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悠久の昔に想いを馳せて~2
なんて事の無い、いつもの家。
抱き締めてくる、兄さん。
心地よくて、でも兄さんを見たくなくて。
勇気を振り絞って兄さんを見るとー--そこには底なしの暗い闇が広がっていた。
「...うわあっっ!?」
飛び上がり、そこでほっとする。
いつもの家だった。
「おはよう、アリスっ!」
そういうイアの顔はー--いつもの笑顔だった。
なんて事の無い、ささやかな幸せ。
いつもの様な、明るいイア。
兄さんとイアの間で心が揺れる、僕。
ー--そこに、魔術と言う香辛料(あるいは点火材)が入ったら?
ー--当たり前だが、その魔術と言うスパイスに手を出し、その圧倒的な力の奔流に流されるがまま、世界と言う台座の、物語と言う歯車にされるだろう。
...だからこそ、なるべく触れないようにしていたのだが...
「そういえば、アリスは魔術って使えるの?」
いつもの会話。いつもの様に答えるも、それが仇となった。
「うん。使えるよ...!?
い、いや、本当はっッ」
「そっか、ならさ、付いてきて!」
そこからは流されるように事が進んでいった。
曰く、飛行法を教わった事。
曰く、離陸して見た事。
曰く、2時間高速で飛行して、精霊の住処と言われるところに行ったこと。
そこで、また古より存在する少女に出会ったこと。




