10/10
淡い希望
のほほんと、変わらない日常。
いつも通り、兄さんが僕の頭を撫でーーーそこで違和感に気付く。
(これって、以前もあったような...。)
そこで、兄さんを見ずに会話をする。
「兄いさ...」
「流石、藍理栖は賢いな。
ただ、此処にいるって事は胡散臭い男ーーー藍理栖の場合は女かーーーがいなかったか?」
「...?
ああ、いたよ。
最初は男だと思ったけど、こっちの世界でイアとあって、その後にこの身体が女だってわかったからね。
...帰ったら、兄さんは可愛がるからね!」
「えー、じゃあ帰るか?」
「帰れるの!?」
そこで兄さんの顔を見て驚く。
そこにはーーー
いつもの兄さんの顔があったからだった。
「...うーん、もうちょっとあっちにいるよ。
せめて、僕達があの世界で会えるまでね」
そういうと、兄さんは微笑んだ。
ただ、長く一緒に居るからかそれはただの照れ隠しだとわかってしまう。
「そうだなー、でもちょっと変わってるかもしれないぞ?」
その言葉に、「言い方でもう変わってるよ」と突っ込み、抱き締める。
僕から甘えることなど滅多にない事なので、兄さんの顔には驚きが浮かんだが、苦笑交じりに
「...すっかり変わっちまったからな。
ただ、今度は会えるさ」
と言ってくれた。
その言葉を信じて、僕は、あの世界にまた戻ることを決意するのだった。




