第3話 無駄な話を聞いてくれてありがとう
キをケイ素に変えるゃ
キをアルミニウムに変えるゃ
キを鉄に変えるゃ
キをカルシウムに変えるゃ
キをナトリウムに変えるゃ
キをカリウムに変えるゃ
キをマグネシウムに変えるゃ
キをチタンに変えるゃ
キを水素に変えるゃ
キをリンに変えるゃ
キをマンガンに変えるゃ
キをフッ素に変えるゃ
キをバリウムに変えるゃ
キを炭素に変えるゃ
キをストロンチウム
キを硫黄に変えるゃ
キをジルコニウムに変えるゃ
キをタングステンに変えるゃ
キをバナジウムに変えるゃ
キを塩素に変えるゃ
キをクロムに変えるゃ
キをルビジウムに変えるゃ
キをニッケルに変えるゃ
キを銅に変えるゃ
キをセリウムに変えるゃ
キをネオジムに変えるゃ
キをランタンに変えるゃ
キをイットリウムに変えるゃ
キを窒素に変えるゃ
キをコバルトに変えるゃ
キをリチウムに変えるゃ
キをニオブに変えるゃ
キをガリウムに変えるゃ
キをスカンジウムに変えるゃ
キを鉛に変えるゃ
キをサマリウム
キをトリウムに変えるゃ
キをプラセオジムに変えるゃ
キをホウ素に変えるゃ
キをガドリニウムに変えるゃ
キをジスプロシウムに変えるゃ
キをハフニウムに変えるゃ
キをエルビウムに変えるゃ
キをイッテルビウムに変えるゃ
キをセシウムに変えるゃ
キをベリリウムに変えるゃ
キをスズに変えるゃ
キをユウロピウムに変えるゃ
キをウランに変えるゃ
キをタンタルに変えるゃ
キをゲルマニウムに変えるゃ
キをモリブデンに変えるゃ
キをヒ素に変えるゃ
キをホルミウムに変えるゃ
キをテルビウムに変えるゃ
キをツリウムに変えるゃ
キを臭素に変えるゃ
キをタリウムに変えるゃ
キをアンチモンに変えるゃ
キをヨウ素に変えるゃ
キをカドミウムに変えるゃ
キを銀に変えるゃ
キを水銀に変えるゃ
キをセレンに変えるゃ
キをインジウムに変えるゃ
キをビスマスに変えるゃ
キをテルルに変えるゃ
キを白金に変えるゃ
キを金に変えるゃ
キをルテニウムに変えるゃ
キをパラジウムに変えるゃ
キをレニウムに変えるゃ
キをイリジウムに変えるゃ
キをロジウムに変えるゃ
キをオスミウムに変えるゃ
木をアルゴンAr0.9341.288
木を二酸化炭素CO20.03140.0477
木をネオンNe0.0018180.00127
木をヘリウムHe0.0005240.000072
木をクリプトンKr0.0001140.00033
キをキセノンに変えるヤ
木をメタンCH40.00020.0001
木を一酸化二窒素 Xe
木を塩化ナトリウムNaCl77.926.49
木を塩化マグネシウム MgCl29.63.26
木を硫酸マグネシウムMgSO46.12.07
木を硫酸カルシウムCaSO44.01.36
キを塩化カリウムに変えるゃ
キを土に変えるゃに変えるゃ
キを水に変えるゃ
キを氷に変えるゃ
キを空気に変えるゃ
キを***に変えるゃ
キを***に変えるゃ
キをミネラルに変えるゃ
キを***に変えるゃ
キを***に変えるゃ
キを***に変えるゃ
キを他の植物に変えるゃ
キを……
……ふう。おれは首をぐるぐると回して端末から目を離す。
「とりあえず見て思ったのは、木をミネラルにする能力じゃなくてよかったよ」
ちょっと見せて。木崎さんは奪うようにおれの端末を手に取った。
「へえ、こういう感じなんだ。じゃあ二司君もCでしょ。でもなにこれ。元素とかに変えるんだと思いきや、下のほうは土とか曖昧な表記になってし、大体にして***って」
「うーん、小文字のaしか書けない人もいるし、大文字小文字のAaを書ける人もいるし、アルファベットを全部書ける人もいる、って感じなのかな。あと雰囲気的にやっぱりどこかから変換したっぽいよね。途中文字化けみたいになってるし。でも、おれとしてはその辺全体を含めて別にいいかな。設定の細かいとこ気にならないタイプだから」
「Cっていうか二司君のは政府もこんな表記だった?」
「いや、もうちょっとちゃんとしてたよ。だから最強ランキングにするときなんか不具合あったんじゃない? まあ実際どっちが先かわからんけど」
「そっか。でも誰がこれを作ったんだろう」
そりゃあ。おれは口腔内の違和感を誤魔化すため水を口に含む。
「過去、未来を行き来できる人が現在に送ったか、データを頭に入れてソートしたものを移すことが出来る人がいたとか、いろいろあるんじゃない。だってなんでもありなんだから」
「ずるくない? なんでもそう言えばいいと思って。あ、そうだ。わたしちょっと気になってることがあったんだけど」
「いいよ。親知らずを抜いたばかりのおれで答えられることなら」
おれは指で頬を押し、口腔内の麻酔が効いているのを確かめた。
「この家って地下室あるよね」
「そう、そこが気に入って買ったんだ」
「でもなんで20代会社員で家なんて。実家ってわけじゃないんでしょ?」
「あ、うん。でも今それ聞くんだ」
「なんか嫌っていうか怖かったの、変なことに使うために地下室のある家買ったんじゃないかって」
「大丈夫だよ、むしろ何もなさ過ぎて申し訳ないぐらい。あ、じゃあ話出たから家を買った経緯も説明していい?」
「うん、いいよ。ピザ食べ終わるまでにおしまいにしてくれれば」
木崎さんは炭酸水を一口飲んでからピザを一切れ掴んだ。
高校卒業してからここに住んでるんだけどさ。要は思ったのよ、18歳のおれは。これから家賃をずっと払うことを考えると、まあ要は将来的に一軒家が必要になったときにさ。例えば月7万ずつ払って行ったとしてね、年間で84万。それがもったいない気がしたのよ。だから親を説得してローン組んでもらった。もちろん名義は親だけど、おれこれだけはちゃんと払い続けてるのよ。中古住宅だけど当時2200万ぐらいでここ買ったから、今25歳であと、ええっとまあ、大体6年ぐらい払ったからあと1700万ぐらいか。ありっちゃあり、いいっちゃいいだろ? まあいいだろっていっても固定資産税と修繕費がまあまあ掛かってるんだけどさ。それでもおれは買ってよかったと思ってる。親はさ、今2人沖縄のどっかの島に住んでるのよ。そう、元々は本州だよ。おれが大学行くときに実家売ってそっちにいったんだよ。だから親も、なんだろうなあ、思うところがあったのかなあ。それとおれもいいこと言ったよ、高校生のおれ。「今度はおれが実家を作る」みたいなこと。それが決め手だったと思う。で、そうそう。地下ね。これ中古なんだけど前の人が趣味で作ってたんだよ。地下は防音になっててさ。おれは特に音楽を聴かないし、楽器も弾かないんだけど。でもやっぱり地下室はあったら気持ちが上がる。今回もこれから役に立つ気もするし。
「うん、大体わかった。ありがとう」
木崎さんはウエットティッシュで手を拭いて、ピザの空箱を片付ける。
「何回か同じこと説明しているけどまだ反応してくれた方だよ」
「わたしも聞けて良かった。そうだ、わたしも能力試したいから手伝ってもらっていいかな?」
木崎さんはキッチンを指さす。
「いいよ。無駄な話聞いてもらったし」
キッチンに向かう木崎さんは黒のジャージを着ているなあ、サイズは大き目だなあ。おれは見たままのことを思った。