シグレの昔話~王女、グランス~
僕はね、昔はシグレって名前じゃなかったんだ。
昔は、グランスっていう此のイヴァルカン王国の王女様だったんだよね。
ただ、8の時に攫われちゃって。
...でもね、良いこともあったんだよ。
その時に、リアっていう人と知り合ったんだ。
その人はちょっと前に妹を亡くしていたみたいでさ。
攫われてきた僕が緊張しているのを見て、撫でてくれたんだ。
そんな様子が、妹さんー--確か、シグレさんて言ったんだ。
僕のこの名前は、そこから来てるんだよ。
ただ、案外盗賊もどきってのも楽しくてさ。
魔物を捕まえては調教させて、その魔物をけしかけるってのも楽しかったなー。
...そんなことしちゃいけない?
分かってるさ。
ー--じゃなきゃこんなところにいないよ。
...じゃあ、続きを話すね。
頑張って僕が副頭領になった27のある時に、頭領が魔物を大量に集めさせたことがあってね。
今だと、絵本に載ってるんだっけ?
ほら、悪い人が魔物の合成獣を作ったら、暴走して食べられて、それを姫騎士が倒すっていうやつ。
僕って、暴走した時に倒せるようにっていう名目で監視するために付き添いしててさ。
案の定暴走したからザクっと。
...まあ、『身の丈に合わないことはしない、させない、企てない』っていう教訓だよね。
それで、どうやら頭領、それを伝えてなかったようで。
ただの頭領殺しに思われて、命からがらリアと一緒に逃げたってわけだよ。
次の頭領には、リアに懐いてた、レイっていう人がなったよ。
「俺が抑えとくから、二人は逃げろ!」
...ってさ。
かっこよかったよね。
...あいつはもういないけどさ。
...それでさ、二人で逃げて、王国に戻った時はホッとしたよ。
ー--魔物の大群が襲ってくるまではね。
暫くして、魔物の動きがおかしいって言う人が出たんだ。
リアが確認に行ったら、それは2800年前にあったって言う『龍災』の動きに似てるって言う指摘があってさ。
昔の初代龍災より規模が小さかったけど、虹竜王クラスが5体いてさ、身体の半分以上は消し飛んだし、死にかけたよ。
この世界に、即時に失われた部位を復活させるけど狂う“魔石の摂取”に僕が耐えられなかったら、ここに僕はいなかったよ。
...それで、その時に気付いたんだ。
僕には不思議な力があるって。
その力が聖霊王のものだとは思わなかったけどさ。
それで、一応グランスーーー一人の人間として爵位をもらったんだよね。
侯爵位だからさ、結構上の貴族なんだよ。
でも、そんなの嫌だからさ。
楽しく、のんびり過ごすことにしたんだ。




