乗ったんだ。
昔の契約者で、僕のご先祖様のグレンさんが自由にしていいって言ったから僕に憑依したって言ったんだよ、その人。
なんで僕にしたのかって聞いたらさ、「あいつの娘のアリシャに似ているし、それに生まれながらにして聖霊王クラスの霊力を持っているから、依代には丁度いい」
とか言い出してさー。
その日から、ちょっとだけ僕は変わったんだって。
まあ、実感ないんだけどね。
あの娘、色々してたみたいで、記憶が混じってるから、僕としては初対面の人を知ってたりするからさ、結構大変なことになったり、ならなかったり。
...そんなふうに生きて、更に2年。
雨の日に、ある子を拾ったんだよね。
ー--みんななら知ってると思うけど、それがイヴェンシアさ。
弱弱しそうで、見た感じ3歳ぐらいだったのに、なんでか本当は16歳ぐらいに見えたんだ。
それで、放っとく訳にもいかずに、そのまま育てることになったんだ。
そうするとさ、魔肉しか食べない生活じゃあダメになってさ。
それで、畑を作ってみたんだ。
畑の予定地の下に永久水源を作ってさ、そこを耕して僕の知人以外が入ったらこの世から消滅するように魔法をかけたんだ。
あ、勿論動物もね。
イヴェンシアも手伝ってくれるから、結構楽だし、肉も集まるから、それを細かくして、肥料にしたりね。
...なんでみんなそんなに引いてるの?
...僕、そんな怖い話してたかなあ。
まあいっか。
それでさ。
今まで通り魔肉集めしてたらさ、イヴェンシアも手伝う、って言ってさ。
一人だったら自由に使っても大丈夫な聖霊王の力だけどさ、3歳の子もいたら危ないから、ちょっとした魔術を教えたんだ。
その名も、『物質精製魔術』!
あれのおかげで今でもイヴェンシアが英雄を超えて『魔剣士』って言われたり、『オールラウンダー』って言われたりしてるのは、そんな能力とか、超高位の魔法か魔石の直接接種でしかできないって言われていた部位欠損級、それも、身体の耐性によって治る量が変わるほかの二つと違って完璧にすべてを治すし、更に傷ついたり砕けたりした武器とか防具を完璧に直したんだから。
...ッと、そんな話をしてるんじゃなかった。
それで、自分で薙刀?っていうのを出してバッサバッサと、本当にすごかったよ。
そんな事をしてたら、僕宛に手紙が来たんだよね。
差出人は...メルク。
当時の国王で、かつ僕の弟だった。
イヴェンシアもいるし、行こうかどうかはすごく迷ったよ。
でもね、そんな時に、子守役としてリアが来てね。
久しぶりに見るリアは変わってなかったよ。
しいて言えば、少し疲れてたように見えたくらいかな。
後、僕にあえて少しうれしそうに見えたよ。
イヴェンシアを僕の子供だって思ったらしいんだよね。
まあ、違うけど。
それで、一応時間がかからないように、王城の城下町のヴァルカニアの前まで転移して、それで入ろうとしたら衛兵さんに呼び止められてさ。
僕がグランス=ヴァルカリア侯爵だ、ってことを説明して、ちょっと権力を使って入ったんだよね。
それで、王城まで空を飛んで、来たってわかりやすいように真昼間から花火もどきを打ち上げてさ。
その音で気付いてもらったー--と言うより強制的な合図で納得させたって言う感じかな。
呼び出された理由は、娘の自慢だったよ。
アリスちゃんなんだけどね。
親馬鹿だろう、って言うくらいの褒め具合で、見てみたんだ。
そしたら、それも納得できるほどの容姿、儀礼、能力。
指導役のグレイ“さん”も褒めちぎってたよ。
それで、その後半年ぐらい滞在して、帰ろうとしたときに送別会が開かれてさ。
ヴァルカニア丸ごと巻き込んだ送別会になって。
...実はその時に僕に襲い掛かってきたやつがいるんだけど、そいつは...。
あ!襲ってきたって、殺そうとしたっていう意味じゃないよ。
あくまでも飛び掛かって来ただけだからさ。
それはグレイ“さん”だったんだけど、寸前でアリスちゃんに手に持っていたナイフを投げられて左目を失明、魔術って言うものがなかったら一生眼帯のままだったよね。
それを「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ」って泣きながら治癒魔術で左目を治していたのがアリスちゃんだから、みんなザワザワとしていたよ。
まあ、あくまでも悪いのはグレイ“さん”だから、眼帯でしばらく過ごしてたね。
それで、半年また滞在したんだけど、その時にアリスちゃんにイヴェンシアの話をしたんだ。
とっても嬉しそうだったんだよね、あの娘。
結局一年間滞在していたわけで、戻ることにしたんだけども、戻るときに転移門を作っておいたから、驚かれたよね。
それでリアを回収した後にいったん王城に戻って、それで最後に門を潜って戻って、門を破壊したんだよね。
ギャアァァァ/って声が聞こえた気がしたんだけど、多分…気のせいかな?って思って、すっかり冬景色になった僕たちの家に戻ったんだよね。
すっかり元気になったイヴェンシアは、とっても強そうだな、って思ったんだ。
それで、直ぐに5歳になったイヴェンシアが「魔術を使いたい!!シグレみたいに木を売るの!!」
って言うから、木を切って売って、その合間に魔術と魔法を教えてあげたんだ。
まあ、魔術をイヴェンシアは結構使ってたけどね。
二つの違いって難しいよね。
想像で作れるけど詠唱が基本の魔術と、詠唱だけで決まる魔法ってさ。
そんな生活をすること10年ぐらい。
イアって女の子が来たんだ。
まあ、そこにいる奴の事なんだけどね…。
それで、その年からは楽しく暮らしたよ。
頑張って、隣の国にも薪売りに行ったりしたしね。
それから2,3年たったかな。
イヴェンシアが、僕を狙ってる人がいるって言いながら、走って来たんだ。
それで、レイが止められなくなったってわかってさ。
だから、二人が付いてこれるように飛行魔術で隠れ場所ー--ヴァルカリア高等魔術学院に逃げ込んだんだ。




